初期型に乗って「なんだ、このデキソコナイ!」と思った人は正しい。
しかし、GT-Rは年々進化していったのである。2009年モデル、2011年モデルと完成度は確実に高まっていった。タイヤやダンパー、サスペンションパーツなどが細かくバージョンアップされているが、アルミとスチールのハイブリッドボディゆえの剛性感の悪さも、どこかで修正されてきたのだろう。
そして13年モデルでは、GT-Rは完成の域に到達。サスペンションはしっかりとストロークするようになり、その結果ロードホールディングと乗り心地が向上した。“世界初! 毎日使えるスーパーカー”がそこにあった。
改めて最新モデルに乗ってみると、GT-Rはさらに熟成されていた。前後左右にドライバーが期待したとおりの動きをしてくれることに感激した。
重さは感じるものの、圧倒的なスタビリティを持ちながら、しっかりと曲がり、スロットルペタルの動きにシンクロして、加速Gが立ち上がる。
ブレーキは、タイヤのグリップが安定したこともあり、極めてコントローラブルだ。前後左右の動きをドライバーが制御でき、しかもそれが4WDシステム上で運用されるわけで、コンディションの悪化に対し、神経質になる必要もない。それが600ps級のマシンにふさわしい速度域だけではなく、コンビニにお弁当を買いに行く時でも、同じリニアリティが確保されているのだ。
初期型で480psだったエンジンパワーは、570psまでパワーアップされ、性能は高まっている。ただ、体感としては、クルマとしての安定感に欠けていた初期型のほうが、低い速度ではパワフルには感じたように思う。
最新型は伸びやかかつ圧倒的で、全域でマナーに優れる印象だ。その理由としては、6速DCTの制御がマトモになったことも大きいだろう。
最新のGT-Rをドライブすると、まるで万能感を与えられたかのように錯覚する。フィールドを特化したチューニングカーのようだったGT-Rは、超高性能なGT =グランツーリスモへと変貌していた。初期型でゲンナリした人には、とくに試乗することをお勧めしたい。

■ニッサンGT-R 2018モデル主要諸元
| 車体 | |
|---|---|
| 車名型式 | ニッサンDBA-RR35 |
| 全長×全幅×全高 | 4710×1835×1370 |
| ホイールベース | 2780mm |
| トレッド 前/後 | 1590 /1600mm |
| 最低地上高(mm) | 110mm |
| 車両重量/車両総重量 | 1760/1980kg |
| 乗車定員 | 4(2+2)名 |
| 駆動方式 | 4WD |
| ギヤボックス | GR6型デュアルクラッチトランスミッション |
| ステアリングギヤ形式 | 電子制御パワーアシスト付ラック&ピニオン式 |
| サスペンション前/後 | 独立懸架ダブルウイッシュボーン/独立懸架マルチリンク |
| ブレーキ 前/後 | ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク |
| タイヤサイズ 前/後 | 255/40ZRF20(97Y)/285/ZRF20(100Y) |
| エンジン | |
| 型式 | VR380DETT |
| 形式 | DOHC V型6気筒 |
| 排気量 | 3.799ℓ |
| シリンダー内径/行程 | 95.5/88.4mm |
| 圧縮比 | 9.0 |
| 最高出力 | 419kW(570ps)/6800rpm |
| 最大トルク | 637Nm(65.0kgm)/3300-5800rpm |
| 使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
| タンク容量 | 74リットル |
| 燃料消費率(JC08モード) | 8.8km/L |
auto sport 2019年2月15日号 No.1499より転載
