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2022年7月吉日
ENEOSスーパー耐久シリーズ 2022 Powered by Hankook 第3戦『SUGOスーパー耐久3時間レース』
7月9〜10日スポーツランドSUGO（宮城県）
予選：曇り時々雨／ ドライ&ウェット入場者数：2,900人
決勝：晴れ／ ドライ入場者数：4,600人
OHLINS Roadster NATS（マツダロードスターND5RC）
山野哲也／金井亮忠／野島俊哉
2勝目もポール・トゥ・ウィン！ 好燃費も活かしてライバルに大差をつける！
スーパー耐久シリーズで3シーズン目を迎えたiCraft（猪爪俊之：監督）は、引き続きST-5クラスにマツダロードスター『OHLINS Roadster NATS』で、日本自動車大学校（NATS）の支援を受けて参戦する。学生たちがマシンを製作し、メカニックを務めるのも従来どおりである。
開幕戦の鈴鹿では悲願の初優勝。さらに優勝を重ねること、そしてシリーズチャンピオン獲得を目指す。だが、前回の「富士24時間」は苦難の連続だった。予選は4番手だったものの、決勝ではわずか7周でトラブルを抱え、いきなり大きく順位を落としたばかりか、その後もトラブルが相次いだからだ。最終的に12位となり、得られたのは完走チームに対する1ポイントだけ……。
リタイアという選択肢もあった中で、誰も諦めず走り続けることを望んだ上での結果である。この1ポイントが、最後に重要な意味を持つことを期待したい。リベンジを賭けたシリーズ第3戦の舞台はスポーツランドSUGO。昨年は初めてポールポジションを奪い決勝でも2位となった極めて相性の良いサーキットである。なお、ウエイトハンデは前回に続き20kgだ。
公式予選
今回の走行は水曜日から開始された。山野曰く「全然問題ありません。むしろ、よりレーシングスピードで走り続けられるようになりました。少なくとも後遺症のようなものはまったく感じられません」と、いきなり好印象。木曜日までの2日間は、不安定な天候に翻弄され続けもしたが、ドライ、ウェット両方での走行も可能となって、セットの幅も広げられていった。
土曜日午前のフリー走行は、雨に見舞われたため、結果的にドライセットの最終確認となった金曜日の専有走行では、金井が1回目に1分40秒698を記してトップにも立っていた。午後からの予選は、始まりの頃は雨もすでにやんで路面も乾いていたが、いつまた降り始めてもおかしくない状況にはあった。
Aドライバー予選に臨んだ山野は少しも動じず、計測3周目からのアタックを完璧に決め、1分39秒469をマークしてトップに躍り出る。早めにピットに戻ってきた途端に雨は降り出したから、絶妙のタイミングであった。間もなくWET宣言も出され、ドライタイヤではまともに走れない状態にもなるのだが、Bドライバー予選までの、わずか10分間のインターバルでやんだばかりか、走行ライン上は水がほとんど捌けていた。
そこで金井は山野とは対照的に、早々に攻めていく。1分41秒台から周回ごとタイムを詰めていき、ずっとトップに立ったまま、計測4周目には1分39秒090をマーク。もちろん、合算タイムでもトップとあって、SUGOでは『OHLINS Roadster NATS』が2年連続でポールポジションを獲得することとなった。
山野哲也
「39秒台が出ると思っていなかったので満足です。今週末で、車のバランスを含めて、最もいい状況です。それはタイムで証明されています。いい車に仕上がってきたな、ということが分かった予選でした。決勝で目指しているのはまずメカニカル的にノートラブルであること。そしてこの3時間レースは燃費も大事です。燃費シミュレーションも木曜日、金曜日に実施してきたので、想定通りに行けば、嬉しい週末になると思います」
金井亮忠
「スタートしてすぐに雨が降り出したので強く降ってきたらアウトだと思い、1周目からペースを上げていきました。他車に引っかかったり、うまくアタックできなかった周もありましたが、最後には実力を発揮できたと思います。車もリフレッシュされて動きもすごく良いので、決勝でもこの好調さを維持してベストを尽くしていきたいと思います」
決勝レース
