現在のシャシーの開発は、フェラーリほどのリソースを持ったチームにしては惨憺たるもので、主要なアップデートパーツの投入ペースは確実に落ちてきている。さらにフェラーリが空力面で改善すべき箇所は、まったく同じではないものの、開幕戦のときとほぼ変わっていない。

 低ダウンフォースで走ればタイヤがスライドし、その揚句オーバーヒートするが、前後のウイングでダウンフォースを過剰につけ走れば、ドラッグがパワーを殺して最高速を削ってしまう。このように、ダウンフォースの欠如は空力の効率性がもてあそばれることを意味しているのである。

 空力テストのリソースが制限されていても、なぜフェラーリがこれだけのスタッフと資金がありながら、開発リソースでこの程度の結果しか出せないのか説明するのは難しい。

 タイヤに関連した問題かもしれないが、このマシンはトラクションにも苦しんでいる。しかし、元をたどれば諸問題はダウンフォースやサスペンション、パワーユニット、レースエンジニアリング、もしくはその全ての組み合わせに起因する。

 2014年型から大きく改善したフェラーリ製パワーユニットは、メルセデスのそれに匹敵するレベルのパワーとエネルギー回生性能を兼ね備えている。サプライヤーであるマーレ社のリーンバーン技術により、フェラーリの燃費は出力の割にかなり改善されているように見受けられる。しかし、メルセデスはマーレとフェラーリのジェットイグニッション技術とは異なった燃焼技術を駆使して、あれだけの高パフォーマンスを見せている。

 もしかしたら、このジェットイグニッション技術によって、メルセデスは予選でのパワーアップが可能で、Q3で数10分の1秒を稼ぎ出しているのかもしれない。フェラーリの燃焼技術では、空燃比の高い予選時にはフルブーストできていないように見える。タイヤの暖まりの問題とギヤボックスペナルティも相まって、予選でのグリッド順位は妥協を余儀なくされている。

 グリッドの後方に沈んでいることは、一貫性のある速いスタートダッシュ、卓越したタイヤマネジメント能力といったフェラーリの長所を相殺している。今やレッドブルはフェラーリとメルセデスの間に割って入るようになり、レースでフェラーリは苦難を強いられている。

 3つのトークンのほとんどがターボとMGU-H、それにカムプロフィールに使われたため、フェラーリの2016年のエンジン開発はほぼ終わりを迎えている。残る3つのトークンは燃焼系のアップグレードに用いられるであろうが、これは予選のブースト向上に寄与するほどのものではないであろう。
(第3回へ続く)

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