ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE
第5戦 スーパー耐久 in オートポリス5時間レース

開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
7月26日(予選) 天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:3500人
7月27日(決勝) 天候:曇りのち晴れ、一時雨 コースコンディション:ドライ観客数:4800人

苦手としていたオートポリスで、ポールポジション獲得、そして勝った!

 2025年もaprは、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、FIA-GT3で競われるST-Xクラスに臨む。DENSO LEXUS RC F GT3をドライブするのは永井宏明選手と蒲生尚弥選手、小林利徠斗選手、そして嵯峨宏紀選手。シリーズ第5戦の舞台はオートポリスで、5時間での戦いとなる『スーパー耐久 in オートポリス』に臨む。

 スポーツランドSUGOで行われた第4戦は、仕事のため永井選手が出場できず、鵜飼龍太選手がAドライバーとして代役起用された。予選3番手からスタートし、一時はトップも走行したが、4時間レースにピットストップ2回の義務づけに対する戦術が分かれ、順位は目まぐるしく入れ替わっていた。aprは3ストップ策を選び、最終スティントに挑んだ時は3番手で、結果的には順位を上げることができなかったものの、前を行く車両との間隔を大幅に縮めたことで、大きな手応えを感じてもいた。

 第5戦の舞台、オートポリスは今まで相性の良いサーキットではなかった。最上位は昨年の3位。前大会の手応えを活かし、印象を好転させることが期待される。

公式予選 7月26日(土)14:15〜

 今大会もDENSO LEXUS RC F GT3の走行開始は木曜日。全クラス混走で、1時間30分のセッションが2回設けられていた。通常ならば、Aドライバーの永井選手に多くの走行機会が与えられる日ではあるが、家族にご不幸があって出場できなくなってしまったのだ。そこでトヨタとの相談のうえで、再び鵜飼選手を急きょ起用することになった。なお、この日のベストタイムは蒲生選手が記した1分54秒476だった。

 金曜日の専有走行から、急ぎ駆けつけてくれた鵜飼選手も走行。午前の1回目は、まずは蒲生選手のセットアップから始まり、1分52秒688まで縮めた後、バトンを託された鵜飼選手は、オートポリスは2年ぶりと言いながら、1分52秒981をマークする。

 午後の2回目はドライバー4人とも走行し、温度の急上昇によって全体のタイムが伸び悩むなか、最後の最後に鵜飼選手が1分53秒456を叩き出し、セッションのトップに立ってくれた。

 土曜日には、ピットウォークの前に30分のウォームアップ走行が設けられ、予選に向けた最終チェックを行い、蒲生選手が1分52秒956を、鵜飼選手が1分54秒242を記す。

 そして迎えた予選。サポートレースでアクシデントが発生し、赤旗中断があったため、本来の予定から25分遅れでのスタートになった。Aドライバー予選に臨んだ鵜飼選手は、1周をしっかりウォームアップに充てて、計測2周目からアタックを開始。

 すると叩き出されたタイムは1分51秒504! 続いてのアタックは1分51秒609とタイムアップこそならなかったものの、トップとなって2番手に対しても0.8秒のマージンを築く。

 Bドライバー予選で蒲生選手も計測2周目からのアタックとなり、1分50秒133、1分50秒255を記す。その結果、合算タイムでは2番手を0.032秒差ながらも上回って、今季初のポールポジションを獲得した。

 続いて行われたCドライバーのセッションでは、ユーズドタイヤながら小林選手が1分52秒482でトップタイムを記録。2周の計測に留めたのは、スタートで履くタイヤで状態の確認のみ行ったから。Dドライバーセッションにおいては、嵯峨選手はガソリン満タンで走って、決勝に向けたセットアップを進めることに。20分フルに走って1分53秒750を筆頭に、1分54秒台前半で走れることを確認した。

