フリー走行2回目を迎えるころには、次第に路面が回復しつつある状況。ただ、気温は20度、路面温度は19度と、午前中からあまり変わらなかった。コンディションがドライに変化していく状況だったため、ほとんどのライダーはスリックタイヤを履いてコースイン。タイムもセッション序盤から上がり、トップタイムをマークしたダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・チーム)やミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMテック3)などが早々に1分35秒台のタイムをマークする。
セッション開始15分、ミラーがトップに浮上。2番手にはカル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)がつける。クラッチローはテルエルGPの決勝レース後の検査で、右肩の靭帯を痛めていることが確認されている。
セッションの残り時間が半分になるころには、フランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)がトップタイムをマーク。2番手にはミラー、3番手にはアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)がつけていた。しかしその後、中上とA.マルケスが相次いでタイムを更新。さらにザルコが4番手タイムを記録し、ドゥカティ勢とホンダ勢が上位を占める。午前中とは打って変わって目まぐるしく順位が変わっていく。
中上は残り20分で1分34秒534を記録してトップに立つ。2019年シーズンのバレンシアGPを右肩の療養のために欠場した中上にとっては、2年ぶりのバレンシアGPである。
その後もセッションが終盤になるにつれトップタイムは続々と更新された。最終的にトップでセッションを終えたのは1分32秒528を記録したミラー。フリー走行1回目に続きトップタイムを記録し、初日を制した。
2番手につけて躍進を見せたのはアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)で、前戦ウイナーのフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)が3番手。中上はトップから0.338秒差の4番手で、ポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が5番手だった。
クアルタラロは9番手、ミルは10番手。そして、11番手で初日を終えたビニャーレスは、このセッション中にヨーロッパGPの決勝レースで、ピットレーンスタートとなることが明らかになった。2020年シーズンのMotoGPクラスは、コンセッション(優遇措置)を受けていないコンストラクターの場合、エンジンの使用可能基数が5基と定められている。
しかし、このヨーロッパGPで、コンセッションを受けないヤマハのビニャーレスのマシンに、6基目のエンジンが投入された。ピットレーンスタートは、規定数を超過したエンジンを使用することに対するペナルティである。ビニャーレスは、チャンピオンシップでトップから19ポイント差のランキング3番手につけている。ピットレーンスタートはビニャーレスのタイトル争いに大きな影響を及ぼすことになるだろう。