というのも、パーマーはスタートできなかったイギリスGPを含めると合計5レースでチェッカーフラッグを受けずにレースを終えていたからだ。しかも、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグは、パーマーがピットインした直後にDRSのトラブルでリタイアしていた。そんな中で最後のレースになるかもしれない日本GPを完走で締めくくったパーマーの顔は晴れ晴れとしていた。
じつは、この日本GPに、毎年ルノーをサポートしている日本人スタッフの藤井照久さんが、ある縁起物を持ち込んでいた。それはルノーのカラーリングを施したダルマ。ただのダルマのように見えるが、じつはこれ100%カーボン製。藤井さんの知り合いのカーボン部品加工会社の『マドネス』が製作したものだった。
レース中、このダルマはガレージの中でパーマーの走りを見守っていた。筆者はレース後、パーマーにこのダルマの由来を説明し、目を入れてもらった。多くのドライバーがさよならを言うこともできなかったり、最後のレースを完走できないで去っていく中、関係者たちにあいさつし、完走で締めくくったパーマー。それはまさに『一走入魂』の素晴らしい走りだった。
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