鵜飼龍太選手

「水曜日に連絡もらって、金曜日から走行を開始しました。クルマをチームがすごく丁寧にセットアップしてくれて、蒲生さんからのフィードバックもしっかり受けて、それを参考に短時間でなんとか間に合わせることができました。去年のチームがオートポリスには出なかったので、僕自身も2年ぶり、久しぶりです。ポールが獲れたのは本当にチーム力だと思っています。決勝はいつもどおり安全に、僕が変なことをしなければ行けるはずなので、ノークラッシュ、ノーペナルティでしっかり走れば大丈夫だと思います」

蒲生尚弥選手

「自分の力を出しきれましたけど、本当に今回はAドライバーの鵜飼さんが、とてもいいアタックしてくれたおかげです。流れとしてはいいと思っていますので、良かったですし、ホッとしています。長いレースなのでミスなく、接触もしないように努めて、最後まで生き残ればクルマにも手ごたえを感じてますし、必ず結果は必ず出ると思いますので、みんなで頑張りたいと思っています。少しずつでも前進できてる感じがいいですね」

小林利徠斗選手

「いい悪いに関わらず、『クルマの動き、分かったら入ってきて』と言われていたので。決勝に向けては、とりあえず悪い方向には行っていないと思います。実際に走ってみないとわからないですけど、ポールポジションからのスタートですので、チーム全員で頑張れればいいな、と思っています。決勝と予選とまた、違ってくるでしょうけど、いいペースで走れることを祈ります」

嵯峨宏紀選手

「予選の一発タイムは、AドライバーもBドライバーも良くて、一発は出たんですけど、決勝のセットを僕はやって。ガソリン積んで、どういう傾向になるかを見ましたが、アベレージは悪くないのでいいんですが、課題はあるので、そこを突き詰めたいところですね。でも、どうしてもRC Fのクセみたいなところがあるので、どこまで妥協して乗るか。長いレースではあるので、またいいところで帰って来られるように頑張ります」

金曽裕人監督

「いちばん苦手というか、コースレイアウト的に不利なRC Fでポールポジション獲れたのが、非常に嬉しいです。でも、それはクルマが速いからではなく、ピンチヒッターで今回も来てくれた鵜飼さんのパフォーマンスで貯金を作ってくれたおかげです。クルマを単体で見たら、まだ勝っているとは思えません。とはいえ、他よりフロントタイヤが太いので、みんなアンダーに泣かされているところですが、そこを最後まで保てれば勝算もあるんじゃないでしょうか」

「急きょドライバーが代わったので、明日はドライブスルーペナルティを課せられますが、それは致し方ないこと。それがあったとしても、どこまで上に行けるか、っていうのをやってみたいですね。なにしろ、僕自身もセットアップ的に一番苦手なオートポリスで、この結果は嬉しく感無量です。明日は僕も久しぶりに皆様と一緒に、笑いたいです」

DENSO LEXUS RC F GT3
2025スーパー耐久第5戦オートポリス DENSO LEXUS RC F GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/小林利徠斗/嵯峨宏紀)

決勝レース 7月27日(日)11:00

 今大会は5時間で競われる、1グループ開催。ST-ZクラスとST-1クラスが1回お休みのため、8クラス合わせ、48台での混走となる。それにしても、ここまで触れずに来たが、このレースウイークは快適そのもの。全国的に猛暑が続いているのに、何をおかしなことを……と思うかもしれないが、そもそもオートポリスは標高800mに位置する高地にあり、そして何より台風接近の影響で絶えず強く吹く風が、時には寒さすら感じさせるほどだったのだ。ともあれ、ドライバーも車も、暑さ対策をせずに済むのは何よりだった。

 決勝のスタート進行に先駆けて、15分のウォームアップ走行が行われ、ひさびさのスタート担当となる嵯峨選手がドライブ。走り出してすぐピットに戻って微調整を行い、そこからはノンストップで周回し、1分53秒976を最速タイムとして2番手につけていた。しかし、スタート進行が始まって、間もなくフォーメイションラップ開始というタイミングで、小雨がぱらつき始める。

