開幕2連戦の奥伊吹ラウンドでもっとも注目を集めたのは、Team TOYO TIRES DRIFT 2が実戦投入したトヨタGRカローラだろう。昨年まで4シーズン乗って熟成してきたトヨタGRスープラからスイッチした松山北斗にとって、今回はまったく新たなチャレンジとなっている。

　マシンデビューとなった4月の富士スピードウェイ『モーターファンフェスタ』でのエキシビジョン走行では、ほぼシェイクダウンと呼べるまっさらな状態だった。その後の3週間で車両は各部をモディファイしたがテスト走行できたのは1度だけという。それでも土曜の第1戦は単走8位とまずまずのポジションを獲得し、追走トーナメントでもベスト8に進出（最終順位は6位）。デビュー戦での12ポイント獲得は上々の結果のはず。

　さらに翌日の第2戦は単走優勝に輝いた。これまでのGRスープラよりホイールベースが17cm（ちなみにGR86より6.5cm）長いので「比べたら動きはかなりマイルド。その反動なのか、ウエット路面になった途端にピーキーな特性に激変したのが逆に良かった」と松山は振り返る。クイックな姿勢変化がDOSSの評価基準にマッチするため、雨の方が得点がでやすくなったワケだ。

　追走トーナメントではベスト16の対戦中、デフブローにより駆動力を失い残念ながら敗北。しかしクルマが目指す方向性が偶然の雨により見えて来たのは収穫だっただろう。

■第2戦注目ドライバー：恐れ知らずのルーキー田野結希が3位獲得！

　今年のD1GPは下位カテゴリーであるD1ライツのシリーズ王者が2名初参戦する。2022年のD1ライツチャンピオン（2023年シリーズ3位）の田野結希は、D1初挑戦となった第1戦こそ単走17位でギリギリ追走進出ならずに終わったものの、第2戦では大躍進の単走2位を獲得。

　追走トーナメント初戦のベスト16では、昨年D1ライツでしのぎを削り合った山中真生（単走チャンピオン、シリーズ2位）とのルーキー対決が早くも実現。結果は後追いで田野が大きくポイントを獲り返して完勝している。

　D1初追走を制した勢いはとどまらず、ベスト8では前年D1王者・藤野秀之から勝利をもぎ取るジャイアントキリングに成功。さらにベスト4は第1戦準優勝の斎藤太吾とがっぷり四つの追走を繰り広げてサドンデス（再試合）突入、そこで惜しくも力尽きるという新人らしからぬ暴れっぷりだった。

　ラジコンドリフト、通称“ラジドリ”出身のシミュレーター世代であり、4年前のD1ライツではデビューウインを達成するなど話題に事欠かない大型新人の出現は、同世代もベテラン勢にも大きな刺激となったはずだ。