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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.10.12 18:23
更新日: 2022.10.12 18:26

apr GR86 GT 2022スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

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スーパーGT | apr GR86 GT 2022スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

2022 AUTOBACS SUPER GT Round7 AUTOPOLIS GT300km RACE
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
10月1日(予選)天候:晴れコースコンディション:ドライ観客数:6,000人
10月2日(決勝)天候:晴れコースコンディション:ドライ観客数:11,000人

予選順位が響いた決勝レース。
本来のポテンシャルを発揮できず。

 全8戦で争われるスーパーGTは、いよいよ佳境へと突入した。第7戦の舞台を九州のオートポリスに、「FAV HOTEL AUTOPOLIS GT300km RACE」が開催された。2台体制を採るaprは、1台をトヨタGR86に改め、「apr GR86 GT」として不動のコンビ、永井宏明選手と織戸学選手に託して参戦し、タイヤは信頼のヨコハマタイヤを使用する。まだ記憶にも新しい第5戦、鈴鹿での3位入賞から3週間。

 意気揚々と臨んだ、SUGOでの第6戦だったが、名誉の勲章でもある、サクセスウェイトが42kgにまで達したことで、マシンバランスが若干ながら変化。さらに予選では織戸選手をして、タイミングを逸する不運もあって0.03秒足りずQ1を突破できなかった。

 さらに16番手からスタートした決勝では、天候変化に翻弄されたばかりか、終盤には追突されてコースアウト。20位で感想は果たしたものの、最後まで流れに乗ることができずに終わった週末だった。シリーズも第7戦に到達したこともあり、サクセスウェイトも半減されて21kgで臨めることから、マシンはバランスを取り戻すのは間違いなく、またテクニカルなオートポリスはGT300規定車両に有利とされている。前回の無念を晴らすには、まさに絶好の機会と言えるだろう。

公式練習10月1日(土)9:20〜11:05

 あたりはすっかり初秋の雰囲気を醸し出すようになってきたが、そこは九州。日中はまだ暑さが残っていた。ただ、標高の高いサーキットということもあって、急に天気が変わりやすいだけに、急激な温度変化にも構えておく必要がありそうだ。

 幸い、公式練習の開始時は気温21度、路面温度も28度と、想定の範囲内。穏やかな日差しが注がれる中で、走行はスタートした。今回も最初に「apr GR86 GT」をドライブしたのは織戸選手。

 測4周目には1分46秒934を記録して、その時点での11番手につけるも、まだまだタイムは伸ばしたいところ。実際、ドライバーもチームも妥協できずにいたのは、普段以上に多く、長くピットに留まり、そのたびセットは修正を加えられていたことで明らかだ。走行するタイミングも今回はイレギュラー。

 50分ほど経過したところで早くも永井選手に代わるも、次のピットストップ後にはまた織戸選手が乗車し、セッション終盤はまた永井選手に交代という具合に。

 しかも専有走行の直前は、ほぼ1周のみのアウト〜インを頻繁に繰り返していた。その頻繁なセット変更の甲斐もあり、織戸選手によってベストタイムを1分46秒389にまで短縮されていたから、効果は存分にあったことになる。

 最後の専有走行では永井選手も、1分46秒961を記すまでとなっていた。最終的な公式練習の順位は21番手だった。続くFCYテストは前半を織戸選手が走行し、後半とサーキットサファリは永井選手が走行。貴重な時間を少しでも余すまいとフル活用していたあたりに、意識の高さが強く感じられた。

公式予選Q1 10月1日(土)15:00〜15:10

 今回、「apr GR86 GT」はA組でQ1に臨み、織戸選手が走行した。気温は25度と、公式練習とそう変わらなかったものの、路面温度は42度と大幅に上昇した。それでも織戸選手は、入念にウォームアップを行い、計測3周目からアタックを開始。公式練習の後、さらに詰めていったセットが決まり、1分44秒795へと大幅なタイムアップを果たす。

 タイヤに厳しいオートポリスでは、アタックのチャンスは1回きり。手応えを得てピットに戻るも、その直後にまさかのバンプアウト。その差は100分の7秒だった……。またしても9番手で、Q1通過ならず。「apr GR86 GT」は18番手で決勝をスタートすることとなった。

永井宏明選手

「公式練習は車の手応えが少し悪かったので、ちょっとどうしようなかと思っていたんですけど、予選に向けてのセットが良かったので、次の決勝にもつながるかなと。いいペースで走れれば、決勝もポイント圏内まで行けるじゃないかと、そんな頑張りをしてみたいと思います」

織戸学選手

「午前中はフィーリングが悪くて、予選までにいろいろ変更して、バランスも悪くない予選だったんですけど、今回もほんのちょっとだけ足りなかったですね。それでもタイム差はほとんどなかったし、午前中の後方の順位から比べればだいぶ良くなっていますので、もうちょっと。決勝はいい雰囲気だと思います」

