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クルマ ニュース

投稿日: 2020.12.15 17:59
更新日: 2020.12.15 18:13

アウディ、EVモデル『e-トロンGT』の生産を開始。製造拠点もカーボンニュートラル化

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クルマ | アウディ、EVモデル『e-トロンGT』の生産を開始。製造拠点もカーボンニュートラル化

 生産拠点において、重要な資源は節約され、原材料も現場でリサイクルされています。そのもっとも良い例が、“アルミニウム・クローズドループ”です。その一例は、ネッカーズルムの拠点においてアウディe-トロンGTのサイドウォールフレーム製造の際にプレスショップから出るアルミニウムシートの端材を再利用する、クローズドリサイクルチェーンです。

 このサイドウォールフレームは、絞り加工の最高点と最低点の差が35cmにも上り、それによってホイールアーチのショルダー部分に、quattroブリスターと呼ばれる特徴的で力強い造形が生み出されます。この極めて困難なプロセスを実現するため、最先端のアルミニウム加工技術が採用されています。
 
 アルミニウムクローズドループにより、切断後のアルミニウムシート端材はサプライヤーに戻され、リサイクルされてアウディが再使用します。これにより、ネッカーズルムの拠点において年間数千トンのCO2排出量が削減されています。

 環境に配慮したプロセスは、アルミニウムだけに留まりません。プラスチックのリサイクルでは、「古いものを新しいものに変える」という考え方を採用しています。現在進行中のパイロットプロジェクトでは、A6およびA7の組立作業に由来するプラスチック端材は仕分けおよび裁断されて、特殊な繊維に生まれ変わります。
 
 これらのフィラメントは、生産プロセスの3Dプリンターで使用されます。ベーリンガーホフ工場における社内3Dプリンティングチームは、各従業員の要件に合わせてカスタマイズされた多様な組立作業補助具の製造を担当しています。
 
 アウディe-トロンGTの製造には、そのような補助具が100以上も使われています。リサイクルプロジェクトの目的は、完璧なポリマークローズドループを創出することです。

アウディe-トロンGTのボディに使われる素材を示した図
アウディe-トロンGTのボディに使われる素材を示した図

■体系的なリソースの節約

 原材料を節約するためのアプローチは、クローズドループだけではありません。アウディe-トロンGTは、物理的なプロトタイプを製作することなく製造工程が計画された、最初のアウディです。現在、生産現場で実際に使用されているすべて組立手順は、社内で開発したソフトウェアおよびVRアプリを活用して仮想的にテストを受けたものです。
 
 繊細なパーツの輸送に使用する専用コンテナの一部も、新しい仮想メソッドを使用してプロトタイプなしで製作されました。これにより、金属だけでなく、部品を保護するためのパッケージも節約できます。キーワードは、廃棄物の削減と紙の節約です。
 
 ボディショップと組立ラインでは、ほとんど紙を使用することはありません。従来の書面による記録の必要性をなくしたメンテナンスアプリなどの新しいプロジェクトも、紙の節約に貢献しています。
 
 ロジスティクスの面では、デジタルラベルがテストされており、これが実現すれば、さらに紙の必要性が少なくなるでしょう。棚のパーツコンテナには、紙製のステッカーの替わりに電子ラベルが採用されるようになります。電子ラベルは、非常にエネルギー効率が高いだけでなく、変更があった場合に簡単に再プログラムすることもできます。
 
 これは、従来の使い捨てラベルに比べて重要な利点です。また、アウディのプロジェクトチームは、サプライヤーと共同で、梱包材の体系的なスリム化と廃棄物の削減につながるソリューション開発に取り組んでいます。

■スマートファクトリーとクラフトマンシップの完璧な融合

 高品質、高性能、そしてディテールへの情熱は、ベーリンガーホフ工場の特徴となっています。2014年以来、アウディR8はこの工場で組み立てられています。ネッカーズルム拠点の中にあるベーリンガーホフ工場は、スポーツカーを熟練工が手作業で生産する場所であり、アウディe-トロンGTの生産に向け、2019年に拡張とアップグレードを受け、設備も一新されました。
 
 アウディ史上もっともパワフルで最速のふたつの量産アウディモデルが、この工場で生産されています。生産責任者のウルフガング・シャンツは、次のようにコメントしています。

「技術的にまったく異なるふたつのモデルが、ひとつの組立ラインで生産されるのは、グループ内でも非常に珍しいことです。EVの4ドアクーペの生産を引き受けることにより、ベーリンガーホフ工場は、高い柔軟性を備えるハイテク生産施設へと変容しましたが、熟練工による生産という特徴はそのまま保たれています」

 このEVグランツーリスモは、来春のワールドプレミアに引き続き、受注が開始される予定です。

アウディe-トロンは、同社がドイツ国内で初めて生産する電気自動車となる。
アウディe-トロンは、同社がドイツ国内で初めて生産する電気自動車となる。


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