RACE REPORT
2023 Round.07 FUJI
Qualify ： NOVEMBER 11 / 2nd RACE： NOVEMBER 12 / 2nd
■PRACTICE
NOVEMBER 9- 10 [THU/FRI] FINE / DRY – CROUDY＆RAIN / WET
3月に開幕した2023年のスーパー耐久シリーズは、長い戦いを経てシーズン最終戦を迎えた。舞台は今季2回目となる富士スピードウェイ。シンティアム アップル KTMは第2戦富士SUPER TEC 24時間レースで今季初勝利を得て以降4連勝を飾り、この最終戦は完走すればチャンピオンを得ることができる。
しかし今回、ライバルとなる#47 アストンマーティンがドライバー体制を変更。盛り上げのためにプロドライバーをふたり揃えてきた。Aドライバーにプロを据えることで90秒ストップのハンディキャップが課せられるが、シンティアム アップル KTMにとっては楽な展開になるようで、好勝負を展開しそうな予想もできない一戦となった。
とはいえ、まずは自分たちのレースをきっちりとこなさなければならない。走行開始となる11月9日（木）は晴天のもとスポーツ走行枠を使い、加藤寛規がクルマのバランス等を確認するなどの作業を行っていった。
ただ、走行2日目の11月10日（金）の富士スピードウェイは曇り空。井田太陽から走行を開始したものの、ポツポツと雨が降り出し、開始から20分を過ぎたあたりから雨脚が強まった。
そんななか、加藤がブリヂストンのウエットタイヤを使い、セットアップなどを研究。午後は完全なウエットとなってしまい、土日はドライが予想されたことから、走行を見合わせることになった。
■QUALIFY
NOVEMBER 11 [SAT] RAIN / WET
事前の天気予報では曇りだった11月11日（土）の予選日だが、朝から濡れた路面が残る曇り空。午前9時05分からのウォームアップもシンティアム アップル KTMは走行を見合わせ、午後1時20分からの公式予選に臨むことになった。
ただ、午後もなかなか天候が回復しない。ポツポツと雨が降ったり止んだりで、ウエットコンディションは変わらず。そんななか、まずAドライバー予選に臨んだ井田だったが、難しいコンディションのなか1分55秒307を記録するも、こういった状況下ではやはりプロが速い。#47 アストンマーティンに対しては差をつけられてしまう。続くBドライバー予選でも加藤が1分52秒045を記録するも、やはり#47 アストンマーティンに及ばず。今季初めてクラスポールポジションを譲ることになってしまった。
とはいえ、大事なのは翌日の決勝。Cドライバー予選では高橋一穂が1分57秒318、Dドライバー予選では吉本大樹が1分54秒870を記録し、レースを見据えながら作業を進め、予選日を締めくくった。
■RACE
NOVEMBER 12 [SUN] CROUDY / DRY
いよいよ今シーズンのラストレースとなった11月12日（日）の決勝レースは、1万6600人もの観衆が訪れ、賑わいのなか迎えた。シンティアム アップル KTMのスタートドライバーを務めたのは井田だ。
スタートから井田は#47 アストンマーティンを追いながらレースを進めていくが、前日から渡邊信太郎エンジニアは序盤から2台の間にST-Z車両が入り、その間にギャップを築かれてしまうことを危惧していたが、3周目には間にST-Zの首位争いが3台入ってしまい、その危惧が当たってしまう。井田はなんとか8周目には#47 アストンマーティンの後方につけたが、ややギャップが広がってしまった。
ただその後井田はタイヤが厳しい状況ながらペースを上げていく。一方の#47 アストンマーティンは30周を終え90秒ストップのAドライバーハンディを消化したため2台の順位は逆転。シンティアム アップル KTMは34周を終えピットインし、吉本大樹に交代。1分半ほど開いたギャップをさらに広げにかかった。
吉本はさすがのペースで、プロ同士が繋いでくる#47 アストンマーティンを近づかせまいと、自らのスティントをきっちりとこなし69周を終えピットイン。ピットで待ち受けた高橋一穂が乗り込んだ。
高橋は少しずつ路面温度が下がりコンディションが悪くなっていく状況のなか、粘りの走りをみせていくが、いまひとつエンジンパワーが弱くなっていくのを感じていた。そんな中、86周目には集団のなかでスピンを喫してしまい、一度タイヤ交換を実施。このピットインで2台の差は逆転してしまった。
とはいえ、前戦岡山のようにアンカーの加藤寛規が追い上げれば、まだトップは射程圏内。94周を終えピットインし加藤に交代し首位を追う体勢をとったが、交代した加藤からは「ブーストが上がらない」という連絡が入ってしまう。97周を終えシンティアム アップル KTMは緊急ピットインを行うことになった。
もしこのままリタイアを喫してしまうと、チャンピオンの座さえも#47 アストンマーティンに移ってしまう。ただ、トラブルはインタークーラーに発生しており、ターボは動かないまでも、エンジン自体は動いていた。ここまでの3人のドライバーの頑張りにより、完走となる70％のレース距離をこなすことは可能と判断。シンティアム アップル KTMは44分をピットで過ごし、加藤に最後の走行を任せると、レースの残り10分でピットアウト。なんとかチェッカーを受け、ST-1クラスの2位にとなった。
薄氷のレースとなったものの、これでシンティアム アップル KTMは3年連続のチャンピオンを決めてみせた。
■DRIVER COMMENTS
Taiyo IDA 井田 太陽
「キツいレースでしたね！ タイヤもキツいですし、タイヤカスにも悩まされましたし。バランスが良い状態では大丈夫だったのですが、コースによっては合わないところなどもあったりして、苦労したところもありましたけど、吉本選手や加藤選手は慣れていますからね。そこに助けられたと思っています。苦しい今シーズンの最終戦でしたが、なんとかチャンピオンを獲ることができて本当に良かったです」
Hiroki KATO 加藤 寛規
「最終スティントを任されましたが、乗ってすぐにパワーがないなと。確認してもらいましたが、その後もダメだったのでピットに戻りました。最後もう一度チェッカーを受けるために出たものの、パワーがなくて下のクラスに抜かれるくらいで怖かったですね。とはいえ、チェッカーを受けることができて良かったです。開幕戦含め順風満帆ではないシーズンでしたが、その中でチャンピオンを獲れてホッとしています」
Kazuho TAKAHASHI 高橋 一穂
「クルマは僕のスティントのときからちょっと壊れていたんです。吉本選手が壊したんじゃないかな（笑）？ インタークーラーが壊れていたとのことですが、なんとか最後までクルマがもって本当に良かったです。今シーズンはチャンピオンを獲れましたが、本当に厳しいシーズンだったと思います。でも、来シーズンはもっとたくさんのライバルがST-1クラスに出て欲しいと思っています。ぜひ参加してください」
Hiroki YOSHIMOTO 吉本 大樹
「ホッとしました。本当は勝ってチャンピオンを決めたかったですけどね。今回は予選で少し乗っただけで決勝を走りましたが、何も問題がなくて、自分のスティント終わりからブーストがかからなくなって。高橋さんのスティントでリードがなくなってしまいました。しんどい中でも加藤さんが最後走れて良かったです。これが24時間レースではなかったので運もあったかもしれません。無事3連覇できて良かったです」
