2016年の全日本スーパーフォーミュラ開幕戦。ヨコハマタイヤに変わって最初のレースを制したのは山本尚貴だった。

 ここ鈴鹿での彼の相性は非常によく、決勝の結果だけを見れば少し当たり前のように感じる部分もあるかもしれないが、今回はこれまでにないほど浮き沈みの激しい週末だった。

 今年から設けられた金曜日の専有走行。予選までの貴重な走行時間が増えたが、いきなり電気系のトラブルが発生。セッション中には解決できず、思うようなテストができなかった。そこで出遅れたことが土曜日のフリー走行にも響き、トップから1.7秒遅れの16番手と低迷。今週末は苦戦を強いられるのかと思われた。

 ところが、予選が始まりQ1で2回目の新品タイヤを履くと、それまでの苦戦が嘘だったたかように好タイムを連発した。Q1、Q2、Q3の全てでトップタイムをマーク、特にQ3の最後は2位以下に0.3秒以上の差をつけ、ライバルを圧倒した。

 ただ、決勝日のフリー走行2回目では再び下位に沈み、なんとトップから2.8秒差の19番手。ひとつ上のマシンから0.7秒も離された最下位だった。フリー走行とはいえ、このタイムでは決勝も苦しい展開になるのではないかと思われたが、直前の8分間のウォームアップで手応えを掴み、スタートから後続を圧倒する独走劇を披露した。

 これだけ浮き沈みの激しかった週末。山本と手塚長孝監督、そして阿部和也エンジニアは、どん底から浮上できたポイントを次のように明かした。

 「今週はとにかく我慢できたことがキーポイントだったと思います」と山本。「特に予選でポールをとることが必要だったし、もし2番手3番手だったとしたら決勝で逆転できなかったかもしれない。そこで予選に向けて良い意味で慌てなかったです。チームも含め、僕自身も土曜の朝で調子が良くなくてセッティングを変にイジらなかったことが良かったです。決勝日の朝も、何かがおかしかったのは確かですし、思い当たる節はいっぱいありました。その中で、前夜に雨が降ったのでコンディションに合っていないのかを見極めて、コンディションが出来上がるのを我慢できたのが、決勝につながったと思います」

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