全日本選手権スーパーフォーミュラ第7戦鈴鹿の決勝レース2で3位に入り、同ポイントながら1大会での獲得総ポイントで上回り、2013年のスーパーフォーミュラチャンピオンに輝いた山本尚貴(TEAM無限)が、レース後チャンピオン獲得の喜びを語った。

 レース後、新車SF14のデモランやシーズンエンドセレモニーに慌ただしく参加した山本。表彰台、そしてセレモニーで他のドライバーからスパークリング日本酒を浴びせられた山本は、ズブ濡れになりながらも、「もう着替えのスーツがないので……」と笑顔で記者会見場に現れた。

 以下は山本のコメントだ。

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 本当に信じられないのひと言です。最終戦に臨む前に「チャンピオンを獲りたい」と思って鈴鹿に来ましたけど、誰が見ても条件は厳しいですし、まして自分は一度も勝ったことがない。ポールを獲って勝たなければいけないということは、非常にハードルが高いと思っていました。

 厳しいとは思っていましたけど、土曜のフリー走行を走ってみて、クルマの調子がいいのと、自分も落ち着いて走れていたので、もしかしたらチャンスがあるかも、と思いました。その中で自分の仕事をちゃんとこなすことだけを考えてレースに臨みました。

 レースはいろんなことがありましたけど、本当にクルマも良かったですし、エンジンも良かったですし、なんと言っても運が僕にはついていたかな、と思います。本当にすべてのことがかみ合わないとチャンピオンにもなれませんし、優勝することもできないと思うんです。そういう運を引き寄せることができたのも、チームの皆さん、ホンダさんが一生懸命頑張ってくれたからだと思います。僕はそういうマシンに乗ることができて本当に幸せですし、今まで支えてくださった皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

(Q:レース2の終盤、雨が降ってきた時にシケインでコースオフして小暮卓史選手に抜かれてしまった時の気持ちを教えて下さい)
 雨が降ってきたのは分かったので慎重にいかないと……とは思ったんですが、あんなに滑るとは思わなくて。ハーフスピンした時には本当に「終わった」と思いました。うしろを見ている余裕もなくて、気付いたら隣に小暮選手がいました。

 でもあのまま小暮選手を抜いていたらシケイン不通過でペナルティになったかもしれないので先にいかせて、その後抜きにかかって、抜いたのはいいんですけどまた飛び出して。何がなんだか良く分からなかったのが正直なところです(苦笑)。でもあそこでも諦めなくて良かったです。それに、小暮選手に前にいってもらったことが逆に良かったです。小暮選手がいなかったら自分のペースで走ってしまったと思うので。小暮選手より手前でブレーキを踏めば、とりあえずコース上にステイできると思いましたから。

 うしろからはルマンの2台が来ていたので、要所を押さえつつ走ればいけるんじゃないかな、とは思いました。でもドキドキでしたけどね。

(Q:昨夜は両予選でポールポジションを獲りましたが、よく眠れましたか?)
 ……眠れませんでした(笑)。寝ようと思っても、次の日のレースのスタートのことを考えてしまったりとか、余計なことばっかり考えてしまったのと、正直見ちゃいけないとは思いつつも、パソコンでその日の予選結果だったり、自分がどう掲載してもらっているのかも見てしまって(苦笑)。「この日で終わればいいのにな……。このまま家に帰れれば楽なのに」なんて思ってしまって。

 早く寝ないと……とは思ったんですけどね。でも朝起きたらけっこうスッキリしていたので、今日はいけるかな、と思いました。

(Q:ファイナルラップはどういう気持ちで走っていたんですか?)
 とにかくコース上に留まらないと、今まで頑張ってきたことが無駄になってしまうので、とにかくコース上にステイすることを考えました。スピンすることや、ロックさせることも絶対にさせないようにしました。レース1ではロックさせてしまいシケインで真っ直ぐいってしまいましたが、その意味では糧にできたと思いますね。

 昨日、ちょうどパソコンでサイトを見ていて「3位でもチャンピオンになれる」というのを読んでしまっていたので(笑)。無線では「このポジションを守れ!」と、変に「このポジションならチャンピオン」という風には言ってこなくて、プレッシャーをかけないようにしてくれていてチームには感謝していますが、「昨日3位なら大丈夫って見ちゃったしな……」と思い、良かったのか悪かったのか(笑)。でも、絶対にこのポジションを守らないと、今週がんばった意味がないと思ったので、ステイするために頑張りました。

(Q:スーパーGTの初優勝の時には涙があふれましたが、今回は我々が見ている限り涙がありませんね)
 正直、「今週末勝ってチャンピオン獲れたら、絶対に気持ち高ぶって泣くだろうな」とは思っていたんですけど、あのレース展開だったので、自分がチャンピオンを獲ったのか獲ってないのかもよく分からなかったし、いろんなことがありすぎたので、泣くヒマがなかったですね(笑)。

 気付いたら表彰台に乗ってチャンピオンを獲っていたので、なんだかこの瞬間があっという間で。涙はなかったですね。それよりも嬉しさの方が勝ちました。

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