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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2024.04.16 18:07
更新日: 2024.04.16 18:20

初のニュル挑戦に「あえてコースを覚えることはしなかった」小林可夢偉。トヨタのドライバーは都度変更へ

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ル・マン/WEC | 初のニュル挑戦に「あえてコースを覚えることはしなかった」小林可夢偉。トヨタのドライバーは都度変更へ

■小林可夢偉:「またの機会があれば、バーベキューを楽しみたい」

「僕はこのようなサーキットに来ると、いきなり行っちゃうタイプなのですが、今回はライセンス取得を目的としてきましたので、そんな自分を制して初めてのニュルへ挑みました。僕自身のおばあちゃんを助手席に載せているつもりで、ひたすら慎重に走行を重ねることを心掛けました」

「レーシングドライバーである以上、一度はノルドシュライフェを走ってみたいと長年願っていましたが、スケジュールの関係でなかなか叶わず、やっとその日が訪れました」

「今回はあえてコースを覚えることをしていません。なぜなら、覚えたと思った瞬間に気の緩みが起きるからです。進む先に何が来るのか、常に危機を予測しながら安全にドライブすることを念頭に置いていました」

「僕はLMP1へステップアップをする前の2013年に、LMGTEプロクラスのフェラーリ458イタリアでWECへシリーズ参戦をしていたお陰で、速いマシンからの『抜かれ方』を習得していました。その経験が活き、今回の初ニュルではGT3マシンに抜かれる際の動揺はありませんでした」

「ニュル特有とされるジャンピングスポットはポルティマオに近い感じがしましたし、縁石の高さではセブリングの方が高く、そちらの方が難易度は高いのではないかと感じました」

「NLSやニュル24時間レースは『草レース』です。このレースに関わる方々や参加しているドライバーにリスペクトを持ちながら、僕自身も精一杯この雰囲気を楽しむつもりで来ましたし、実際とても楽しんでいます。IMSAのようにファンとの距離が近い雰囲気が良いですね」

「今年はスケジュールの都合でもうこのニュルを走ることはできませんが、もしまた機会があるのなら、チームのみなさんとパドックでバーベキューを楽しみたいです。それこそが草レースの醍醐味ではないでしょうか」

2024NLS第1・2戦
2024年NLS第1・2戦に参戦した小林可夢偉

■小高一斗:「レースでは落ち着いて、自信を持って挑めた」

「GT4マシンをドライブするのも、ニュルやその独自のルールも初めてでしたが、この終末にはその両方を一度に学べて、まさに一石二鳥でした」

「シミュレーターでは何度も日本で事前に走り込んで準備をしてきましたが、実際に来てみると高いバンクやカントは、日本の一般的なサーキットとはまったく違うことを実感し、まさしく山道のようだと思いました」

「講習会やフリープラクティス、そして土日のレースを通して走り込む中で、最初は恐怖心も少しはあったのですが、周回を重ねる中で少しずつ頭の中で整理しながら走ることを心掛け、決勝レースは土日ともに落ち着いて、自信を持って挑めたと思います」

「日曜日はせっかくの機会なので自分から名乗り出てスタートを務めましたが、特にスタート直後はクラッシュが発生しやすく、黄旗やコード60等のさまざまな警告が多く出ると予想していました。それらの警告の見逃しはペナルティの元となるので、しっかりと注意しながら走ることを心がけました」

「普段はスーパー耐久でGT3マシンをドライブしているのですが、GT4をドライブするとGT3の速さがより理解できましたし、抜かされる立場の気持ちをよく理解できましたので、日本に帰国してGT3マシンをドライブする際にはGT4や他のカテゴリーのマシンを優しく抜くように心掛けたいと思いました(笑)」

■平良響:「怖さを心地よさが上回る感覚があった」

「このプロジェクトのメンバーに選ばれ、今回にNLS参戦の打診を頂いた時は本当に嬉しく、とても楽しみにしてここニュルへやってきました」

「コースが狭いこと、そして縦Gの感覚には『怖さ』というものを味わい、ここがニュルだということを改めて思い知りました。特にジャンピングポイントで強く体感する縦Gでは、着地の際に崩れるバランスを操る難しさがありました。日本のサーキットではなかなかあんなに強い縦Gを感じる所はありませんが、あの操縦感覚のバランスの取り方は、日本でのレース活動の中でも活かせると思っています」

「ニュルでは『怖さ』がある一方で、プロのレーシングドライバーとしてはそれを『心地よさ』が上回る感覚があり、喜びを感じながら初めてのニュルを走りました。初めて来て、ポンと勝てるようなサーキットではないことを理解できているだけに、今回は第一段階としてライセンスを取得し、今後少しずつ経験を積みながら『レースをする』というコンディションに持って行けるように、しっかりと頑張りたいと思います」

2024NLS第1・2戦
174号車GRスープラGT4 Evoをドライブした平良響

■野中誠太:「自分の中の引き出しが増えたと思う」

「GTワールドチャレンジ・アジアには参戦経験があり、海外レースへも挑戦していましたが、いままで僕はニュルとの接点がほとんどなかったので、今回のプロジェクトにお声掛け頂いたことは、ドライバー人生の中におけるチャレンジングなとても良い機会で、素直にとても嬉しかったです」

「スーパー耐久ではスープラGT4で参戦しており、マシンには慣れていたので、初めてのコースでしたが、その点では安心して走れたと思います。コーナーの先が見えない、縦にジャンプして強く感じるGをさまざまな個所で経験し、日本のレース活動ではあり得ないコンディションは、自分にとって特別な体験となりました」

「エスケープゾーンがないような狭い箇所でGT3マシンに道を譲る場面では、僕自身もラインを外すとかなりのリスクもあり、壁が近いという恐怖感もありましたが、周回を重ねて少しずつ慣れて行く中で、後ろを見る余裕もできてきました」

「同じGT4マシンでも、日本の一般的なサーキットを走った時にはまったく感じない縦Gやバンク、ハイスピードとブラインドコーナーが続く日本では体験したことのないコースレイアウトを多く体験することができました。クルマのキャパシティやセッティングのセンサーを感じ、自分の中の引き出しが増えたと思います」

「ドライバーとコースマーシャルとの距離が近いのが印象的でしたが、コード60をはじめ、ニュル独自のさまざまなルールがある中で、自分よりも前に誰かが走っていた場合、視界がとても悪くて旗が見え難く、見落とすまいと必死でした」

「今回のプロジェクトで初めて可夢偉選手と同じチーム、それもまったく同じコンディションで走る機会を与えて頂いたお陰で、先輩の様子をじっくり観察できたのですが、コースに慣れ、適応する時間の圧倒的な早さ、チームの引っ張り方というのを見ていて、改めて自分の足りない部分や学ぶべき点を多く発見しましたし、直接可夢偉選手からは多くのアドバイスを頂いたので、それを今後の活動に活かせていきたいと思っています」

2024NLS第1・2戦
通常はKCMGのスーパーフォーミュラのプログラムを担う土居隆二監督(写真)、笠井昭則エンジニアらも、ニュルに姿を見せた


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