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投稿日: 2022.12.01 10:49

iCraft 2022スーパー耐久第7戦鈴鹿 レースレポート

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国内レース他 | iCraft 2022スーパー耐久第7戦鈴鹿 レースレポート

MEDIA IMFOMATION
2022年11月吉日

iCraftレースレポート
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第7戦『SUZUKAS耐』
11月26〜27日鈴鹿サーキット(三重県)
予選:11/26入場者数:2200人
決勝:11/27入場者数:5500人
OHLINS Roadster NATS(マツダロードスターND5RC)
山野哲也/金井亮忠/野島俊哉

王手をかけて臨んだはずの最終戦、60kgのハンデに苦しみ、最後は無念のリタイア

 スーパー耐久シリーズで3シーズン目を迎えたiCraft(猪爪俊之:監督)は、引き続きST-5クラスにマツダロードスター「OHLINS Roadser NATS」で、日本自動車大学校(NATS)の支援を受けて参戦する。学生たちがマシンを製作し、メカニックを務めるのも従来どおりである。ドライバーには新たに山野哲也をレギュラーとして起用し、NATS講師も務める金井亮忠とのWエース体制を構築。鈴鹿サーキットが舞台の今季最終戦も、2021年ロードスターパティレースIII北日本シリーズチャンピオンの野島俊哉を加えた、3人体制での参戦となる。

 前回の岡山では、55kgまで達したウェイトハンデを抱えながら決勝では2位を獲得。その結果、ランキングではついにトップ浮上!2位にさえ8.5ポイントの差をつけているだけに、形勢は大幅に有利なはず。問題は60kgまで達したウェイトハンデながら、チャンピオン獲得の権利を残す、ライバル5チームも軽くない。やはり鈴鹿サーキットで開催された開幕戦では優勝を飾っているだけに、ミスなく、トラブルなく戦えば、きっと望んだ結果を得られるはずだ。

公式予選

 チャンピオンに王手をかけて臨んだ最終戦ながら、木曜日から開始された練習走行で、重大な事実が明らかになる。ウェイトハンデが55kgでも岡山ではおよそ1.5秒のビハインドだったが鈴鹿ではたった5kgの増加が重くのしかかってきたのだ。「重いです。普通に走って3秒ぐらい遅いんじゃないでしょうか」と金井は嘆く。中低速コーナー主体でアベレージも低い岡山とは、鈴鹿は対照的な性格を持つがゆえだろう。タイム計測が行われた金曜日の専有走行1回目では、山野が2分33秒587を記録し、7番手につけるもトップからはほぼ3秒遅れ。2回目は全クラス混走だったこともあり、全体的にタイムが落ちたとはいえ、野島が2分35秒666を記録するに留まり、3秒の壁が崩せずにいた。

 土曜日の早朝に設けられたフリー走行では、山野が2分33秒831を出し、トップとの差を1秒4ほどに詰めたのは、果たして福音となるや否や。かくして行われたAドライバー予選ながら、思いがけぬトラップに捕われてしまう。1コーナー寄りのピットだったこともあり、山野は先頭を切って走行を開始。しばらく前に誰もいない状態で、しっかりウォームアップもでき、「さぁ、これからだ」というタイミングで、ヘアピン手前で停止した車両があり、赤旗が出されてしまったのだ。あと数秒後だったら……。結局、誰も計測されなかった。程よく熱を入れたタイヤが冷めてしまい、再開後のワンアタックで2分33秒176を記した山野ではあったが、トップから2秒遅れの10番手に甘んじてしまう。

 続いてBドライバー予選に臨んだ金井は、計測2周目からのアタックで2分32秒283をマーク、これまたワンアタックで終了する。もちろん、レースウィークのチームベストであるが7番手。そして合算タイムにおいて『OHLINS Roadster NATS』は9番手となった。

山野哲也
「セッティング面では未知のチャレンジをしました。赤旗でタイヤの美味しい時期を逃したかもしれませんがそれはみな同じ。トップの2秒落ちに納められたのは、不幸中の幸いだったかなと思います。ウェイトハンデ60kg分のパフォーマンスダウンに関してはレギュレーション変更を強く望みます。決勝では燃費をしっかりキープしながら淡々と走ってピットワークで時間を取り戻すという戦略を考えていますが相当厳しくなるでしょう」

金井亮忠
「フリー走行から色々なセッティング変更を行い予選では山野選手と違うセットで走りましたが、重量が重い中で自分なりには満足のいく走りができました。決勝は周りがあることなのでどうなるかは分かりませんが、僕らはいつも通りベストを尽くしたいと思います。そうすれば、きっと良い結果が待っているはずです。チーム力はどんどん高くなっているので、最後のレースも全力で行きます!」