金曽裕人監督

「う〜ん、ちょっと息を止めたりしてくれたら0.07秒は稼げたかも(苦笑)。本当にタイミングが悪いだけで、アタックの流れを掴めなかっただけでした。車の速さとか遅さじゃなくて、どうも予選でツキがないことが連発しています。でも、決勝ではツキのある二人なので、確実に順位を上げてきてくれるでしょう。ご期待ください」

2022スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)
2022スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)

決勝レース(65周)10月2日(日)13:35〜

 日曜日のオートポリスも天候に恵まれ、爽やかな秋晴れの空の下で、走行が開始された。おかげで懸念された極端な温度低下もなく、タイヤもレンジを外さずに済みそうだ。決勝直前のウォームアップは、永井選手から走り始め、イン〜アウトを行ったところで赤旗が出るハプニングはあったが、わずか5分で再開。この後のスケジュールは、すべて5分遅れでの実施となった。

 2周の計測で永井選手は、1分48秒607を記した後にピットイン。交代した織戸選手は3周の計測の中で、1分47秒553をベストタイムとして14番手に。確実な手応えを得ていた。スタート直前の気温は26度で、路面温度は46度。それより高い印象だったのが、観客席からの熱だ。

 1年ぶりのGTを楽しもうという思いが、やや離れたグランドスタンドからグリッドまで伝わってきたからだ。そんな思いに応えるべく、スターティングドライバーの織戸選手は、オープニングラップのうちにポジションをふたつ上げて、
16番手からレースを開始する。前を行くのは、いずれもストレートパフォーマンスに勝るFIA-GT3車両ばかり。まずは様子を見ながら、織戸選手は周回を重ねていく。

 8周目、GT500車両との最初の遭遇で、同じGT300車両1台の先行を許しはするが、ペースに乱れはない。そんな中、目の前で競い合っていた車両が15周目の1コーナーで絡んで、1台がストップ。ポジションを戻したところで、FCYの提示が。それ自体は展開に影響を及ぼさなかったが、ドライバー交代が許される規定の1/3の周回が近づいていたため、もう数周後だったら、直前にピットへ滑り込んできた車両もあったはず。

 実際、19周目に早くもドライバー交代を行うチームも現れ、今回は多くのチームがアンダーカット作戦を実行する中、やがて「apr GR86 GT」は、6番手まで順位を上げる。そのままステイも選択肢にあったが、28周目には永井選手への交代を選択。いったんは順位を落とす形にはなったが、永井選手のペースも悪くない。この判断は吉と出たと思われた。しかし、前者がドライバー交代を終えた時の「apr GR86 GT」は20番手。ギリギリまでステイし続けていたチームのドロップが、予想よりも少なかったためだ。数台とのバトルを制し、トラブルを抱えた車両の後退もあり、やがて17番手まで順位を戻し、最後までハイペースで食らいついていたのは、見事の一言だった。

 17位という結果は、決して満足のいくものではないが、多くの収穫もあったことでゴール後の永井選手、織戸選手とも晴れやかな表情を見せていた。11月5〜6日開催のモビリティリゾートもてぎを舞台とする最終戦では、その成果を見せてくれるはず。全車ノーウエイトで行われる、今シーズン最後の一戦が待ち遠しい。

永井宏明選手

「ペースはそんなに遜色なかったですけど、抜きにくいオートポリスもあって、前の方にはうまく車を持っていけなかったというのが、残念なところです。でも、まだまだ車は速さを出せそうなところが見えてきました。最終戦は全車ノーウェイトになるので、速さを取り戻す車もいるでしょうが、我々もいい勝負ができたらいいな、と思います。全力で次も頑張ります。最後、笑って終えられるといいですね」

織戸学選手

「僕ら的にはほとんど問題なかったけど、まぁ、やっぱり抜けないんで、どうしてもこのコースでは厳しい結果になりました。こういう順位でしたけど、悪くない。次につながる、いい内容だったと思います。やり切った感はありますよ。次の予選は息も止め、瞬きもせず100分の1を稼ぎます」

金曽裕人監督

「GT300規定車両は予選がすべてでしたね。ふたりとも決勝はいいペースで走ってくれましたが、FIA-GT3車両との速度差とコーナー速度の差が大きいので、計算していくとレース展開が読めてしまうのが現状。予選順位ですべてが決まってしまうのではなく、もっとプロドライバー同士がバトルできるような環境にしてあげればSuper GTがもっと面白くなる気がします。予選を失敗すると、決勝レースでリカバリーが効かなくなってしまうのが顕著なので車重を合わせ、コーナー速度を落とし、最高速の3点をもう少し均衡化させていく必要を感じます。特に300kmレースはピットが1回しかないですから顕著ですね。そうは言いつつ、最終戦は我々も予選で前に行ける車にして、勝負に出ようと思っています」

2022スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)
2022スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)


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