ひさびさの表彰台獲得も
課題も見つかった3位
ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE
第4戦 SUGOスーパー耐久4時間レース
2025年7月5日(土)〜7月6日(日) スポーツランドSUGO(宮城県)
入場者数:7月5日:3,000人 7月6日3,900人
■PRACTICE スポーツ走行/STMO専有走行
7月3日(木)〜4日(金)
天候:晴れ/曇り 路面:ドライ
開幕戦こそ優勝を飾ったものの、第3戦富士24時間では、やや悔しい結果に終わったKTMSは、第3戦から約1ヶ月強のインターバルで第4戦を迎えた。舞台は宮城県のスポーツランドSUGO。KTMS GR YARISにとっては、決して苦手ではないコースだ。
そんな一戦に向け、チームは第3戦富士前の公式テストで使用したGR YARISを修復し再度投入することになった。カラーリングも一新され、フロント、リヤ、クーリングパーツもGR YARISの後期仕様となった。
今回のレースウイークは7月3日(木)のスポーツ走行からスタートし、うだるような暑さのなかKTMS GR YARISは1回目の走行をSUGO初走行の富下李央菜からスタート。2回目は鈴木斗輝哉と平良響、3回目は3人でドライブし初日を終えた。
明けて7月4日(金)も酷暑のなかでの走行となったが、鈴木、平良、富下と交代。急速に曇り空となった2回目は、平良から鈴木、最後はふたたび富下に代わり走行を締めくくった。午前は1分31秒574でトップタイム、午後は1分32秒013で4番手という順位となった。
平良は走行後、「富士で使った車両の良いところを盛り込んできていますが、それがすごく良い感触ですね」と語った。また、SUGOは昨年から路面が改修されており、セットアップの合わせ込みも重要なものとなった。
■QUALIFY 公式予選
7月5日(土)
天候:雨/曇り 路面:ウエット
今回の第4戦は変則的なレースで、KTMSは7月5日(土)に予選と決勝を行う。また予選は昨年のSUGO戦に続き、ノックアウト形式が採用された。
開始前からの雨がわずかに残り、ウエットで迎えたBドライバーの予選Q1に臨んだのは鈴木。3周目に1分37秒130を記録し2番手につけ、Q2はA組に進出。
「富下選手に繋げることができて良かったです」と鈴木。続くAドライバーによる予選Q2のA組に臨んだ富下は、少しずつ路面が乾いていくなか1分38秒354を記録。こちらも2番手につけ、フロントロウを獲得してみせた。
「雨で不安もありましたが、2番手だったので悪くなかったと思います」と富下は語った。
平良がドライブしたC/Dドライバー予選では日射しも出るなか、平良は1分33秒499を記録。予選を締めくくった。
■RACE 決勝レース
7月5日(土)
天候:晴れ 路面:ドライ
公式予選の後、スポーツランドSUGOは晴れ間が広がり、午後0時35分にフォーメーションラップがスタートしたグループ2の決勝レースは、快晴のもとスタートした。路面も完全にドライコンディションとなった。
KTMS GR YARISのスタートドライバーを務めたのは平良。今回のグループ2はST-2とST-5F/Rの3クラスの争いで、平良は集団のフロントロウからスタートを切った。
平良は1コーナーでアウトからポールポジションの#6 ランサーに襲いかかると、2〜3コーナーの攻防でトップに躍り出た。ただ、ライバルのランサー、そしてシビック・タイプR勢はストレートが速い。2周目のストレートで平良は為すすべなくかわされ2番手に。さらに4周目には#95 シビック・タイプRにも先行され3番手につけることになった。
ただ、ここまではある意味織り込み済み。平良は4番手の#13 GR YARIS以下にはつけいる隙をみせず序盤のレースを戦ってくと、スティント終盤には少しずつ2番手につけていた#6 ランサーとのギャップを縮めていくことに。そのまま#6 ランサーとの差を縮めたまま50周まで走るとピットイン。鈴木に交代した。
