ST-5クラスにおける最大の話題は、マツダ・ロードスターが昨シーズンの村上モータースの健闘により、4台に増加したことだろう。
このクラス初のFR車両は、何よりフットワークに優れ、特に高速コーナーでライバル車両を凌駕する。増えた1台のうち、LOVE DRIVE RACINGは女性ドライバー3人で挑むのも注目すべきポイント。井原慶子の指導の下、ロードスターパーティレースIIIで活躍していた岩岡万梨恵と北原絵奈美、小松寛子の3人がスーパー耐久でどんな活躍を見せるのだろうか。
新興勢力を迎え撃つのは、シリーズ3連覇中のJ’S RACING。梅本純一と大野尊久を軸に重ねて来た快進撃を止めるわけにはいかない。熟成の進んだホンダFIT3で、今シーズンを集大成の年とすべく、全力で構えるに違いない。
ST-5クラスは他にもマツダ・デミオ・ディーゼルターボ、マツダ・デミオMB、そしてトヨタ・ヴィッツと、車種のバラエティに富むようになってきた。コンディションやコースによって、どの車両が勝つか分からない。もてぎ戦でどの車両がマッチするのか、コンパクトカー対決にも注目だ。
日曜にはST-X/ST-3/ST-4クラスによって争われる、レース2が開催される。3クラスすべて激戦区として知られるだけに、いずれも熱い戦いが繰り広げられることだろう。
FIA-GT3によるST-Xクラスには、8台がエントリー。ニッサンGT-Rが3台、フェラーリ488 GT3が2台、新旧ポルシェ911GT3Rが1台ずつ、そしてメルセデスSLSが1台。Aドライバーをジェントルマンドライバーとして指名し、B/Cドライバーがサポートするというクラスだが、その大半がスーパーGTにも出場しているのが注目すべきポイント。そのラインアップを眺めるだけで、激しいバトルが繰り広げられようことが容易に想像できる。

2連覇を目論むKONDO RACINGはGT-Rで、内田雄大と藤井誠暢、そして平峰一貴という不動の体制で挑む。それが近藤真彦監督の「変える必要がない」という判断によるのは間違いない。
一方、同じGT-Rを走らせ、ランキング2位だったENDLESS SPORTSは体制に激変が。長年にわたりチームのエースを務めてきた峰尾恭輔が監督に就任。YUKE TANIGUCHIを山内英輝と元嶋佑弥、ふたりの若手でバックアップすることとなった。この変化が、どんな影響をもたらのだろうか。
3月に行われた公式テストをKONDO RACINGは欠場したが、ENDLESS SPORTSを終盤になって逆転し、トップタイムを記したのがARN RACINGだった。公式テストが実質のシェイクダウンだったにもかかわらず、ノートラブルで終日過ごした永井宏明と佐々木孝太のコンビ、そして488GT3のポテンシャルは高いだろう。

さらにST-1クラスからステップアップのD’station Racingは新型のポルシェ911GT3Rを導入。昨シーズンに引き続き、星野敏がAドライバーを務め、荒聖治と共に、ポルシェ・カレラカップ・ジャパン王者の近藤翼が加わりバックアップする。
この開幕戦で先制パンチを決められたチームが、よりシーズンを優位に進めていくのは間違いないだろう。
ST-3クラスにも、大物ドライバーが集結した。特に話題を一手に集めているのが、本山哲をオーナーとするTeam Motoyamaのフル参戦決定だ。もちろん、本山自身もステアリングを握り、安田裕信と昨シーズンの86/BRZレースクラブマンチャンピオン、松原怜史とともにTECHNO FIRSTメンテナンスのニッサン・フェアレディZを走らせる。
同じくZでは、OKABE JIDOSHA motorsportから田中哲也が参戦。スーパー耐久でははるかに先輩とあって、新参チームにたやすく前を走ることを許さないだろう。
