ボルチモア市街地で開催されたIZODインディカー・シリーズ第16戦。1日に行われた決勝レースは、サイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン)が今季2度目の勝利を果たした。予選10番手からスタートした佐藤琢磨(AJフォイト)は、マシントラブルにより序盤にリタイアしている。

 午後2時40分にスタートしたグランプリ・オブ・ボルティモア、ポール・シッターだったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)は1周目のターン1でこそトップを守ったが、予選2番手のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がターン3でインを奪い、レースをリードし始めた。

 一方、パワーのチームメイトでポイントリーダーのエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、7番グリッドからスタートしたが1周目のヘアピンでジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン)らと接触、フロントウイングを傷めてピットインを強いられることとなり、最下位の24番手まで順位を下げた。

 ポイント3位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は8番手スタートだったが、カストロネベスが含まれていたターン3での混乱で同じく失速、アンチストール・システムにトラブルが出たことも重なって21番手にまで順位を下げた。

 4周目、10番手スタートから三つポジションを上げていた佐藤琢磨がエンジントラブルにより失速。ピットに戻って修復を試みるが、リタイア第1号で最下位の24位となった。朝のファイナルプラクティスで8番手、ブラックタイヤでの5番手タイムを出していたが、不運がまたしても彼の完走を阻むこととなった。

 トップを行くパワーは先週に続く2連勝を目指し、ディクソンとの差を広げて行った。しかし、ルーキーのルカ・フィリッピ(ブライアン・ハータ・オートスポート)とエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)がコース上にストップしたため、13周目に最初のフルコースコーションが出された。まだレースは序盤だったが、ここで後方集団の中には1回目のピット・ストップを行う者が現れた。

 リスタートは19周目。その翌周に予選3番手だったペジナウがディクソンをパスして2番手に上がった。パワーのペースは速く、6秒以上も突き放されたパジェノーは29周目に早めのピット・ストップを行うこととした。これでレースはパワーのリード、2番手がディクソンという1周目のオーダーに戻ったが、パワーのリードは10秒近くにまで広がっていた。

 ディクソンがピットに向ったのは31周目だった。彼はいつもと同じようにガナッシの訓練されたクルーたちによる素早い作業を受けてコースに復帰した。パワーは次の32周目にピット。ところが所定の位置に停止できずにマシンを押し戻さねばならず、大きくタイムロス。コースにダッシュするとディクソンと予選12番手だったグレハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)がすぐ後ろに迫っていた。

 セオリー通りのピットストップ1回目をパワーたちが終え、トップは序盤のイエロー中にピットしていたセバスチャン・ブルデー(ドラゴン・レーシング)のものとなった。ブルデーは3回目のピットストップが必要となる可能性が高く、トップ争いはパワーを中心に展開して行くものと見られた。ところが、こかあらボルチモアのレースは一気に混乱へと突入して行く。

 その火ぶたを切ったのが41周目、今回がデビュー戦だったステファン・ウィルソン(デイル・コイン)のクラッシュだった。上位グリッドからスタートした面々はピットストップを終えたばかりのタイミングだったため、ここはステイアウトの作戦を採ったが、スクランブルに勝機、あるいは大幅ポジションゲインのチャンスを見出そうとするチームも当然あった。

 その中のひとり、カストロネベスはここで右フロントタイヤ・チェンジャーをヒットし、ペナルティを課せられることになった。グリーンフラッグが出されてからのドライブスルー・ペナルティは、せっかく11番手まで順位を挽回していた彼を再び17番手まで後退させることとなった。

 ここでハンター-レイがコース上にストップ。レース序盤から出ていたトラブルが拡大し、マシンを止めるしかなくなったのだ。ポイント3位につける昨年度チャンピオンがリタイアに陥り、カストロネベスはペナルティで大きく順位を下げることが決まっていた。快調なレースとは言えないながらも3番手を保っていたディクソンは、大きくシリーズポイントの差を縮めることができる見込みとなった。

 しかし、48周目にグリーン・フラッグが振られると、ターン1でディクソンはレイホールにプッシュされてスピンし、5番手にまで順位を下げた。またもフルコースコーションが出され、50周目にペジナウ、ニューガーデン、ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・)、ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)らがピットインする。

 53周目のリスタート、今度はターン1へと到達する前のストレートでパワーがトップを行くブルデーをパスしようと急激にライン変更。この直前にパワーを抜きにかかっていたディクソンをコース右側の壁へとクラッシュさせた。パワー自身もピットに戻ってマシンのリペアが必要となるアクシデントだった。次のリスタートは57周目。今度はブルデーがブレーキをロックさせたオリオール・セルビア(パンサー・レーシング)に追突されてスピンし、そこへ何台もがクラッシュした。

 この5回目のフルコースコーションでブルデーやレイホールといったトップグループがピットイン。トップには、意外にも今週末はまったく走りに精彩の無いマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)が躍り出て、2番手はトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)が続いた。

 ダメージを受けたフロントウイングながらアンドレッティはトップをキープ。すると今度はブルデー、セルビア、レイホール、ジャスティン・ウィルソンらが絡む多重アクシデントが発生し、6回目のイエローが出た。

 最後のリスタートが切られたのは66周目。残り10周のファイトが始まった。今年11人目のウイナーとなるべくアンドレッティは奮闘していたが、明らかにスピードで優るペジナウはクリーンにパスしてトップに立てるチャンスを待った。リスタートから3周目のターン1、完璧にタイミングを計ったオーバーテイクをペジナウは仕掛け、トップを奪った。

 50周目のピットストップが正解だった彼らは、終盤のドッグファイトをブラックタイヤで戦い抜き、チームとドライバー、双方にとってのキャリア2勝目を挙げた。

 ペジナウに抜かれた直後の70周目、アンドレッティはニューガーデンにもパスを許し、最終的に10位までポジションダウンしてのゴールとなった。今季ベストとなる予選5番手からスタートしたニューガーデンは、難しい高速シケインで出場ドライバー中最もアグレッシブな走りを披露し、キャリア初の表彰台に到達した。

 3位はブルデー。今年3回目の表彰台だ。そして4位は粘り強さを発揮したジャスティン・ウィルソン。今シーズン5回目のトップ5フィニッシュは賞賛すべき成績だ。

 ペジナウは、「ファンタスティックだった。今週末マシンが速かったし、幸いにもレース中には他車とぶつかるトラブルに見舞われずに済んだ。最後のリスタートからは攻撃的に走った。前を行く2台をオーバーテイクした結果、チャンピオン争いにまで食い込んで行く勝利を飾ることができた」と喜んでいた。

 チャンピオン争いは、カストロネベスがさらに有利になった。ディクソンとハンター-レイがリタイアしたのに対し、カストロネベスは多くの不運に襲われながらもゴールまでマシンを運んで9位。ディクソンとのポイント差を39点から49点へと広げた。ハンター-レイはランキング5位へと2つ順位が後退。彼に変わってランク5位だったペジナウが3位へと浮上してきた。

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