September 19 2010, RACE
IZOD IndyCar Series Indy Japan 300
2010年9月19日(日)
決勝
会場:ツインリンクもてぎ
天候:晴れ
気温:28~29℃
エリオ・カストロネベスがポール・トゥ・ウインで今季3勝目
佐藤琢磨は12位、武藤英紀は14位、ロジャー安川は20位
アメリカンスタイルの本格的オーバルレーシングコース、栃木県のツインリンクもてぎでのIZODインディカー・シリーズ第16戦インディ・ジャパン300マイルは、5万3000人の大観衆を集めて開催された。スポーツとエコを両立させたHondaの新感覚ハイブリッドカー、CR-Zの先導によって25台のインディカーは午後1時過ぎにコースイン。秋晴れの下で300マイルのレースのスタートが切られた。
スタートからトップ争いを演じたのは、ポールポジションからスタートしたエリオ・カストロネベス(Team Penske)、予選2番手のライアン・ブリスコー(Team Penske)、そして、予選4番手のダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)だった。
その中からカストロネベスが抜け出し、最後までライバル勢を圧倒する速さを見せつけて逃げきり、今シーズン3勝目を飾った。世界最大のレースであるインディ500で3勝を挙げているブラジル人ドライバーは完ぺきなレース運びを見せ、チームは4回行ったピットストップを迅速かつミスなくこなして勝利を確定させた。ドライビングが非常に難しいコースとして定評のあるツインリンクもてぎだが、カストロネベスはエンジニアとともにマシンを完ぺきに作り上げた。彼は200周のレースで153周をリードし、フランキッティに4.5746秒という大差をつけ、ガッツポーズとともにチェッカーフラッグを受けた。そして、クールダウンラップを終えた後、カストロネベスはマシンを降りると喜びを爆発させ、トレードマークとなっているフェンス登りを行った。彼が日本のファンにこのパフォーマンスを見せるのは2006年に続いて2回目。彼は今日の勝利によってポイントランキングを4位から3位へ浮上させた。
レース終盤には、フランキッティとウィル・パワー(Team Penske)によるすさまじい2位争いが行われ、集まったファンを熱狂させた。シリーズポイントで2位につけるフランキッティとポイントリーダーのパワーによるバトルは、そのままチャンピオン争いにつながるため、緊迫感に満ちあふれたものとなった。周回遅れをパスしながらの戦いの中で、パワーはオーバーテイクのチャンスを何度かつかみかけたが、結果的には順位を上げることはできなかった。それでも、オーバルレースでの3位はパワーにとって自己ベストとなる結果である。フランキッティは最低限達成したいと考えていた目標、パワーより上位でのフィニッシュをなんとか達成。パワーより1つ前の2位でゴールしたことにより、両者のポイント差は17点から12点へと縮まった。残すはフロリダ州ホームステッドでの最終戦のみ。彼ら2人による激しいチャンピオン争いが行われる。
予選10位で5列目アウト側グリッドからスタートした佐藤琢磨(KV Racing Technology)は、初めての日本でのインディカー・レースを粘り強く戦い抜いた。予選前にアクシデントを起こしていたことや、第15戦ケンタッキーで1周目にリタイアしていたこともあって、佐藤のスタートは慎重なものとなっていた。そのためにいくつかポジションを落としたが、失ったポジションをコース上でのバトルでばん回した。その後、ピットストップで順位を下げるシーンもあったが、アグレッシブな走りを続け、オーバーテイクを重ねて、オーバルレースでの自己ベストとなる12位でのゴールを果たした。
武藤英紀(Newman/Haas Racing)は予選17番手から発進。68周目に出されたフルコースコーションでピットインしない作戦に出て、17位から2位へとポジションを上げた。上位グループでの武藤はハイペースで走り続け、トップ5をキープしたが、ピットストップのタイミングをずらす作戦が功を奏することはなく、再び17位前後へ後退。それでも、レースを通じてマシンのハンドリングを向上させた武藤は、最後のピットストップ後の50周で3台をパスして14位でゴールした。
スポット参戦のロジャー安川(Conquest Racing)は、予選21位から、完走とトップ10でのフィニッシュを目指してスタートした。マシンのハンドリングが完ぺきではなく、また、ピットストップで給油のトラブルが発生するなど、思うような戦いでポジションを上げることはできなかった。しかし、昨年のレースで成し遂げられなかった完走を果たし、20位でチェッカーフラッグを受けた。
コメント
エリオ・カストロネベス(優勝)
