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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.11.30 17:09
更新日: 2021.11.30 17:25

Max Racing 2021スーパーGT第8戦富士 レースレポート

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スーパーGT | Max Racing 2021スーパーGT第8戦富士 レースレポート

Max Racing
レース結果報告書
2021 SUPER GT Rd.8 富士スピードウェイ

日時 2021年11月27~28日
■車両名 たかのこの湯 GR supra GT
■場所 富士スピードウェイ
■ゼッケン 244
■監督 田中哲也
■ドライバー 三宅淳詞/堤優威
■チーム Max Racing
■リザルト 予選10位/決勝7位

プロとして己にプレッシャーをかけろ

 GT500クラスを含めてドライバー経験豊富な田中哲也監督が率い、エリートコースからは少しそれたけども、根性で上を目指す若手ドライバーを応援するMaxRacingのプロジェクト。スーパーGT挑戦2年目の今年は三宅淳詞と堤優威がコンビを組みます。最終戦を前にランキングは4位。トップとは15点差あり自力のみでチャンピオンが獲得できる可能性はないものの、チャンピオン争いの権利を持って最終戦富士へ臨むこととなりました。

 その気合の表現か、三宅はマシンカラーリングに合わせて頭髪をカラーリング。右半分をブルーに、左半分オレンジに染めてサーキットに登場しました。「以前に冗談半分、オマエら地味だから、なにかアピールしろと言ってしました」と哲也監督。「この世界、真面目にやっていれば続いていくというものはありません。プロとしてアピールいくことはむしろ歓迎です。三宅なりに自分へプレッシャーをかけているのでしょう」

 公式練習ではルーティンを守り、優威が2種類のタイヤを評価しつつアタック。そのあと2種類のタイヤを三宅が確認します。公式練習でのベストタイムは1’35.430で3番手。チャンピオン獲得に向けて優勝が必須条件であることを考えても好位置につけています。しかしそれと同時にレース戦略に対しての難しさも哲也監督は感じていました。

 持ち込みの2種類のタイヤのうち、タイムが出た方では連続周回でのタイムの落ち方には不安が残るからです。「もしポールポジションが獲れるくらいの速さが出せるのであれば使おうと考えていました」と哲也監督。比較的レース重視のもう一方のタイヤで予選Q1担当の三宅はアタック。1’35.379でBグループの4番手となりました。ポールポジションが獲れるのであれば、決勝ではレース序盤にギャップを築いて、そこからペースが落ちたとしてもレースを組み立てられる可能性がある。しかし、そのペースダウンするリスクのあるタイヤを選択して2番手以下でスタートすると、安定したペースを持つライバルにあっという間に先行されてしまうリスクばかり増えてしまう。このように哲也監督は予想しました。

 ミスなくアタックをこなしたQ1における三宅のタイムと周囲のタイムを比較して、ポールポジション獲得は困難と判断した哲也監督はQ2担当の優威にもQ1と同じタイヤ、つまり決勝重視のタイヤを与えました。チャンピオンを意識してプレッシャーがかかったのか、常にリラックスした状態を維持して走行セッションに臨む優威が、いつになく朝から硬かったと哲也監督は言います。

「アタック1周目に1コーナーで行き過ぎて、アタックを一度やめようかと思いましたが後続もあったので、中途半端にアタックを続けて、結果的にそれがベストラップとなりました」と優威。計測4周目に1’36.002を記録。次の周は1’35.795とタイムを詰めたものの、13コーナー立ち上がりで縁石を超えてしまい、「走路害走行」のペナルティでタイム抹消となり10番グリッドからのスタートとなりました。

「リラックスできる状況と追い込まれた状況では全く違う。プレッシャーのかかる状態で経験を積んでいくことで強くなっていけると思うのでよかったと思います。GT300は失敗が許される場、GT500ではそんな失敗は許されない。今後に活かしてくれれば充分です」と哲也監督。哲也監督自身の経験では、レースウイークに夜寝つけないくらいにプレッシャーが掛かって追い込まれた方が結果は出たと言います。プロとしてレーシングドライバーを続けるための覚悟をどのように持つか、そのことを哲也監督は伝えようとしています。

2021スーパーGT第8戦富士 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
2021スーパーGT第8戦富士 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)

