更新日: 2021.07.20 22:15
ヨシムラSERT Motul 2021EWCエストリル12時間耐久ロードレース 決勝レポート
2021年7月17日
2021年 FIM世界耐久選手権 第2戦 エストリル12時間レース
会場:ポルトガル エストリルサーキット
ヨシムラSERT Motul:GSX-R1000R 第2戦を17位で終え、チャンピオンシップでは4位につける
ヨシムラSERT Motulチームは、2021年 FIM 世界耐久選手権(EWC) 第2戦 エストリル12時間レースにおいて、困難な状況に直面しつつも最後まで強く戦い抜いた。エストリル12時間レース後のランキングは、4位。チャンピオンシップにおけるタイトル獲得を目指し、9月18日(土)決勝日のポール・リカール・サーキットで開催される次戦ボルドール戦へ向かう。
GSX-R1000Rを走らせる3人のライダー、シルバン・ギントーリ選手、グレッグ・ブラック選手、ザビエル・シメオン選手は、気温が高く困難を極めたエストリルにおいて常に高い戦闘力を発揮し、2度の転倒という不運に見舞われながらもポジションを回復しポイントを獲得することに全力を注いだ。
レーススタートではブラック選手が前戦同様に素晴らしいスタートを切り、予選3番手のポジションからホールショットを獲得。序盤、GSX-R1000Rはライバルを圧倒する走りを見せていた。しかし時間が経つほどに気温と路面温度は上昇。タイヤグリップに厳しい状況となる中で多くのチームが転倒を喫し、トップを快走していたギントーリ選手もまた3時間が経過しようとしているタイミングでスリップダウンしてしまう。チーム総出で即座に修復に取り掛かり、6分以上を要したピット作業を終えレースに復帰した時の順位は17番手。勝利の望みは薄くなったものの、チャンピオンシップのために最大限のポイント獲得を目指すべく、各ライダーは一つでも順位を上げることに集中して周回を重ね、ギントーリ選手はこの時のスティントでレース中のファステストラップも記録した。
レースの折り返し点である6時間経過時、チームは失ったポジションの多くを挽回することに成功。修復されたGSX-R1000Rは、表彰台の可能性も現実的な6番手を走行。ラップタイムは安定したハイペースを維持しており、一つでも順位を、1ポイントでも多く、という目標に向け確実なレース展開をしていた。
しかしながら、残り5時間の時点で5番手を走行中だったシメオン選手が、バックマーカーと絡んでペースが乱れた前走車と接触してしまい激しく転倒。マシンの損傷が激しかったこともあり、ここで表彰台の可能性は潰えてしまった。
修復に時間がかかってしまったものの、ゼッケン#1はレースをあきらめることなく、チャンピオンシップのためわずかでもポイントを獲得すべく24番手でコースに復帰。この不屈の精神と忍耐強さのおかげで、波乱が続いた12時間のゴールライン通過時には総合17位、EWCクラスで12位まで回復。貴重な12ポイントを獲得し、ヨシムラSERT Motulチームはポルトガルを後にした。
次戦は9月18・19日、フランス・キャステレにあるポール・リカール・サーキットで行われる第84回ボルドール24時間耐久レースである。
ヨシムラ SERT Motul ダミアン・ソルニエ チームマネージャー
「このレースによって、改めて耐久レースは、事前に確実にしておけることなど何もないということ痛感させられました。私達はポイントリーダーとして士気の高いチーム、3人の速いライダーというパッケージで、希望を胸にエストリルに来ました。スタートしてすぐに実力を発揮することができたのに、わずか数時間後に結果は全く違うものになってしまいました。でもこれがレースです。良い時もあれば悪い時もある。ボルドールで再び『良い時』へと変えることができるかどうかは我々自身にかかっています」
ヨシムラ SERT Motul 加藤 陽平 チームディレクター
「今回のレースをこの順位で終えることはとても残念に思っています。2度の転倒がありましたが、高い気温の中でもタイヤは良く機能し、燃費のコントロールも上手にできていました。チームのポテンシャルは変わらず高く、十分勝てる実力を見せることもできたと思います。チャンピオンシップはまだ半ば、次戦ボルドールで再びポイントリーダーへと返り咲けるよう頑張ります」
ヨシムラ SERT Motul グレッグ・ブラック 選手
「予選では前にいたライバル2台とGSX-R1000Rに、わずかな差があることを感じていましたが、チームがスタート直前まで微調整をしてくれたおかげで、あの短時間でマシンが驚くほど良くなり、スタートから積極的に走ることができました。コンディションが難しい中、チームはとても好調で全てが良く機能していましたが、もしかしたら良く機能し過ぎていたのかもしれません。ライバルチームのハイペースに惑わされることなく、ポイントリーダーとして確実にポイントを重ねる走りに徹するべきだったのかもしれません。ただし、勝利が目の前にある時に敢えてそのチャンスを求めないというのは、大変に難しい判断なのです。結果として今回はその代償を払うことになってしまいました。忘れてはならない教訓ですね」
ヨシムラ SERT Motul ザビエル・シメオン 選手
「当然ですが、結果には落胆しています。前戦同様チームは最高の仕事をしてくれ、レース中は常に高いレベルで走れていましたが、今回はいくつかのトラブルにより予定通りにレースを運ぶことができませんでした。いつも通り200%の力を発揮してくれたチームに申し訳ない気持ちです。勝利を獲得するためのパーツは揃っていたのに、この順位でレースを終えたのは本当に不本意です」
ヨシムラ SERT Motul シルバン・ギントーリ 選手
「ル・マンの真逆となってしまいました。スタートから好調だったのに、自分の転倒がレース運びを狂わせてしまいました。しかし、そこからのリカバリーは上々で、再び表彰台を狙える位置までポジションを回復していたのです。ただザビエルはアンラッキーだったと思います。あれはレーシングアクシデントであり、彼のミスではありませんが、バイクの損傷が大きく復帰に時間がかかってしまいました。しかしレース後半では我々の速いペースと強い意志を見せることもできました。チャンピオンシップにおけるポイント差は大きくないので、次回のボルドール戦では巻き返したいと思います」