開幕戦の前週に行われた事前テストでは、Team HRCの高橋巧が驚異的なアベレージスピードを見せていた。Team HRCは2年目を迎え、昨年の問題点を洗い出し、マシンをまとめてきており、それが高橋の好調につながっていた。

 高橋の速さを見た中須賀は、このままでは勝つことができないと思ったと言う。レースウイークに入ってからも新たなマシンセットを模索し、これなら勝負できるという状態になったのは金曜日のことだった。

 そして公式予選では、セッション序盤で、高橋とたまたま一緒になったが、お互いけん制することなく最初のアタックを行っていた。そしてリアタイヤを交換しセッション終盤にタイムを出しに行くと1分46秒878という、とてつもないタイムを記録。それでもアベレージでは互角というのがレース前の予想だった。

 決勝は、中須賀と高橋が1分47秒台から48秒台という驚異的なラップタイムでの一騎打ちとなり、両レースとも僅差で中須賀が制した。レースの結果だけ見れば中須賀の強さが際立ったが、ホンダと高橋のレベルがヤマハと中須賀をついに捕らえたレースとなったと言えるだろう。

チェッカーを受け何度も拳を振り上げ喜びを表した中須賀克行
チェッカーを受け何度も拳を振り上げ喜びを表した中須賀克行

「巧くんもホンダのマシンも本当に速かった。タイムを見れば分かると思うけれど、本当にレベルの高いレースだった。2レースとも勝つことができてよかったし、最後は、湧也が力をくれました」

 チェッカーを受けた中須賀は、何度も拳を振り上げ喜びを表した。そして左腕に巻いた喪章に手をかざし、天を突き刺し、湧也に優勝を報告したのだった。

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