「今日、我々はすばらしいパフォーマンスで優勝を飾ることができた。Team Penskeのマシンは本当に速かった。チームクルーたちが最高のマシンを作ってくれ、エンジニアが完ぺきなセッティングを施してくれ、レース中にセッティングを調整する必要がまったくなかった。ピットストップもすべてがファンタスティックだった」
ダリオ・フランキッティ(2位)
「ツインリンクもてぎでのレースは毎年おもしろい展開になる。特にスタート、リスタートでスリリングな戦いが展開される。残念ながらカストロネベスが速く、我々は2位でゴールとなった。今年始まったオーバルでのチャンピオンシップで初めての王者となり、AJフォイト・トロフィーを獲得できたことは、我々とチーム、両方にとって大きな誇りだ。マイアミでの最終戦、我々は逆転チャンピオン獲得に向け、全力で戦う」
ウィル・パワー(3位)
「今日はカストロネベスが断然速く、レース中にほとんど彼のマシンを視界に捕らえることができなかった。ツインリンクもてぎでのレースで、私は大きな意義のある経験を重ねることができた。トラフィックの中でのドライビングというものが分かった気がする。だからこそ、オーバルで初めて表彰台に上ることができたと思う。最終戦、私は勝ちにいく。私が勝たなければフランキッティが勝つだろうからね」
佐藤琢磨(12位)
「慎重にスタートした結果、いくつかポジションを落としました。しかし、今日はコース上でオーバーテイクをとても多く達成し、レースを楽しむことができました。メインストレートに戻ってくるたびにファンのみんなからの応援を感じて、もっと前へ! という気持ちで走っていました。結果は12位と、トップ10フィニッシュができなかったのは残念ですが、今週の始まり方を思い起こせば、とてもすばらしい週末にできたと思います。今シーズンは苦戦が続いていて、まともな状態でチェッカーフラッグを受けることのできたレースが少ないのですが、それらのレースを通して学んできた多くのことを、今日のレースではフルに発揮できたと思います。ツインリンクもてぎのレースは本当に難しい。オーバルの戦いでありながら、ロードコース的な戦い方も必要とされます。今回また多くのいい経験を積めたので、それを生かして最終戦でいい結果を手にしたいと思います」
武藤英紀(14位)
「序盤はマシンのハンドリングがよくなかったのですが、コクピットの中でできる調整を繰り返し、ピットストップでのセッティング変更も行って、マシンは徐々に、着実によくなっていきました。ギャンブル的な作戦で2番手に上がりました。トップ5での戦いでは自分たちのペースも十分に速く、その後の展開次第では上位に残り続けることができると思っていたのですが、イエローフラッグの出るタイミングが我々の望み通りとはならず、順位をまた下げてしまいました。それでも、最後のスティントでオーバーテイクを重ね、攻めの走りを見せることができました。ファンからの応援を感じ、それに応えたいと思って走っていました。14位という結果には満足していませんが、最終的にマシンはとてもいいハンドリングとなっていたので、この勢いを保って最終戦マイアミでいい結果を出したいと思います」
ロジャー安川(20位)
「慎重にスタートを切り、クルマがいいことを確認しました。その後、ターン3、4でのアンダーステアが出始め、単独走行では問題はありませんでしたが、トラフィックの中では苦しい走りになっていました。そのマシンバランスを直そうとピットストップでセッティング変更を重ねると、今度はターン1、2でオーバーステアが出るようになり、ペースを上げることができませんでした。完走を目指したレースで、その目標は達成できましたが、スポット参戦でしたので、我々の考えている通りにマシンを仕上げることはできず、悔しいレースとなりました。インディカー・シリーズの競争は年々激しさを増しています。いい結果を出すためにも、来年はインディ500に出場し、再びインディジャパンにも出場したいと思います」
エリック・バークマン|HPD社長
「インディジャパンには衝撃的といっていいほど多くのファンが詰め掛けてくれた。情熱的な日本のファンの前で、すばらしいレースが繰り広げられた。いくつかのアクシデントはあったが、グリーンフラッグの状態が長く続いた時もあり、ハイスピードでのダイナミックなバトルが続いた。カストロネベスの速さは驚くべきもので、フランキッティは優勝こそできなかったが、安定感あふれる走りで2位フィニッシュを飾った。彼はパワーの1つ前の2位でゴールしてポイント差を少しだけ縮めることに成功し、やるべき仕事をやり遂げたと思う。今年もチャンピオン争いは最終戦までもつれ込むことになった。パワーがフランキッティを12点リードしており、どちらのドライバーにもチャンピオンになるチャンスはあるが、状況はパワーが有利だと思う」