 グリッドを離れた車両のなかには、ワイパーを動かしているのも……。強くならないことを祈りつつ、グリーンライトが灯される。ポールスタートのDENSO LEXUS RC F GT3は嵯峨選手のダッシュも鋭く、レコードラインから1コーナーに飛び込んでいくも、加速に勝る車両にインを刺されてしまう。

 オープニングラップのうちに3番手に後退するも、これは想定の範囲。Aドライバー鵜飼選手への変更でドライビングスルーをしなくてはならず、それを履行してなおAドライバーが担当する4番手の車両の前に戻ることが、嵯峨選手に課せられた最大のタスク。心配された雨もほんの一時で、すぐやんでおり、何より先行する2台から大きく遅れることなく周回を重ね、20周目にピットロードに進むことに。コースに戻ると3番手をキープし4番手に、20秒以上の間隔も残すことができた。

 今回のピットストップ義務は3回。5時間レースとあって均等に割れば、Aドライバーの義務と同じ75分となるが、DENSO LEXUS RC F GT3は積極策を採っていく。スタートからわずか55分、28周目に嵯峨選手をピットに戻して、小林選手にスイッチ。この間に4番手に後退するものの、勢いに乗る小林選手は35周目に3番手に順位を戻す。他の車両がピットに戻るたび順位を上げて、43周目にはトップにも躍り出る。そればかりか、小林選手はリードも広げ続け2番手以降に115秒ものアドバンテージを作る事に成功。

 1時間25分走行した小林選手は、71周目に鵜飼選手に交代。トップのままDENSO LEXUS RC F GT3をコースに送り戻すことにも成功する。それから20分と経たぬうちに3コーナーでクラッシュが発生。FCY(フルコースイエロー)が出されるも、間もなくセーフティカー(SC)に切り替えられる。ピットイン可能なSCランに合わせられたST-Xクラスの車両は1台だけ。他の車両はアクシデントの前に、ドライバー交代を行っていたから、鵜飼選手は少なからずマージンを得られていたはず。

 非競技時間は20分近く実施され、84周目にリスタートが切られることに。2番手の車両とは、異なるクラスの車両を挟んでいたことで、しばらくはリードを広げていた鵜飼選手ではあったが、小林選手が稼いだ2番手以降とのアドバンテージはなくなっており、プロドライバーのドライブする一台が徐々に迫ってきた。しかも、ピットストップが早い分、相手の方がタイヤにかかっている負担は少ない。93周目に抜かれたのは、やむを得まい。

 そしてスタートから3時間37分を経過。義務づけられた75分をしっかり走ってくれた、鵜飼選手から蒲生選手に105周目に交代する。続いてライバル車両がドライバー交代を行うと、DENSO LEXUS RC F GT3は2番手に。もはやSCにて優勝の目はなくなり勝負がついておりチェッカーが振られるまで、前後の間隔はそのまま、走り続けるはずだった。

 ところが、ゴールまであと3分というタイミングで、トップに思いがけぬ事態が起こる。ダウンヒルストレート先の右コーナーで、他クラスの車両と接触。ともにコースアウトしてしまったのだ。すぐ復帰してトップを保つも、何らかのトラブルが課せられて然り。残る3周、余力のすべてを絞り出して、蒲生選手はプッシュ! 最終的には4秒を切った差でチェッカーを受けた。さて、裁定は?

 課せられたのは30秒加算のタイムペナルティ。その結果、優勝はDENSO LEXUS RC F GT3が獲得。まさか最後に、こんな結末が待っていようとは! これでランキングも2位へと浮上し、トップとの差も17ポイントに縮まった。次回のレースはしばらく間を空け、10月25〜26日に岡山国際サーキットを舞台とする。決して楽なレースは許されないだろうが、引き続き戦術の駆使と、粘りのレース展開で残り2戦を力強く戦っていく。

鵜飼龍太選手

「本当に良かったです、チームのおかげです! 急きょの参戦でしたけど、今日のレースのストラテジーを、しっかり自分の走りやすいポジションを考えてくれて、安心して走れました。クルマのセットアップも、蒲生選手がしっかりやってくれたおかげです。こんな週末が待っていたとは、皆様ありがとうございます」