 決勝では三宅がスタートドライバーを務めます。上位進出のためには三宅がまずポジションを上げて帰ってくることが重要です。4周目には7番手まで浮上しましたが、早くもこのあとタイヤの厳しさを感じてポジションアップよりもタイヤの温存を三宅は意識しました。ところが7周目にセーフティカーが導入されてことで後続とのギャップが縮まり、タイヤを守る余裕はなくなりました。

「9号車、56号車が後ろにいたのですが、BoPの関係であちらはストレートが速くて、こちらはコーナーが速い。もし抜かれてしまうと自分のリズムでは走れなくなってしまいます」と三宅。結果的に、タイヤを使いコーナーを速く走ることでポジションを維持するしかなく、タイヤの消耗を進めてしまったと言います。

 タイヤが厳しくなりペースダウンして予定より2~3周早く28周目にピットイン。優威に交代します。今回のレースでは4輪交換が義務付けられており、そこでの不利はありません。「三宅選手の状況をみて、無線も聞いていたので、自分なりにスティントの前半は抑えていたのですが、左フロントから厳しくなりました」と優威。「アンチロールバーをいじったりセットを変えてみたり乗り方を変えてみたりしましたがうまくいかず、とくに右コーナーが厳しかった」。右回りでしかも中高速コーナーの多くが右コーナーの富士だけに厳しい状況に置かれてペースは上げられず、上位車両の脱落に助けられて7位でゴールしました。

「ドライバーもチームもみんながんばったけど足りなかったです。スープラ3台のなかにあってランキング最上位でシリーズを終えることが目標でしたが、それは達成できませんでした。岡山の開幕戦ではスープラ3台のなかのビリで、5月の富士ではほかのスープラ2台がトップを争い、夏の鈴鹿でウチが勝って、最終戦富士では5月のリピートのような展開になりました。差は詰まっているけども、相対的なポジションを逆転することはできませんでした。いまのタイミングでヒトよりラクができる道具を持っている必要はありません。ある面、苦しいなかで努力する、諦めない強い気持ちがあるチームに成長できたと思います。鈴鹿は勝ちましたが、レース終盤でGT500とぶつかるミスがありました。それに比べたら、最終戦は7位だけど、誰もミスをしていない。ドライバーも緊張感を保っていました。すべてが揃えばチャンピオンを獲れる状況が整ったと思います」と田中哲也監督は今シーズンを総括しました。

 チーム結成2年目にして、初優勝を遂げて一瞬でもポイントリーダーとなりチャンピオン争いを意識した戦いを経験できたことはチームの大きな糧となりました。よりライバルが強力になりそうな予感のする2022シーズンはその糧を活かしてMaxRacingはさらに飛躍します。引き続き応援よろしくお願いいたします。

2021スーパーGT第8戦富士 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
2021スーパーGT第8戦富士 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)

三宅淳詞のコメント

「結果的にはランキングを落として5位になってしまいましたが、去年は獲れなかったポイントをとって、鈴鹿ラウンドでは優勝もできました。チャンピオンを獲れなかったとはいえ、ボクにとってはいい勉強になったシーズンでした。車両もかわってスープラの難しさもありましたし、今年のチームメイト堤選手は86/BRZレースでタイヤ開発を担当していたり、一発でまとめるうまさもあるので、そういう面で勉強になりました。またボクがフォーミュラに乗っていて、堤選手はハコで上がってきていて速いところが違う。データを見比べてここでも勉強になった1年でした」

堤優威のコメント

「三宅くんがぶつからず帰ってきてくれたので、こういう結果を出すことできました。しかし、今回、これ以上はムリだったかなと思います。もしもまぐれでポールポジションが獲れていたとしても、同じ順位だったかもしれません。もうちょっと違うアプローチをしないと、勝てないし、チャンピオンが獲れないと思いますし、そこのところは哲也監督がよくわかってくれています。改善点を検討して来年につなげていきたいです」

2021スーパーGT第8戦富士 MaxRacing
2021スーパーGT第8戦富士 MaxRacing
2021スーパーGT第8戦富士 土屋武士/田中哲也監督(MaxRacing)
2021スーパーGT第8戦富士 土屋武士/田中哲也監督(MaxRacing)


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