IZODインディカー・シリーズ最終戦。2DAYで開催されるホームステッド。明日のレースはナイトレースになるため、予選終了後にファイナルプラクティスが行われた。ロータス/KVレーシングの佐藤琢磨は43周を走行し、23番手だった。
IZODインディカー・シリーズ第17戦
ウォームアップ:23番手
予選で9位に食い込んで見せた佐藤琢磨は、「予選までは順調」と語っていた。しかし、決勝を前にして行われたプラクティスセッション2、彼のマシンは意外や手に余るものとなっていた。ホームステッド・マイアミ・スピードウェイならではのドライビングの難しさとは、路面のグリップが根本的に低いところがスタート地点となっている。レース用セッティングを施したマシンで夕方のプラクティスを走り出した琢磨は、それを痛感させられた。マシンに必要な安定感が大きく不足していたためだ。レースに向け、マシンセッティングの再考が必要な事態となったのだ。
Q:ファイナルプラクティスは予想を大きく上回る難しさだったのですか?
琢磨:ヤバいです。凄いグリップがなくて、ちょっと怖かったぐらいでした。集団で1回も走れてません。トラフィックがどうのこうのを言う前に、単独走行ができなかったから。
Q:路面コンディションが大きく変化していたとか?
琢磨:うーん……気温も落ちているということで、ダウンフォースが最初の状態では弱過ぎたのかな? 途中から凄くダウンフォースはつけていきました。KVは3台とも今、かなり下の方のタイムしか出せてないでしょ。ニュータイヤをつけた時にちょっとタイムは上がったけど、それはあまり参考にはならないですね。その後の落ち込みも激しかったし。ちょっと、このままじゃマズイんで、セッティングは大きく変えていくと思います。
Q:タイヤの持ちが短いという話もドライバーたちから出ていますが、その点はどうですか?
琢磨:悪いですね。非常に難しい。まともに走れていないから怖い。フラフラとクルマが安定していなかったので。
Q:このサーキットの難しさは、ある意味では想定外ですよね? もてぎは誰もが難しいって言っていたと思うんですが、ホームステッドがまた違った意味で難しいというのは。
琢磨:先週、多くのチームがテストをしにきましたよね? 上のチームでもテストにきてた。それが示していると思いますよ、このコースの難しさを。エンジニアリングサイドとしても、アンダーステアもオーバーステアも両方出ちゃうので、ちょっと今、ひとつの状態を解決するっていうことができないんですよ。プラットフォーム全体から考え直さないと。ちょっとビックリです。
Q:このセッション中に吹いていた風はどうでしたか?
琢磨:風自体はそんなになかった。カンザスとかは結構風があったって走れていたのに、今日はこんなに弱い風でも走ってて感じるんですよ。それぐらいクルマがエッジーっていうか、限界で、ひと吹きしただけでクルマが揺れるんですよ。
Q:風にも大きな注意が、毎ラップで必要だという状態なんですね?
琢磨:そう。そんな状態だから、集団は全然走れなかった。
Q:予選までは順調でしたが、後退した感じですね?
琢磨:まぁ、大幅にクルマは変えなくちゃいけないでしょうね。決勝はナイトレースだし、クルマは今ともさらに違うものが必要になると思うんですよね。今のセッションは、涼しいだろうというコンディションに合わせてセッティングしたクルマがこんな状態だった。チームの3台ともがひどいから、どこをどうすれば……っていうのが今はわかってないですけども。
Q:今年のこれまでのレースでも、多くのケースで想像を働かせてきたと思うんですよ。十分にあるわけではないデータを基にして、一生懸命に決勝用の良いマシンというものを作ろうと努めてきていたと思うんです。そして、それはかなりの確率でうまくいっていたように見えていました。自分とエンジニアリングチームの今までの仕事ぶりは、決して悪いものなんかじゃなかったと思うんですけど、どう感じていますか?
琢磨:自分の中に比べる基準がないから……。僕はまだインディカーを十分に知らないのでね。それで、いつも終わってみて、「なんとか帳尻を合わせることはできたかな?」っていう程度なんですよ。いつも走ってみるまで、どうなってくるのかがわからない。どこに駒を落とせるかっていう……その落とす場所が真っ暗闇で何も見えないので、もうそこはエンジニアを信じるしかない。僕ができるのはクルマのフィードバックだけ。それに対してエンジニアが「こうしよう」って言ってきてくれた時に、僕自身が納得すればそのままでいきますし、「いや、そこはこうしよう」みたいなのがあったら、僕が納得すれば彼らの示す方針でいくし、そうでない場合には、彼らの方で僕を納得させてくれるまでは、そっちにはいきません。
そういう繰り返して今までやってきて、総じて、なんとかレースにはなってきたってところですけど、やっぱり本当に納得ができて……って状態で迎えられたレースって、ほとんどなかったですから。強いて挙げれば、レース中にクルマをどんどん好くしていけたアイオワとか? でも、あそこは走り始めからかなりマシンのレベルが高かったので、ね。ダウンフォースもついてたし、グリップ感じも僕が結構自信を持てるようなクルマだったんですけど、今日はサラッサラで、これはコントロールできないよっていうぐらい、一瞬で何かがおきてもおかしくないクルマだったんです。
Q:プラクティス2でのマシンの状況をもう少し具体的に話してもらうと?
琢磨:例えば1コーナーですけど、普通はボトムというか下のレーンにいくとアンダーステア傾向が強くなって、上にいけばいくほどルーズ(オーバーステア)になっていくんですけど、1コーナーに入ってって下のレーンに行くとクルマが暴れ出して、リアがどんどん出てっちゃう。今までにこんなことって全然感じたことがない。そんな状態なのに、3コーナーはナーバスで、4コーナーに帰ってきたら、いくらハンドルを切っても曲がらない。だから1周の中で3回ぐらいクルマのキャラクターが変わってしまっていた。コクピットでツールを動かして……っていうのはやってますけど、ちょっと無理ですね。コーナーに一度入ってしまったら出来ないので、コーナーに入る前にツールは動かさないとならない。でも、進入はナーバスで、出口はプッシュですから、どうしようもないですよ。
Q:いやぁ、難しそうですね。
琢磨:凄い難しいですよ。だからちょっと、あるだけのデータとノウハウで、明日に備えるしかないですね。
Q:明日に向けて、いい答えが見つかるといいですね。
琢磨:まぁ、逆にいえば、今のプラクティスでセッティング変更を施した部分はダメだったっていうことがわかった。それは貴重なデータなのでね、どういう方向で間違っていたのかっていう点については是非とも答えを出したいですね。