ST-2クラスの各車がピットインを終えると、二輪交換でピットイン時間の利を活かしたKTMS GR YARISは2番手につける。トップを走る#95 シビック・タイプRは、終盤に燃料が足りなくなる可能性も出てきた。鈴木の役割はいかにギャップを保ち、#95 シビック・タイプRにプレッシャーをかけていくかだ。鈴木はジワジワとその差を詰めていき、スタートから2時間を超えるとスパートし、その差は10秒を切っていった。
鈴木は88周目、ついにその差を3秒以内に縮め、テール・トゥ・ノーズまで持ち込んだが、#95 シビック・タイプRはストレートが速く、抜くには至らず、#95 シビック・タイプRは先にピットに向かっていった。
鈴木は102周を終えてピットインし、富下に交代するが、ほぼ時を同じくして、先行してピットインしていた#95 シビック・タイプRにはエンジントラブルが発生。これでKTMS GR YARISがトップに浮上した。
しかし富下の後方からは、#13 GR YARIS、さらに#72 シビック・タイプRが急接近。残り1時間を切るころ、富下はテール・トゥ・ノーズで三つ巴のバトルを強いられた。
富下は歴戦の猛者を相手に粘りをみせていたが、117周目、ついに3番手にドロップしてしまった。抜かれる際に接触もあったが、ダメージがなかったのは幸いだった。
さらに富下はドリンクが出ない苦しい状況となったが、それでも粘りの戦いを続け、151周を走りフィニッシュ。KTMS GR YARISは3位で第4戦を終えることになった。
もちろん勝利を飾りたい一戦だったが、それでも大きなミスはなく戦うことができたこと、そしてSUGOというコースで多くのことを得たこと、表彰台の一角を確保できたことを前向きに捉えたい。次戦オートポリスで、KTMSはさらなる成長を目指す。
■DRIVERS & ENGINEER VOICE ドライバー&エンジニアコメント
富下 李央菜 RIONA TOMISHITA
最終スティントを担当しました。鈴木選手が速くてトップで繋いでくれたので抜かれたくない気持ちがあったのですが、代わってからすぐの走り出しは自分が思っていたフィーリングと異なっており、ペースに苦しんでしまいました。チームに迷惑をかけてしまいましたし、あっさり抜かれてしまったこと、接触してしまったことは改善したいです。今回は初めてのコースでしたが、ある程度は走れたと思います。次戦以降も初挑戦のコースがありますし、自信をもっていきたいです。
鈴木 斗輝哉 TOKIYA SUZUKI
自分のスティントでは、一時ストールする場面もありましたが、その後はトップとの差を縮めることができましたし、タイヤもうまく残しながら最後にプッシュすることができたので、良いスティントにすることができました。最後は逆転されてしまいましたが、3人で戦うレースですからね。勝てるレースを落としてしまったのは悔しいですが、自分がもっと速く走ることができれば良かったとも思います。次のオートポリスに向けても課題が見つかったレースだったと思います。
平良 響 HIBIKI TAIRA
スタート直後はトップに立つことができましたが、その後は少しペースはなかったですね。ライバルが速く、対抗するにはタイヤを護るしかなかったので、作戦面でも今後いろいろなことを考えていかないといけません。鈴木選手は今回もコンスタントでしたし、クルマの状況もしっかり伝えてくれました。富下選手はドリンクのトラブルもありましたが、初挑戦のなかで走行時間も短く、慣れる時間も少なかったので、次戦はもっと乗せてあげたいですね。3位ですが悔しいです。
金 敬模 KIM KYUNGMO キムインターナショナル 代表
トップを走ることができましたが、今回は富下選手の今後に繋がるレースだったと思います。経験の少なさ、クルマへの熟練度がまだ足りませんね。とはいえ、スティント後半は良いタイムも記録したので、勉強になったのではないでしょうか。平良選手、鈴木選手はしっかりとタイヤもマネージメントしてくれましたし、インフォメーションも分かりやすかったです。良い走りでしたね。次戦はまた成長を見られるレースになると思います。富下選手もたくさん乗ってもらおうと思います。


