復活したマクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は、今季初のダブル入賞を達成した第10戦ハンガリーGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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甘口編
2戦連続で完璧な仕事をしたホンダ
7つのトークンで本格的にパフォーマンスを向上
フェルナンド・アロンソの5位は今シーズン、マクラーレン・ホンダにとって最上位となるリザルト。ジェンソン・バトンも9位に入賞し、マクラーレン・ホンダは今季初めてのダブル入賞を果たした。そこには、メルセデスAMG勢とウイリアムズ勢の自滅があり、フェラーリのキミ・ライコネンやフォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグの不運なリタイアがあったことも確かだが、レースはチェッカーフラッグを受けた時点での順位がすべてで、途中いかに速かろうがコースアウトしたり、クラッシュしたり、マシンが壊れてしまっては何にもならない。
マクラーレン・ホンダもハンガリーGPの週末にトラブルがなかったわけではない。土曜日の予選でバトンは2回目のアタックに出て行くとき、ソフトウェア上に問題が発生。突然、MGU-Kが使用できなくなってしまう。さらにQ2に進んだアロンソに至っては、電源系のメインのコネクターが緩んでしまい、走行中にパワーがシャットダウンして、アタックに入る直前にマシンがストップしてしまった。
トラブルが起きたこと自体は嘆かわしいことだが、このふたつのトラブルはパワーユニットそのもののトラブルではなく、人為的なミスである。しかも、チームもホンダ側も明言はしていないが、トラブルの具合から想像するに、どうやら車体側、つまりマクラーレン側のヒューマンエラーだった可能性が高い。
私の記憶が正しければ、ホンダは前戦イギリスGPでもハード面でのトラブルやソフト面でのエラーを起こしていない。つまり、2戦連続して完璧に仕事をこなしていたといっていい。これはシーズン中盤を迎えて、ようやく序盤戦での後れを取り戻し、苦しめられていた信頼性が向上しつつあることを証明しているのではないか。冒頭にも述べたとおり、レースで大切なことしは、まずフィニッシュすることである。いかに速くても、ポテンシャルを持っていようとも、ゴールに辿り着かなければ、何も残らない。最高位でフィニッシュしたことよりも、2台そろって入賞したことよりも、ホンダがこの2戦しっかりと仕事をし続けていることが後半戦に向けて何よりも力強い。
もちろん、今回のハンガリーGPのダブル入賞が、サーキット特性によるものであることも事実である。ハンガリーGPはガードレールのないモナコと呼ばれるように、パワーユニットの性能そのものよりも、車体側の性能が問われるサーキットである。夏休み明けに控えているベルギーGPが行われるスパ-フランコルシャンとイタリアGPの舞台であるモンツァは名うてのパワーサーキット。ホンダにとっては厳しい戦いになることは間違いない。
しかし、信頼面が向上したいま、ホンダはパフォーマンス向上を目指した開発に集中できるときなのである。それは新井康久総責任者も認めている。
「あとは出力を上げるだけ。忙しい夏休みになりそうです」
そう、F1チームは夏休みに入るが、F1チームにパワーユニットを供給するホンダは強制的な休暇を取る必要はない。まだ残されている7つのトークンをいかに使用してくるか。シーズンはまだ折り返したばかり、これからがホンダの本当の戦いである。
ホンダ辛口評価編:シャンパンにはまだ早い
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