バトン、ピレリPZeroタイヤでドラマチックなカナダGPの勝利を収める

2011年6月12日、モントリオール

またしてもカナダGPは大興奮のレースとなりました。度重なるセーフティカーの出動、数々のドラマがレースを面白くし、タイヤがその中心的な役割を演じたのです。豪雨による長時間にわたる赤旗中断の後、マクラーレンのジェンソン・バトンがピレリのPZeroF1用タイヤのうち3種類を使用して今シーズン初優勝を飾りました。

バトンはレース序盤にチームメイトと接触し、ドライブスルーペナルティも科せられ、5度のピットストップを行ない、一時は21位まで後退したにもかかわらず、最終ラップにレッドブル・レーシングのセバスチャン・ベッテルを追い抜き、優勝を果たしました。それは彼の素晴らしいドライビングに加えて、今季の中でも最も様々な出来事が起きたこのレースにおいて、刻々と変わるコンディションに合わせて正しい戦略を採ったことによるものです。

レースはウエットコンディションで最初の4周にわたるセーフティカー先導のもとで始まりました。そのため全車が、初の実戦使用となるPZeroオレンジ・フルウエットを履きました。8周目、最初にPZeroブルー・インターミディエイトに交換したのがバトンでした。これもインターミディエイトの実戦初登場でした。

しかし、レース開始から30分後に再び雨が降り始め、セーフティカーの出動となりました。それからすぐ、コンディションが走行不能なほどに悪化したため24周目にレースは赤旗中断となりました。規定により、レースの再開を待つ間に各チームにはタイヤ交換とマシン整備が許されました。

約2時間後にレースはセーフティカー先導でようやく再開となり、再びPZeroオレンジが使用されました。路面が乾いていくにつれて、上位勢はインターミディエイト、そして最後にはスリックタイヤへと交換しました。バトンは51周目に最後のピットストップを行なってPZeroレッド・スーパーソフトに交換し、残り12周の時点で再びセーフティカーが出動したこともあって、2.7秒差で勝利を収めました。

最終ラップ以外の全ラップをリードしたベッテルは、3回目のピットストップでPZeroレッド・スーパーソフトを履いて2位でフィニッシュ。チームメイトのマーク・ウェバーが3位となりました。最後の8周は熱狂的な表彰台争いが展開され、バトン、ウェバー、ミハエル・シューマッハからのプレッシャーを受けてベッテルが珍しくミスを犯しました。

レースが終わる頃には、レース開始から4時間半近くが経過していました。

ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター ポール・ヘンベリーのコメント:
「今季これまでに見てきた中で、最もスリリングで予測不可能なレースのひとつでした。ジェンソン・バトンの走りは素晴らしく、表彰台に上った上位3名のポジションも全てが最終ラップに決まったほどでした。ついに今回はウエットレースになり、PZeroオレンジ・フルウエットとPZeroブルー・インターミディエイトの性能が披露されました。レースが再開されてからは、ウエットからインターミディエイトへの交換タイミングが見られ、これは実戦では初めてのことであり、我々としても非常に興味深いところでした。バトンとベッテルが証明した通り、このクロスオーバーポイントが戦略の鍵になるのです。気持ちのこもった走りを見せた小林可夢偉にも大いに楽しませてもらいました。それだけでも、レース中断の間を待つ価値はあったと言えるでしょう。最後の表彰台争いも、間違いなく今シーズンここまでのハイライトのひとつでした」

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