MotoGPバイクは、曲がるために側面のフレームのたわみが必要になる。コーナーにおいてバイクが横倒しになる時、グリップとコーナリングを改善するために、フレームはアスファルト上のバンプや凹凸に沿ってたわむ必要がある。

 一部のシャシーエンジニアは、フレーム、スイングアーム、フォーク、トリプルクランプなどが側面にある種のたわみを作りだす必要があり、それによりホイールベースが実際にコーナーに沿ってカーブすることで、セルフターン効果が生み出せると考えている。

 HRCの黒くコーティングされたRC213Vは明らかに何らかの方法でたわみを変えるように設計されているが、エンジニアたちが何を達成しようとしているのか、見ただけでは理解するのは不可能だ。

 コーティングされた合金のフレーム自体は2019年の標準フレームとはわずかに異なっている。各スパー外部の縦の深部にあり、おそらくは縦方向の剛性を増強し、マルケスが楽にコーナリングができるように、側面のたわみがさらに軽減されているのだろう。

「新しいフレームにはポテンシャルがあるが、まださらに理解する必要がある」とマルケスはドイツGPのフリー走行を終えた後に語った。

「このフレームがあると速く走れるのは本当だ。でもレース距離でどうなるかは定かではない。レースには、もしかしたらもう少し品質を落としたものの方がいいかもしれないが、それがどう反応するかは分かっている」

トレンドになっているメインチューブのカーボンパーツ
トレンドになっているメインチューブのカーボンパーツ

 おそらく黒いフレームについて最もクレバーな点は、HRCが迅速にフレーム剛性を変更でき、テストライダーのステファン・ブラドルとレギュラーライダーたちが、より多くの選択肢を評価できることにあるだろう。

 MotoGPのフレーム組み立てには1週間はかかる。機械加工をし、溶接し、熱処理などを行う。一方でカーボンファイバーコーティングのフレームは(ほとんどの場合オートクレーブの中で)数時間のうちに装着できる状態になる。

 HRCは、カーボンファイバーの厚み、織り、配向に変化を持たせることで、さまざまな剛性をさまざまなエリアに適用できる。たとえばマルケスがドイツGPのフリー走行で試したコーティングフレームは、彼がヘレスでテストしたものとは異なるものだった。

 結局のところ、この複合材のコンセプトが、理想的な剛性を見出し、同じ剛性をコーティングのないフレームで再現するための単なる開発プロセスの一部なのか、また、マルケスが複合材フレームをすぐに後半戦のレースで使うのかどうかは分からない。

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