現状でスープラの対抗馬としてはNSX-GTが有力とみる。NSX-GTは今年、ミッドシップ(MR)からフロントエンジン(FR)へ変更した。
エンジンの搭載位置が変わるということは、車体全体の前後バランスは大きく変化する。そのため、当然、ドライビングにも大きな影響を及ぼすかと思われた。
しかし、ホンダ陣営のドライバーに話を聞くと「本当に変わったのかと疑問に思うほど、大きな変化を感じない」という。
さらに6月末に富士で行われた公式テストではフリックボックスに新型エアロを持ち込んでいた。その効果はリザルトからも分かる通り、かなり有効であると言えるだろう。
また、富士でのコーナリング時のフロントの入りは他車と比べてもスムーズであり、特にテクニカルセクションでタイムが伸びていることからもかなり期待値は高そう。
あえて懸念点をあげるとしたら大きな変更が加わったにもかかわらず、ここまでトラブルが少ないことか。
開幕戦からトラブルなく上位につけることができたとしたら、今シーズンのチャンピオンシップをNSX-GTがかき乱してくれるはずだ。
一方、ニッサンGT-R勢はこれまで富士を得意としていたが、富士公式テストではトラブルが多発している上に、ライバルともやや差がついている感が否めない。
「乗ってみたい車種は?」のアンケートでも3位に甘んじた。この結果についてニスモの鈴木豊監督は結果を受け止めつつも、「事実かと思う」とコメントしている。
「近年の戦績を見ても、ドライバーとしても感じると思います。一番感じているのは身内のドライバーかもしれません」
富士公式テストでGT-R勢に多発していたトラブルはプロペラシャフトの破損と考えられている。今年のGT-Rはプレチャンバーを導入してきたと噂されており、おそらくそれに起因するものだろう。
今シーズンは5ヵ月間で8戦と短期決戦になるため、早急な対処が不可欠だ。まずは今週末の富士でトラブルを出さずに、どこまでライバルとの差を埋められるかに注目したい。
開幕戦は日曜日に予選と決勝が行われる1デイ開催が決定。しかも現時点では雨の予報も出ており、開幕戦からレース展開は荒れそうだ。
2019年の最終戦以降、約8ヵ月の期間を経て新たなシーズンが始まるが、開幕戦を制するのはどのメーカー、どのチームになるのか。7月19日(日)、その火蓋は切って落とされる。
7月3日に発売したオートスポーツNo.1533ではGT500に参戦している全ドライバー&エンジニアに匿名アンケートを実施。
全ドライバーは「追いついたときに力を発揮するドライバーは?」や「引き出しの数が多そうなドライバーは?」、「今季のタイトル争いで最大のライバルとなりそうなチームは?」など今シーズンを占う上で鍵になりそうな質問にも回答している。
アンケートの結果はこれまでと違った視点でレースを見るきっかけになるかもしれない。
