May 22 2011, QUALIFYING
IZOD IndyCar Series 2011 Indianapolis 500
2011年5月22日(日)
予選第2日 バンプデイ
会場:インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
天候:曇りのち雨のち晴れ
気温:23.5~26℃
予選2日目の最速はポール・トレイシー、続いてダニカ・パトリック
100周年レースのスターティング・グリッドが決定
朝から蒸し暑さに包まれたインディアナポリス・モーター・スピードウェイで、記念すべきインディ500の100周年レースに出場する33人のドライバーを決定する予選が今日も行われた。
予選2日目はバンプデイと呼ばれ、イス取り合戦のように33個のグリッドをめぐる戦いが繰り広げられる。ポールデイには33個のうちの24個のグリッドが埋められたが、そのうちで決勝への進出が約束されているのはトップの9台だけ。バンプデイの戦いは、ポールデイで10番から24番までのグリッドを手に入れたドライバーたちも含めたグリッド争奪戦なのだ。
雨による2度の中断もありながら、午後3時前に33個のグリッドが埋められると、インディ500特有のバンプアウト合戦が始まった。数々のドラマを生んだ末、夕方の6時過ぎに33個のグリッドはすべて埋められた。
予選2日目の最速ランナーとなる平均時速224.939マイルをマークして25番グリッドを手に入れたのは、昨年まさかの予選落ちを喫したベテランのポール・トレイシー(Dreyer & Reinbold Racing)だった。女性ドライバーのダニカ・パトリック(Andretti Autosport)は、雨のために予選2日目はアタックができず、今年のインディ500出場をあきらめなければならない可能性にさらされた。しかし、天気が好転してアタックするチャンスを与えられると、224.861マイルの見事な走りで26番グリッドを確保した。
今年のバンプデイ一番のドラマは、最後の最後に待っていた。マルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)がアレックス・ロイド(Dale Coyne Racing)によってバンプアウトされたのは、予選終了間近の5時55分。次にアタックしたのはルーキーのジェイムス・ジェイクス(Dale Coyne Racing)だったが、彼は予選通過の可能性を持つスピードを2周続けて記録できず、アタックを中止。それによってアンドレッティは残り1分でコースインすることを許された。このアタックを成功させなければ決勝進出はできない。大きくプレッシャーがのしかかる状況で三世代目ドライバーは秘めた実力を発揮、224.628マイルというすばらしいスピードで28番グリッドを獲得、決勝レースへの出場権をつかんだ。しかし、それは同時に、彼のチームメートであるライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)をバンプアウトするということでもあった。
今日、最初のアタッカーとしてコースインしたブラジル出身女性ドライバーのアナ・ベアトリス(Dreyer & Reinbold Racing)は、予選終了が告げられた時には最も遅いスピード保持者となっていた。彼女は33番グリッドでギリギリの予選通過を達成した。
女性ドライバーは、イギリス出身ルーキーのピッパ・マン(Conquest Racing)も32番手と、エントリーした4人全員が決勝進出を果たした。ルーキーはそのマンを含めた5人が出場を決めた。そして、優勝経験を持つドライバーも5人が5月29日開催の100周年レースへと出場する。
コメント
ポール・トレイシー(25番手)
「予選通過はチームのためにもとてもうれしい。計測3周目に雨が降り出し、コーナーの出口でマシンが滑った。それでも4ラップを走りきり、決勝進出を決めたかった。なんとか天気がもってくれ、アタック中断にはならずに済んだ。インディアナポリスではほんの小さなコンディションの変化、セッティングのズレでスピードが大きく変わってくる。昨日予選を通過できなかったことで、ひどくストレスを感じていた。インディはそういうレースなんだ。すばらしい働きで決勝進出を決めさせてくれたチームに感謝したい」
ダニカ・パトリック(26番手)
「今日どうして大きくスピードアップできたのか、その原因は完全にはわかっていません。インディアナポリス・モーター・スピードウェイというのは本当に不思議なコースで、ドライバーに自信がなかったり、神経質になっていたりすると、速く走れないものなのかもしれない。きっとそうだと思う。自分がアタックをしようというところで強い雨が降ってきた時は、なにもかもが悪い方向に進んでいる、今年はもう出場できない運命なのかも、と考えたほどでした。とてもエキサイティングな一日だった」
ライアン・ブリスコー(27番手)
「昨日までのTカーは、プライマリーカーと同じだけのスピードが出せなかったが、今日はマシンがすばらしいと感じることができたし、セッティングもよかった。そして、コースコンディションもよかった。僕が走った時には風も弱まっていたぐらいだった。決勝レースはこのTカーで走る。プラクティス初日に走らせた時に好感触が得られているので、レースでもいい走りが可能だと思う」
ロジャー・グリフィス|HPD テクニカル・ディレクター
「今年もバンプデイは劇的だった。雨で2度も中断し、スピードウェイは必死の乾燥作業を行って予選を2度とも再開させた。それによって最後まで激しいグリッド獲得合戦が続いた。ファンはおおいに楽しめたことと思うが、ドライバーやチームメンバーたちにとっては神経をすり減らすような戦いであった。ダニカ・パトリックはオーバルでのスピードを改めて実証し、マルコ・アンドレッティは最後の最後、風の強いコンディションだったが、持てる力をすべて出しきって大きくスピードアップを果たした。Andretti Autosportにとっては悲喜こもごもの一日でもあった。2人のドライバーを決勝へと押し進めたが、2人は決勝進出を果たせなかったのだ。インディ500の予選は本当に難しい。それを今年は改めて感じさせられた。マルコ・アンドレッティのように、持てる力の全てを投じなければグリッドは手にできない。出場ドライバーたちのこのような激しい戦いを支えるために、我々はトラブルフリーのエンジンを今年も供給することができた。それを実現するためにハードワークをこなしたスタッフに感謝する」
