残すところ2戦となった2011年のIZODインディカー・シリーズ。ケンタッキー・スピードウェイの1.5マイルオーバルで開催される第16戦の予選では、ポイントリーダーのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今季8度目となるポールを獲得した。チャンピオン争いのライバル、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)は11番手。佐藤琢磨(KVレーシング/ロータス)は、22番手と後方グリッドから決勝に挑む。
第16戦の舞台となるケンタッキー州北部は、今週末は少々異様な寒さに見舞われている。走行が開始された1日朝の気温は摂氏10度以下だった。2回のプラクティスは日中の開催だったが、寒さの中での走行となっていた。予選は午後6時から。空には雲が広がっており、もう日の暮れる時刻とあって暖かさを期待することはできなかった。
今回は29台のエントリーがなされているが、インディー500ウィナーのダン・ウェルドン(サム・シュミット・モータースポーツ)がマシンに問題があってアタックを行えず、ニューハンプシャー・モータースピードウェイでプラクティス中のアクシデントにより出場を断念した女性ルーキーのピッパ・マン(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がアウトラップでクラッシュ。彼女もアタックを行えず仕舞いとなった。
ポールポジションを獲得したのは、第15戦インディジャパンでポイントリーダーに返り咲いたばかりのパワーだった。2周の平均スピードは時速219.283マイル。インディーカーでのキャリア24個目のポールポジションだが、オーバルでのポール獲得はまだ今回が2回目。もうシーズン終了まで2戦という大事なレースで、パワーは見事に力を発揮している。ポールポジションにはボーナスポイント1点を与えられる。これでパワーのポイントリードが11点から12点に広がった。
パワーのポールポジションは今シーズン8回目。インディーカー・シリーズのレコードはマリオ・アンドレッティとダニー・サリバンが記録している1シーズン9回なので、最終戦ラスべガスでもパワーがポールを手にすれば、彼はシリーズレコード・タイに並ぶこととなる。
「ベライゾンのマシンを素晴らしいグリッドにつけることができた。最多リードラップを記録して優勝する。その目標を達成するために最良のポジションからスタートが切れる」とパワーは喜んでいた。「この1、2週の間、クルーたちはベストのシャシーコンビネーションを探し、各パーツにも力を注ぎ込んで最高のマシンを作り上げようとして来た。その成果が今日のポールポジションだと思う。これまで、オーバルは僕らにとって弱点となっていたが、今回のマシンはとても素晴らしいものだ」。
予選2番手はグラハム・レイホール(チップ・ガナッシ)。パワーとは2周の合計で0.208秒の僅差だった。チャーリー・キンボールも予選10番手と大健闘。彼らチップ・ガナッシ・レーシングのサテライトチームは、若手がふたり揃ってチャンピオン争いをしているダリオ・フランキッティよりも上位のポジションを獲得した。スコット・ディクソンは7番手となったが、フランキッティは11番手だったのだ。
予選3番手はジェイムス・ヒンチクリフ(ニューマン・ハース・レーシング)。これは彼の予選における自己ベストである。
フランキッティが予選11番手となった背景には、予選直前のエンジン交換があった。プラクティス2回を終了した後に彼らはエンジンを載せ換えた。最初のプラクティスで気温が低かったため、彼らはサイドポッド内を通す空気の量を大きく抑制、空力でのゲインを狙ったが、エンジンの水温がホンダの定める数値を上回った状態となり、それを規定以上に長く保ってしまったのだ。プラクティス2回目でパワーが出ていないことを感じた彼らはエンジンを換えるしかなかった。予選はまったくのブツけ本番となるが、レースでトラブルを出すよりは断然良い。
フランキッティが若手チームメイトふたりの後塵を拝する結果となったが、チーム・ペンスキーでも不思議な状況が生まれていた。パワーはポールポジションを獲得したというのに、エリオ・カストロネベスは予選16番手、ライアン・ブリスコは予選18番手だったのだ。パワーと彼らの間には平均スピードで時速3マイルという大きな差がある。カストロネベスは去年の、ブリスコは一昨年のケンタッキー・ウイナーだというのに……。「マシンはパワーのものとまったく一緒。なんでこれだけの差ができてしまったのか、今ちょっとアタマの中が混乱している」とブリスコも困惑顔だった。
予選4番手はエド・カーペンター(サラ・フィッシャー・レーシング)。彼はこのコースで2年連続2位となっている。予選5番手はルーキーのJR.ヒルデブランド(パンサー・レーシング)だった。
佐藤琢磨は、予選22番手だった。去年は予選14番手で、今年はそれより前のグリッドを確保できると踏んでいた琢磨だったが、予選でのマシンは思い通りのハンドリングとなっていなかった。
「2回のプラクティスでハンドリングが良かったので、予選ではもっとスピードを出せると思ったのに……」と琢磨も困惑顔だった。「マシンに安定感がなかった。それでも、決勝用セッティングのマシンはトラフィックの中でも安定してたから、明日のレースでは今日よりずっと戦いやすいはず」と琢磨は話していた。
