一方、その石浦と真逆の形になってしまったのが、関口とインパルだった。フリー走行では4番手と一見、好調のように見えたが、ニュータイヤを装着してからのタイムアップがライバルほど伸びず、まさかの13位。関口担当の柏木良仁エンジニアも「原因がつかめていません」と首を傾げる。
「SUGOの調子が良かったので、セットアップは基本的には変えていません。SUGOで足りなかった部分のアジャスト程度で持ってきています」と柏木エンジニアが話すように、SUGOでの関口車は2位以下に1周1秒以上の驚異的なペースで周回を重ねる速さを見せたが、同じベースのセットアップで、ここまで差が出てしまう原因が特定できない。
セットアップを変えなかった石浦、関口とは対称的に、ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は比較的、積極的にセットアップを変えて臨んだようだ。バンドーン担当の杉崎公俊エンジニアが話す。
「SUGOからはセットアップを変えて鈴鹿に来ました。予選でもQ1が良くなかったので、メカニカルグリップと空力のグリップのバランスを修正してQ2、Q3に臨みました」
Q3でのバンドーンは惜しくも0.005秒石浦に及ばず、2番手。セクター1、セクター2は石浦よりも速いタイムをマークしていたが、デグナーから130R手前までのセクター3で石浦の遅れをとってしまい、ここが敗因となってしまった。
「クルマのバランスは良かったですので、おそらくですが、バックストレートの風向きがQ1とQ2の間で変わってしまったのが影響しているのだと思います。その影響がなければ、ポールのタイムは見えていたので悔しいですね」と杉崎エンジニア。
サーキットの違い、気温、路温、風向き、サポートレースの後の路面のラバー状況などなど、いろいろ原因が推測されるが、そのわずかの変化が、ここまで順位に大きな影響を与えてしまう今のスーパーフォーミュラの難しさが、改めて見えた予選となった。
明日の決勝に向けては、関口陣営としては「速さを取り戻すために、チャレンジしないわけにはいかない」(柏木エンジニア)と、クルマのセットアップ、戦略含めてアグレッシブなトライを宣言。インパルのチーム特性上、無給油は考えられないが、タイヤ交換が義務づけられているレース2ではギリギリ無給油での走行も可能というウワサもあり、展開が複雑になりそうな気配だ。
また、P.MU/CERUMO・INGINGでは石浦とともにチームメイトの国本雄資もレース1で2位となり、チーム初のフロントロウ独占でのスタートとなった。両者とも僅差でチャンピオンを争っている状況だが、立川祐路監督によると、まずは「コース上では自由に戦ってもらう」という方針で臨むという。
もちろん、レース1の結果次第にはなるが、さらに僅差となった状態では立川監督がどんな決断を下すのか。レース2のグリッドでPPの石浦、3番手の国本へ、立川監督がどのように接するのか。ドライバー、チームの緊張感が今から伝わってきそうだ。
