4月27日、2023年のWEC世界耐久選手権第3戦『スパ・フランコルシャン6時間レース』のフリープラクティス1と2のセッションが、ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットで行われ、フェラーリ499Pがトップタイムをマークして初日を終えた。
木曜日の走行を終えたスパのパドックから、各種トピックスをお届けしよう。
■スパでのハイパーカーのBoP変更はなし
木曜日のFP2でトップタイムをマークしたフェラーリAFコルセのアントニオ・ジョビナッツィは、トヨタ以外のドライバーとして今季初めてフリープラクティスをリードしたドライバーとなった。過去7回のフリー走行は、すべてトヨタGR010ハイブリッドがリードしていた。
なお、ハイパーカーメーカー各社は、水曜日の夜遅く、スパでのプラットフォームBoP(性能調整)の変更がないことを知らされた。当初はル・マン・ハイパーカー(LMH)規則の全車両で22kgのウエイト増加が提案されていたが、メーカー間の話し合いの結果、実施されないことになったという。
■接触によりレース中のペナルティ確定
ディエゴ・アレッシはライディヨンで同じAFコルセのGTEアマクラスのドライバー、トマ・フローと接触したため、決勝レース中に30秒間のストップ&ゴーのペナルティを受けることとなった。
スチュワードのレポートによると、フローはニュータイヤでピットを出て適切なラインを保っていたところ、アレッシが丘の頂上に差し掛かったところでフローの54号車フェラーリ488GTE Evoに後方から衝突したという。
21号車フェラーリが大きなダメージを負ったことを考慮し、アレッシが次に出場するWECのレースでペナルティを受ける、という文言がレポートには含まれている。事故後、両ドライバーは無事が確認されている。
■ワークスポルシェ963、2台ともトラブル
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、前戦ポルティマオで発生した5号車ポルシェ963のパワーステアリングトラブルを受けて「対策」を施したと、ファクトリーLMDhディレクターのウルス・クラトレは明かした。
「基本的には電気的なものだった。ポンプ自体は油圧だが、パワーステアリングから油圧ポンプへの、電気的な故障が発生したんだ。それは、本当にすぐに見つかった。サーキットではなく、ファクトリーに戻ってから見つかったんだ」
スパのFP2では2台のファクトリーポルシェに別々のトラブルが発生した。5号車はドライブシャフトの不具合、6号車はハイブリッドシステムの不具合に見舞われた。
また、キャデラック・レーシングの3号車キャデラックVシリーズ.Rのストップは、火災が原因であったことが後に確認されている。ドライバーのレンガー・バン・デル・ザンデがコース脇で消火した。
■Dステーションと接触したヴァンウォールにペナルティ
フロイド・ヴァンウォール・レーシングチームのドライバー、エステバン・グエリエリは、FP1中にLMGTEアマのDステーション・レーシング777号車アストンマーティン・バンテージAMRの星野敏と衝突を起こしたとして、FP2の開始時に10分間のストップ&ホールド・ペナルティを科された。
スチュワードのレポートによると、グエリエリは「追い越しの判断を誤り、ブレーキングゾーンで777号車に衝突した」という。
また、バイコレスのオーナーであるコリン・コレスが語ったところによると、ポルティマオでのヴァンウォール・バンダーベル680のブレーキトラブルはデブリが原因であり、ブレーキサプライヤーのAPレーシングと調査が行われたとのこと。
コレスは、この問題が再発しないよう、ヴァンウォールはピットストップ時にブレーキダクトをより徹底的に清掃する予定だと付け加えた。彼らはル・マン24時間レースに向け、イタリアのモンツァで数日間のテストを行う予定だ。
■アストンのBoP緩和は「充分だとは思わない」
Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティンは、エンジントラブルでポルティマオ戦をリタイアした後、新しいエンジンを搭載してスパを走行している。チームをオペレートするTFスポーツの代表、トム・フェリエによれば、チームは根本的な原因についての報告を待っているところだが、「ある種の内部故障、おそらくバルブの脱落」であろうと付け加えている。
またフェリエは、このイベントに先立ちアストンマーティンが受けたBopの緩和(燃料容量1リットル増量とターボブースト圧0.02bar増加)は「小さな変化」であるとし、スパでの競争力を高めることはできないだろうと示唆した。
「正直なところ、これで充分だとは思わない」とフェリエは言う。「正しい方向への一歩ではあるが、現状を考えると、とても小さな反応に思える。今週も、かなり長い週末になると思う」。