残り4戦となったIZODインディカー・シリーズ。第16戦はボルチモアの市街地コースで開催され、タイトルを争うスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が今シーズン2度目となるポールポジションを獲得した。佐藤琢磨(AJフォイト)は、予選10番手から決勝に挑む。
とても蒸し暑いコンディションの下、歴史あるボルティモアの街に作られた2.04マイルのストリートサーキットを使ってインディーカー第16戦の予選が行われた。
走行初日の金曜にトップタイムをマークしていたのはルーキーのトリスタン・ボティエ(シュミット・ピーターソン)で、 2番手がグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)、3番手はジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・)と若手が元気なところを見せていた。
それが予選直前のプラクティス3では一転、一気に1秒以上のスピードアップが果たされたセッションで、サイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン)が1分18秒4391でトップとなり、2番手にはディクソン、3番手にはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がつけた。
予選の第1ステージは出場24台を2グループに分けて行われるが、今回はグループ1がより厳しいものになった。ディクソン、パワー、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)と強豪が集中したのだ。
そのグループ1、トップ通過は1分17秒9275と、今週初の1分17秒台入りを果たしたディクソンで、パワーが2番手となった。3番手につける1分18秒3436をマークしたのは佐藤琢磨で、4番手はハンター-レイ、5番手は金曜から好調を維持しているレイホール、そして6番手はジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)となった。先週のソノマでポールポジションを獲得したフランキッティは、8番手のタイムしか出せずボルティモアではまさかの第1ステージ敗退を喫した。
グループ2はペジナウがトップだった。このセッションでは予選上位進出の可能性を十分秘めていたセバスチャン・ブルデー(ドラゴン・レーシング)がシケインのタイヤを弾き飛ばすクラッシュ。彼は2ラップ取り消しで計測ラップなしとなり、予選最下位と決まった。
ポイントリーダーのカストロネベスは、ブルデーのアクシデントによる赤旗が出された時点では7番手で、第1ステージ敗退の危機に晒された。しかし、残り3分でグリーンフラッグが振られた後、3番手となるラップを記録して難を逃れた。
第2ステージが始まると、ディクソンが第1ステージで使ったレッドタイヤで走り出した。彼はフレッシュレッドを1セット残してファイナルを戦うことを狙ったのだ。しかし、エンジンのセンサーにトラブルが発生してストレートスピードが伸びず、フレッシュレッドを投入しても彼のポジションは7番手だった。
このセッションはレイホールが終盤にタイヤバリアに突っ込むアクシデントを起こし、そこにボティエが突っ込む事態に発展。レッドタイヤでのアタックを存分に行えたドライバーがほとんどいなかったことは、ラップタイムが第1ステージを下回ったところに明らかだ。カストロネベス、ハンター-レイ、琢磨らは持てる力をフルに発揮できず、ファイナル進出を諦めることとなった。
ディクソンは計測開始とともにユーズドレッドで走った作戦によって救われた。赤旗を出したレイホールは2ラップ取り消しで12位へと後退。7番手だったディクソンはひとつ順位が繰り上がって6番手となり、ファイナルへと進むこととなったのだ。トラブルが出ていた彼とすれば、かなりの幸運に恵まれた予選となっていた。
ファイナルに進んだ6人はパワー、ニューガーデン、ボティエ、ぺジナウ、ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・)、ディクソン。ホンダドライバーが5人を占めていたが、ポールポジションは唯一のシボレーユーザーであるパワーが獲得する寸前まで行った。パワーはアタック3周目に1分18秒1171をマークしてトップに躍り出た。アタック4周目での自己ベスト更新に彼が失敗すると、ディクソンが1分18秒0838でトップの座をパワーから奪い取った。
パワーにはまだアタックを続けており、最後の1周での逆転は可能だった。もうディクソンは新しいアタックラップに入れない状況となっていた。その重要なラップのヘアピンでパワーはブレーキングミス。3年連続ポールはならなかった。
ディクソンはトロントでのレース2以来となる今シーズン2回目、キャリア20個目のポール獲得を達成した。ディクソンと予選2番手のパワーとの差は僅か0.0333秒だった。
「第1ステージまではスムーズだったのに、第2ステージをユーズドレッドでクリアしようとトライしたら、センサートラブルが出てファイナル進出が危ぶまれる事態となった。レイホールがクラッシュしたおかげでファイナルに出ることが可能となり、トラブルの解決したマシンでポールポジションを獲得となったんだから嬉しい。チームが素晴らしい仕事をしてくれたからこそのポールとなった。ポールを決めたラップ、実はヘアピンでミスをしていた。それでもポールを手にできたのは今週末の僕らのマシンが速さを備えているから。明日のレースはドライでクリーンに……と行きたいね」とディクソンは語った。
2位に敗れたパワーは、「厳しい予選で、全力を出し切ったがポールを逃した。チャンスは最終ラップのひとつ前だった。あのラップを完璧にまとめ上げることができなかった」と悔しがっていた。
ホンダは今シーズン7個目のポールポジション獲得を果たした。ストリートでは8戦目で6回目のポール獲得だ。
予選3番手はパジェノー、予選4番手はウィルソン、予選5番手はニューガーデン。これらの3人は今シーズンの予選ベストリザルトを更新した。予選6番手はボティエとなった。
ポイントランキング2位で逆転タイトルを狙うディクソンにとって、今日のポールポジション獲得は大きな意味を持つことになるかもしれない。カストロネベスは予選7番手、ランキング3位のハンター-レイは予選8番手と、タイトルを争うライバルたちはトップ争いに上がって来るのは結構な障害を乗り越えて来なければならないグリッドしか得ていないからだ。
今季5回目の予選トップ10入りを第11戦ポコノ以来久しぶりに果たした琢磨は、「予選前のプラクティス3ではブレーキにトラブルが出ていましたが、予選ではその問題もほぼ解決しており、良いラップタイムを第1ステージで出せました。マシンのセッティングは良くなっています。しかし、予選の第2ステージでは赤旗でアタックを行い切らないうちに予選終了。ちょっとフラストレーションの溜まる戦いになってしましましたね。明日、ウォームアップでブレーキのトラブルが完全に解消していること、セッティングを更に良くすることを目指します」と琢磨は話した。
