マルケスにとってはドイツGPの優勝以来の、表彰台獲得だった。久々の表彰台獲得だと考えれば、そう悪い結果でもないようにも思える。ただ、マルケスにとっては現在、速さが安定していない、そのことが懸念事項になっている。
 
「僕は一つのサーキットで速く走りたいわけじゃない。どのサーキットでも速く走りたいんだ。だから、まだ改善していかないといけないんだ」

 一つには、バイクの面での問題だ。ご存知のとおり、ホンダ全体として苦戦が続いている。そしてもう一つには、マルケス自身がまだ万全の状態ではないということだ。決勝レース後の会見で、マルケスはこう述べていた。
 
「今季は僕のキャリアの中でも最も厳しいシーズンかもしれない。フィジカル面でも、精神的にも、多くのものごとについてもね。ポルティマオで復帰した時の期待値は小さなものだったけれど、もっと早く体の状態がよくなるだろうと思っていたんだ」

「僕の以前のライディングスタイルは、フロントタイヤをかなり酷使して限界で走り、間一髪のところをひじで転倒を回避するものだった。今はそれができない。だから、今季は転倒が多いんだ。過去には何度も転倒を回避してきた。でも、今季はフロントを失うと、もうあきらめることになる」

「以前のような走りができない。いいラインを辿り、うまく走るだけだ。今はライバルより抜きんでたものがない。ほかのライダーと違うことができなければ、彼らと同じということだ。あるサーキットでは速く、あるサーキットでは苦戦する。僕の目標は、今後、体の状態をもっと回復させることだ」

 マルケスだけが持っていた武器は、現在その手にはない。ホンダの不調があるにせよ、今後、優勝やチャンピオンを獲得するために必要なマルケス自身の“奥の手”を欠いている、ということだろう。だからだろうか、少なくとも会見場でのマルケスの表情は、久々の表彰台に満足しているようには見えなかった。
 
 果たしてマルケスがその武器を取り戻すのはいつになるのか……、それを最も待ち望んでいるのは、おそらくマルケス自身だろう。

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