11日より開催されている第98回インディアナポリス500マイルレース。17日に行われた予選1日目は、昨年のポール、エド・カーペンター(ECレーシング)がトップに立ち翌日のファスト・ナイン・シュートアウトに進んだ。佐藤琢磨(AJフォイト)は18番手となり、予選2日目は10番グリッドから30番グリッドを決めるセッションを走行する。

 今年からインディ500の予選初日は、ポールポジションを決めるポールデーではなくなった。決勝出場33台を暫定的に決定し、ポールポジション争いを行なう権利を持つ9台を決める一日に変わった。

 午前11時から午後5時50分までの時間内であれば、アタックは何度行ってもよいルールとなった。今日は雨による中断もありながら、33人のドライバーが合計71回のアタックを行った。マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)のように4回もアタックを行うドライバーも現れた。予選ブーストでの戦いは、230mph台でのトップ争いとなり、ポールポジション争いへと加わるためのトップ9入りを果たすためには、4周平均を230mphに載せなければならない、非常に厳しい戦いとなっていた。

 最初のアタックは、従来通りにクジ引き順だった。順番が一巡し、自分の順番をスキップしていたドライバーたちもアタックを行い、エントリー33台全員が一度以上のアタックを行なった時点で、トップはエド・カーペンターの230.114mphだった。

 しかし、2回目以降のアタックが始まると、マシンセッティングを向上させて230mph台を出すドライバーが続出。ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がカーペンターからトップの座を奪った。

 さらに、パワーをジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)がトップから弾き出し、それをまたカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)が上回ってトップに躍り出た。

 しかし、4時45分に再登場したカーペンターが、230.661mphの4ラップ平均を出し、この日二度目のトップに立ち、このスピードが最後まで破られることがなかった。昨年のインディ500ポールウイナーは、今年も堂々たるパフォーマンスでポールポジション候補の筆頭に名乗りを挙げたのだ。

 予選初日の2~9番手、すなわち明日の予選2日目にポールポジションをかけた戦いをカーペンターとともに演ずるのは、ムニョス、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、ヒンチクリフ、パワー、アンドレッティ、サイモン・ペジナウ(シュミット・ピーターソン・ハミルトン)、ジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン)、そしてJR.ヒルデブランド(エド・カーペンター・レーシング)の9人だ。インディ500の予選で230mphオーバーが記録されるのは、2003年以来のことだ。

 明日は、まずは10番グリッドから33番グリッドまでが決定するグループ1の予選が行われる。今日の予選スピードで遅かった順にひとりずつ、再び4ラップの連続周回によるアタックを行う方式によってだ。そして、新ルールでの予選は、ファスト9によるポールポジション争いいちばんの見せ場になる。短時間に予選フォーマットを変えることで、全米にライブ中継が可能になった。

「インディ500の予選はプレッシャーがかかるため、できる限りやることは少なくしたい。実は今日、僕らは一度のアタックだけで済ませたいとの意向だった。しかし、最初のアタックを終えた時、僕らのマシンはもっとスピードが出せると感じた。そして、午後のコンディションが良かったこと、他のドライバーたちが速いスピードを出していたことから、二度目のアタックを行う決意を固めた。それは正解だった。僕らはトップを奪い返し、見ているファンがとてエキサイティングだと感じられる予選にできたと思う」とカーペンターはコメントした。

 ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は最後の最後で予選9番手から弾き出され、自らのスピードを放棄して再アタック。しかし、11番手でポールポジション争いへの進出に失敗した。開幕からのロードコース4戦の予選ですべてファスト6に残っていた唯一のドライバーが、オーバルレースでの予選ではファイナル進出を果たせなかった。

 また、ガナッシ勢の不振も今年のインディ500予選の特徴だった。彼らはひとりもトップ9に残れず、昨年度ウイナーのトニー・カナーンはトップ20にすら入れなかった。

 佐藤琢磨は18番手だった。アタック1回目のスピードによって得た結果だった。琢磨は二度目のアタックに意欲的で、チームもマシンを用意していたが、タイミング良く決断を下せなかった。一度出したスピードを放棄してのアタックではなく、自分のスピードをキープした状態でアタックを行いたい(それが許されるのが新ルール)と考えていた彼らだったが、スピードを放棄してアタックする者に優先権が与えられるため、琢磨には二度目のアタックのチャンスが巡って来なかったのだ。

「二度目のアタックをしたかったですね。空気の冷たくなったベストのコンディションの時に走りたかった。でもそれを逃して、コンディションは悪くなっていきました。チームメイトのマルティン(ポウルマン)が走って、マシンのバランスが悪くなっていた点も決断に対してマイナスに働きました。チームとしては少しのポイントの為に大きなリスクは冒せなかったし、インディ500への出場すら危うくなる可能性も考えられたんです」と琢磨。

「明日の予選では、僕らにとってのトップとなる10番グリッド、あるいは4列目のグリッド獲得を目指して頑張ります!」と意気込みを語った。

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