蒲生尚弥選手

「レースってわからないですね。一生懸命走っていたからこそ、こういう展開になったと思うので、諦めずに走っていて良かったです。タイヤはみんな一緒だと思うんですけど、もうかなりきついなか、長時間走りましたね。ガソリンは大丈夫でした。今まではチームがオートポリスを苦手としていたみたいなんですけど、そのなかで、ちゃんと速さも見せることができたと思いますし、本当に一歩一歩前進しているとも思いますので、次の岡山も決して得意じゃない感じですが、それでも諦めずにちゃんと、いろいろやっていって、セッティングもドライビングも進化していけたら、必ずいい結果が出るんじゃないでしょうか」

「24時間で阪口(晴南)選手に乗ってもらって、そこでかなりクルマのセットも変わって、そこからレースラップも良くなっているので、そのあたりをもう少し突き詰めていければいいな、と思っています」

小林利徠斗選手

「大きなミスは特になく、スティントの中で多少、もうちょっと攻められたのかな、っていうところはありつつも、全体的に安定してラップ刻むことができたので、自分もクルマも、ちょっとずつ成長できているかなと思っています。もっと自信持って、次に臨めそうです」

嵯峨宏紀選手

「ひさびさのスタート担当でしたが、落ち着いてできたと思っています。もともとRC Fはフロントタイヤが大きいこともあって、ウォームアップしんどいから、スタートで行かれちゃうとは思っていて。目的は23号車に40秒差をつけて、ドライブスルーをした段階で前にいるというのが最低目標だったので、そこはクリアできたし、予定どおりではありました」

「ひさしぶりの優勝ですし、F3でもGTでも勝っているコースなので、僕自身は相性がいいんです。今回、永井選手がいないのが残念でしたが、代わりに鵜飼選手がすごくいい仕事してくれて、本当に感謝しています。このところ接触が続いて、あまりいい流れではなかったんですが、今回は車も綺麗なまま、この勝利をきっかけに、いい流れを作れればいいな、と思っています」

金曽裕人監督

「最初からセーフティプランと言って『絶対にぶつけないで』って。ここ3戦、接触によってレースを落としていたので、こういう時のレースこそ何かあるから、後ろとのギャップ詰められても『セーフティプランを徹底してください』とは言っていました。蒲生選手も少し余力あったので、後ろに詰められたように見えたかもしれませんが、あれは全然マージンありでした。今回はみんなで緻密に、緻密に作戦を考えて、でもSCが出て『あ〜あ優勝は消えた』ってなって、鵜飼選手にはしんどい思いをさせてしまいました。でも、みんなが徹底して守ってくれたのがセーフティプラン。それが今回の勝因です」

「いちばん苦手だったオートポリスで勝てたのは、我々にとって快挙! 我々のパフォーマンスとしては、ここで勝てるとは思っていなかったから、優勝は全員の力だし、いちばん大きかったのは24時間で晴南選手が乗ってくれて、セットアップに彼のいろんなアイディアを入れられたこと。影の功労者は晴南選手と、応援と勉強に駆けつけてくれた勝利の女神、(小山)美姫選手かな! もちろん鵜飼選手に感謝しています。それと永井選手のお父さんが、雲の上からいいエールを送ってくれたような気がするんですよ。次は永井選手とテッペン狙い、無論シリーズも応援下さる皆さまとご一緒に狙って行きます」

2025スーパー耐久第5戦オートポリス決勝日
2025スーパー耐久第5戦オートポリス 優勝を喜ぶDENSO LEXUS RC F GT3の嵯峨宏紀/鵜飼龍太/小林利徠斗/蒲生尚弥と小山美姫
新谷桐子さんと桐生もえこさん(apr Victoria)
2025スーパー耐久第5戦オートポリス apr Victoriaの新谷桐子さんと桐生もえこさん

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