ミド・オハイオ・スポーツカーコースで開催されているIZODインディカー・シリーズ第14戦。4日に行われた決勝レースは、チャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ)が今季4人目となるインディカー初優勝を飾った。佐藤琢磨(AJフォイト)は22位と、終始下位を走行するなど厳しいレースとなった。

 予選5番手からスタートし、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)をパスして4番手に浮上したキンボール。前を行く3人のドライバーたちをパスすることはできなかったが、2ストップ作戦で燃費セーブを続ける彼らとは違う作戦に打って出た。

 ポールポジションからトップを走り続けたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)らが1回目のピットストップを30周目まで引っ張る中、キンボールは20周目にピットへと滑り込み、前に誰もいないコースへと復帰。速いラップを続けてマークし、トップグループがピットに向ったところでトップに躍り出る。31周目のことだ。

 このアンダーカットによりキンボールのアドバンテージは決定的なものとなった。2回目のピットストップを終えた彼は、まだ1回のピットストップしかしていないハンター-レイたちよりも前にピットアウト。デビュー3年目にしてインディカーでのキャリア初勝利を手繰り寄せる。

 キンボールの初優勝を脅かしたのは、今年のデトロイトでキャリア初優勝を飾ったサイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)だった。3回目のピットストップを終えたキンボールがトラフィックの処理にまごついてタイムをロス。最後のピットストップを72周目に行ったペジナウはキンボールの前にピットアウトすることに成功した。

 しかし、まだタイヤが暖まる前のターン2でキンボールはパジェノーに追いつき、続くバックストレッチの先でクリーンにインサイドをついてトップを奪い返した。キンボールは90周のレースで実に46周もリードしてキャリア初優勝を飾ったのだった。

「マシンが本当に速かった。そして作戦も完璧だった。チームメイトのスコット・ディクソンの後ろを走っていた序盤、クリーンエアーさえあればもっと速く走れると考え、3ストップ作戦にスイッチした」とキンボール。

「チーム力の勝利だ。予選前にアクシデントを起こし、チームがバックアップカーを完璧な状態に用意してくれた。それで予選で上位のグリッドを獲得できたんだ。今日のレースでもマシンがとても速かった。ファンタスティックな1日になったよ」

 キンボールはスタートに使ったフレッシュのレッドタイヤは20周で交換することとなったが、続けてレッドを投入することで大きなリードを築き上げ、2回目のピットストップでフレッシュのブラックを履いてもそのペースは大きく変わらず、最後にユーズド・レッドを投入して逃げ切った。タイヤマネジメントが良かった上に、どちらのタイヤを装着しても安定した速さを発揮。初勝利を飾るドライバーとは思えないほどの堂々たるパフォーマンスだった。

 ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)のキャリア初優勝で始まった2013年シーズンは、第3戦ロングビーチでの佐藤琢磨、デトロイトのレース2でのペジナウと初勝利ドライバーを生んで来た。そして今日、キンボールは今季4人目の初勝利を記録するドライバーとなった。これまでの彼のベストリザルトは、去年のトロントと今年のポコノでの2位だった。さらに、キンボールは今シーズン14戦目で9人目のウイナーとなった。

 2位に入ったのはペジナウ。3位はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)のものとなった。ホンダはタイトル・スポンサーを務める第二のホームコース、ミド・オハイオでのレースで1-2-3フィニッシュ。今シーズンの優勝数はアイオワ戦の時点では3勝7敗と大きく離されていたが、ポコノからの4連勝で一気にシボレーに並ぶことに成功した。

 佐藤琢磨は15番手スタートからポジションを上げて行く戦いを期待されたが、逆に順位を下げて22位でゴールした。

 決勝日朝の30分間のウォームアップでもハンドリングが向上せず、決勝に向けてはまた新たなマシンセッティングをトライする必要があった。しかし、新たなセッティングでも期待通りの成果を得ることはできず、完走を目指す戦いを行うしかなかった。

「グリップ感がなく、バランスも悪かった。厳しいレースになっていました。ピットストップでセッティングを変更し、何とかマシンを良くしようとしたんですが……」と琢磨は苦戦を振り返った。金曜のプラクティス2回でのマシントラブル、土曜日のプラクティスでのコースオフと、マシンセッティングを進められずに決勝を迎えた彼らはその不利を跳ね返すことができず、今シーズン最も苦しい戦いぶりとなっていた。

 ランキング3位でポールスタートから逆転タイトルへの足がかりを掴もうともくろんでいたハンター-レイは、2ストップ作戦を選んだために勝利を飾ることはできなかった。2回目のピットストップでマシンを停止する位置が壁から離れていたため、給油に時間がかかり順位を落として5位でのフィニッシュとなった。

 予選2番手から今季初勝利を目指したウィル・パワー(チーム・ペンスキー)も、2ストップ作戦を選んだのが失敗で、フランキッティにもパスを許して4位でフィニッシュしている。

 ポイントリーダーのエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は14番手スタートから6位でゴール。今シーズンの彼のトレードマークである粘り強い戦いぶりがミド・オハイオでも発揮された。

 3連勝でランキング2位に浮上したスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)には、得意のミド・オハイオでの3年連続優勝と通算5勝目、そして4連勝を期待されていたが、3番手スタートから7位でのゴールとなった。2ストップから3ストップへと作戦を切り替えたディクソンだったが、それによって状況を大きく変えることができなかったようだ。

 ポイントスタンディングは、カストロネベスが453点でトップをキープ。ディクソンは422点で2番手。ハンター-レイは388点で3番手と変わらない。カストロネベスとディクソンの差は31点となり、ハンター-レイはカストロネベスと65点差。残すレースは5戦となっている。

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