今年初めて2グループに分けられて、3時間で競われる決勝レースが行われるため、ST-5クラスが属するグループ2は、早朝8時から決勝レースのスタート進行を開始。さっそく10分間のウォームアップが行われた。スタートを担当する金井が、まずステアリングを握って最終チェックを実施。1分40秒239を記録して、手応えありが確認された後、野島、山野に交代、1周ずつ走るという念の入れようを見せてもいた。
前日までとは打って変わって、降雨の気配はまったくないばかりか、上空には夏の雲も。もはや暑い戦いは免れそうもなかった。好スタートを切った『OHLINS Roadster NATS』は1コーナーにトップで飛び込むも、その直後に白煙を猛烈に上げた車両が。エンジンブローでオイルが撒かれたため、すぐFCY（フルコースイエロー）となり、間もなくセーフティカー（SC）ランへと切り替えられる。
再開には約20分を要するもリスタート後も金井は快調。やがて、16周目に他車に先行を許すが、しっかり視界に収めた距離で周回を重ねていく。そのトップ車両は1時間半を経過したところでピットに入るが、その際に入口のホワイトラインをカットしていたことが後に明らかに。ドライビングスルーペナルティを課せられ、再び金井はトップに立つ。そのまま1時間48分も走り続け、好燃費もアピールした。
59周目の野島との交代時には、左側のタイヤ2本も交換。トップのままコースに戻った野島も、実にコンスタントな走りを見せて、渡された約30秒のリードをさらに広げていく。そしてゴールまで30分を切った、85周目からは山野の番。大事をとって、右側のタイヤ2本を交換する。その時すでにリードは1分以上に広がっていた。
『OHLINS Roadster NATS』はただ一台、101周を走破する圧勝に。開幕戦に続く2勝目をマークして、前回のリベンジも果たし、ランキングは4位のままではあるが、上位との差も一気に詰められた。シリーズ第4戦はオートポリスで開催されるが、ST-5クラスは欠場のレースになる。そのため、次なる戦いは9月3〜4日に行われるシリーズ第5戦、モビリティリゾートもてぎで繰り広げられる予定だ。ほぼ2か月空く格好とはなるが、この間またマシンは鍛えられて、より強さを増しているはず。『OHLINS Roadster NATS』の活躍を、引き続きご期待いただきたい。
山野哲也
「やりました！ 富士の雪辱を果たしました。シーズン後半に向けバリエーションを広くしたかったので、今回はいつもと違う作戦。SUGOは重量が効くサーキットなので、重量負荷を考えていちばん重い山野哲也を最後に持ってきました。燃費と順位、そしてマシンの疲労で困った時は、山野で全調整するという段取りでした。今回、特に燃費走行に関してはこだわりました」
「トラック上のシフトポイント、ブレーキングポイント、コースティングポイントなどを3人のドライバーで共有し、ラップタイムや順位よりも燃費優先にすることに徹しました。いいクルマをつくり、いいドライビングをし、いい作業をし、いいチーム戦略で臨む。計画通りに実践でき、最高の週末となりました。サクセスウェイトは増加しますが、今回の増強したチーム力を大切にシリーズ後半を戦っていきます」
金井亮忠
「決勝は1周目から燃費走行をしました。恐らく相手は全開走行だったのでペース的に厳しく途中からは2番手に後退しましたが、これも作戦の内でした。僕らはひたすら決めた燃費で走り続け、結果ぶっちぎりで勝てたって感じですね。チームとしては完璧なレースができたと思います。最高の車に仕上げてくれた学生たちに感謝です！」
野島俊哉
「長く走りましたが、最初の金井先生に比べれば。思ったより速さも燃費も、車の出来が良かったので、余裕を持って走れました。本当にもう、車の安定感、グリップ感が常にあって、安心して走れました。この勝利はかなり自信になりますね、鈴鹿の時以上に！ あの時の反省を活かして、自分の中で改善もできましたし。それにしてもポール・トゥ・ウィン2回目っていうのは、嬉しいですね。メカニックにも、先輩ふたりにも感謝したいです」
猪爪俊之監督
「今回は完璧に勝てました！ 前回の鈴鹿はライバルのマシントラブルに助けられた感もあったから、すっきりしなかったけど今回は圧勝でした。しかも山野哲也選手を28分しか使わないなんて、すごい贅沢ですね！ 戦略面での監督からの指示は無しで、ドライバー3人で自分たちが決めた作戦での圧勝なので素晴らしい結果です。次戦はサクセスウエイトが更に増えるので厳しい戦いになることが予想されますが、NATS学生達とも打合せして完璧な車に仕上げたいと思います」
