MotoGPニュース

2017.03.21

MotoGPマシンにダウンフォースって必要?(前編)/ノブ青木の知って得するMotoGP


2017年に登場した各メーカーの新型カウル

 その『限りあるパワー』を、0.1馬力でもムダにしないよう、最新MotoGPマシンは超高効率に作られている。だから、無闇にウイリーなんかしている場合じゃない。見た目にはカッコいいウイリーだけど、フロントが浮くとライダーはわずかにアクセルを戻し、浮きすぎを防止する。

「それってパワーロスなんじゃないの?」ということで、各メーカーはこぞってウイリーコントロールシステムを開発した。電子制御のチカラでウイリー角度を絶妙にコントロールして、パワーロスなく加速できるようにしていたのだ。

 ところがどっこい、最近は電子制御開発に莫大なコストがかかっていたものだから、ここにも制約のメスが入った。

 電子制御の核であるECU(エンジンコントロールユニット。エンジン制御を司るコンピュータ)が、2016年にハードウェア、ソフトウェアともに全メーカー共通化されてしまったのだ。そして、ハッキリ言ってしまえば大幅に性能ダウンした。

 影響はかなり大きくて、共通ECU導入2年目となる2017年も苦労しているワケだが、ウイリーコントロールシステムの制御レベルも相当ステップダウンしてしまった。

 さてさて、“ふたつの理由”を整理しますと、ひとつはフロントタイヤへの不満感、そしてもうひとつはウイリーコントロールシステムのレベルダウンだ。お気付きの通り、いずれもフロントまわりに発生した由々しき問題なのだ。

 これらを解消するために、どうしたらいいか。F1好きのアナタならすぐに気付くはず。そう、ダウンフォースだ。エアロパーツでフロントを路面に押し付けることができれば、フロントタイヤへの不満感も、ウイリーの抑止も、同時に実現できるんじゃないか……? と。

ドゥカティ デスモセディチGP16のウイングレット
ドゥカティ デスモセディチGP16のウイングレット

 それを実現したのがウイングレット。イタリアのバイクメーカー、ドゥカティを先頭にしてウイングレットを装着し始めると、フロントまわりの問題はわずかながら明らかに好転した。本当に“わずか”ではあるけど、ウイングレットのアリ・ナシで比較テスト走行すると、確実に効果はある。そして超高効率化をめざすMotoGPでは、いかなる“わずか”も見逃せない──。

 長くなりましたが、これが昨年、瞬く間にウイングレットが大流行した理由。「見た目からして明らかに市販車とは違う」MotoGPマシンの登場に、ワタシとしては大いに満足していたし、「素晴らしい!」と思っていた。『バイクレースの世界最高峰』を謳うからには、これぐらい見た目の違いがあった方が良いというのが、ワタシの見解だ。「もっとやれ~」とさえ思っていた……のだが……。

<<後編に続く>>

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■青木宣篤

青木宣篤
青木宣篤

1971年生まれ。群馬県出身。全日本ロードレース選手権を経て、1993~2004年までロードレース世界選手権に参戦し活躍。現在は豊富な経験を生かしてスズキ・MotoGPマシンの開発ライダーを務めながら、日本最大の二輪レースイベント・鈴鹿8時間耐久で上位につけるなど、レーサーとしても「現役」。


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