2022スーパー耐久第7戦鈴鹿 OHLINS Roadster NATS
2022スーパー耐久第7戦鈴鹿 OHLINS Roadster NATS

決勝レース

 今回の決勝レースは、久々の全9クラス混走で、5時間で競われる。ドライバー交代を伴うピットストップは3回義務づけられている。もちろんレース中には20lしか給油できないST-5クラスだけにピット回数は5回。しかし、ディーゼルエンジンを積むライバルは、4回とも。

 終日曇りだった土曜日とは異なり、日曜日の鈴鹿は青空に覆われた。56台が並んだグリッドは壮観ながら、『OHLINS Roadster NATS』が停め置かれたのは最終コーナー付近で、先頭ははるか彼方。ここから長い戦いに挑んでいく。今回もスタートを担当するのは金井。10時45分に熱戦の火蓋が切られた。1周目からFCY(フルコースイエロー)が提示される、波乱の幕開けの中、金井は10番手で戻ってくる。完走第一、そして燃費走行を心がけているからだが、その後はポイント圏外を走らざるを得ず。スタートから間もなく1時間を経過しようというタイミングで、2回目のFCYが提示された後、セーフティカー(SC)の先導に切り替わる。早くもピットに入れて給油だけを行うチームもあったことから、一時的に4番手に上がる。そして、スタートからほぼ1時間半経過したタイミングで、2回目のSCランが行われたことから、26周目に山野に交代。少なからずロスを留めたことで、山野は10番手でコースに復帰する。

 ところが、それからわずか6周後、『OHLINS Roadster NATS』がスローダウン! なんとかピットに戻ると、明らかになったのはウォーターポンプのベルトの脱落。修復されて戦列に復帰できたものの、トップから3周遅れとなっており、勝負権は完全に失われた。

 だが、これだけ波乱続きのレースである。何が起こるか分からない。残り2時間を切った56周目に、山野から野島にバトンタッチ。野島は2スティント連続で走行、72周目に再びコースインした。それから10周も経たず、ピットには野島から悲痛な無線が入る。まさかの2度目のベルト脱落。野島はチームからの指示でコース脇にマシンを止め、無念のリタイアとなった。

 チャンピオンの期待がかかっていただけに、最悪の結果となったが、すでにチームが現体制での継続参戦を発表している。来たるシーズンのリベンジが期待される。

2022スーパー耐久第7戦鈴鹿 OHLINS Roadster NATS
2022スーパー耐久第7戦鈴鹿 OHLINS Roadster NATS

山野哲也
「仕方ないですね。S耐のプロモーターも初めての試みだったでしょうから、ST-5クラスに60kgというのが、レースにならないということを分かってもらえたと思います。でも、このチームはものすごい筋肉質になりました。1年間でこんなに強くなったチームは他にはないでしょうし、いい意味で最高のトレーニングの年になったと思っています。来季に向けて希望の光が見えています。リベンジを期待してください」

金井亮忠
「今回もスタートドライバーを担当させていただきましたが、燃費走行の中でもある程度のペースは維持できていたし車も良かったのでとても残念です。新品の部品も付け万全な体制で臨んでいましたが、こういうこともあるんですね。学生たちは4月の進級時から本当に成長してくれて、もうここ2戦ぐらいは学校でのメンテナンスもサーキットでもすべて任せ、自分たちで動けるようになりました。すべてにおいて期待以上の成長を見せてくれましたし、チームとしても強くなれたと思います。最後は残念な結果でしたが、来年は絶対にチャンピオンを獲れると確信しています」

野島俊哉
「この結果は、かなり悔しいです。今、オーバーヒートした原因が僕の中では完璧に把握できていないので、それも把握しつつ、来シーズンも同じ体制で継続させてもらえるので、今シーズンの振り返りをしながら、次のシーズンにつなげていきたいと思っています。僕の前のスティントでウォーターポンプのベルトが飛んでいて、2度目のベルト脱落がヘアピン立ち上がりで起こり、液体も漏れているか分からないので、無線で「安全なところで止めちゃって」という指示もあったため、リタイアという形になりました。この悔しさをバネに、チャンピオンになりたい。もう次を見据えています」

猪爪俊之監督
「150馬力程度のロードスターにウエイトハンデ60kg積んで鈴鹿でレースなんてできないって週末のテストを通して分かっていたので、ライバルの脱落を待つ作戦しかありませんでした。結果的にはウチがリタイヤになり脱落しましたけど。500馬力の車に90Kgとかとは訳が違うんです。来年、レギュレーション変わってくれないと、誰かが同じ目にあうし、ましてや車も壊れちゃうから危ないですね。でもドライバーも学生達もチーム全員1ミリも諦めて居なかったので、来年同じチーム体制で必ずリベンジします」


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