チーム全体に衝撃が走った。レカロレーシングチームのチームマネージャーを務める前口氏は、「これまでに経験したことのない敗北と感じた」という。

 そして、ドライバー、スタッフも同じような思いを抱いていた。1秒以上というタイム差に、トップチームがレースに注ぎ込むとてつもないエネルギー量を感じずにはいられない。

 予選トップの宮田、そして2番手となった菅波冬悟はコースレコードを塗り替えていた。これまでの記録は、2019年に阪口良平がマークしたものだが、そのレースが5月開催だったことを考えると、うだるような暑さのなかで行われたアタックにおいてタイムが更新されたことは驚きでしかない。

 このカテゴリーのタイムアタックでは、ブレーキングポイント、リリースポイント、ステリングを切るタイミング、アクセルオンオフなど、繊細かつ大胆に、しかもごく小さなスイートスポットでコントロールすることが求められ、ほんの些細なミスさえしないことがトップタイムを出す必須条件となる。

 そのコントロールの確かさを少しでも上げるために、ドライバーのフィーリングに合わせたきめ細やかなセッティングを行う。つまり絶対値が決まっていて、引き算されるミスをいかに減らすかがポイントと考えていた。


 しかし、トップチームは違った。路気温や路面コンディションなどの外的要因をものともせず、コースレコードを上回ることを明確な目標に設定している。

 そのために何を足し算すればいいのか、ドライバーはドライビング技術を、メカニックはマシンを、ともにミスしない前提であらゆる可能性を考え入念に準備しているのである。

 初参戦となった小暮は、決勝で追い上げを見せたものの第1レース17位、第2レース18位という結果に終わった。これまで小暮が戦ってきたフォーミュラやスーパーGTのマシンとは異なり、市販車ベースのワンメイクレースには独特なマシンコントロールが求められ、この点においてドライバーの多くは想像を超えた高いレベルを極めている。

 そんなレースの初陣ということを考えれば、今後のさらなる活躍が期待できる内容である。「まだまだ発展途上にあるが、課題ややるべきことは見えてきた。戦える自信はある。今後も全力でレースに臨みたい」。小暮は力強く語った。

 前口氏は、「小暮選手のレースに向かう真摯な姿勢は、やはり国内モータースポーツの頂点を極めた実績と経験をもつ素晴らしいドライバーだと強く感じます。簡単ではありませんが、必ず小暮選手が良い結果を出せるようチームとして今後も全力でサポートしていきます」

「その一方で、チームが乗り越えなくてはならない壁の高さを実感したいま、よりよい結果を出すためにどうすればいいのかはまだつかめていません。それでも、この素晴らしいドライバーとスタッフとともに勝ちたいという気持ちは変わらず、まだまだ前を向いて戦っていきます」と話す。

 次回、十勝の戦いにどう挑むのか。レカロレーシングチームは模索し続ける。

* * * * * *

SUGOラウンドは1大会2戦のダブルヘッダーのレースフォーマットで行われ、予選のベストタイムで第1レース(第4戦)、セカンドベストタイムにより第2レース(第5戦)のグリッドを決める。このためセカンドベストの落ち幅をできるだけ抑える走りが求められ、さらにタイヤの本数は予選から2度の決勝まで1セットのみの使用と定められているから、それに配慮したタイヤマネジメントも必要になる。

そんな予選と決勝レースに向け、レカロレーシングチームは、各マシンともに通常のレースウイークより2セット多いタイヤを用意し、21日から直前のテストを行った。しかし、順調にスケジュールをこなしたにもかかわらず、予選結果は振るわなかった。それでも3人のドライバーは第1、第2レースとも果敢に追い上げ、第2レースでは佐々木がポイントを獲得している。

■RECARO RACING TEAM Rd.04 Race Result

No.906 RECARO 86 DL K 佐々木孝太
予選ベストタイム19番手 (1分40秒082)、セカンドタイム16番手 (1分40秒627)
第4戦決勝レース13位、第5戦決勝レース10位

No.909 RECARO BRZ DL T 小暮卓史
予選ベストタイム23番手 (1分41秒181)、セカンドタイム23番手 (1分41秒657)
第4戦決勝レース17位、第5戦決勝レース18位

No.988 RECARO BRZ BS T 井口卓人
予選ベストタイム15番手 (1分39秒931)、セカンドタイム18番手 (1分40秒745)
第4戦決勝レース12位、第5戦決勝レース12位

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