F1での長いキャリアを経て、今は現場から離れた生活を送っているが、豊富な情報源を持つニック・リチャーズ氏のコラム。裏情報を知る彼が、F1の政治問題をテーマに、独自のシニカルな視点で時事に切り込む。
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おそらく皆さんは、私のような年寄りの場合、「昔は良かった」と懐かしい過去を振り返り、「今よりあのころの方がよかった」と言うのがお決まりのパターンだと考えていることだろう。
それは否定できない。ただ、私の場合、ニュアンスが少し違っている。自分がF1の仕事を始めた時代の何が良かったか、と聞かれると「自分がまだ23歳だったことだ。いまや年寄りだからね」と答えるのだ。
F1自体について言えば、もちろん世界が変わり、時代に取り残されないために、F1も変わった。
年寄りには時間がたっぷりあるから、いろいろなものを読むようになるし、聞いたこと、見たことを深く理解しようとする。最近、我々の愛するスポーツを統括する組織の内部で起きた出来事から、私は『長いナイフの夜』という歴史的事件を連想した。ここでは詳しく述べないが、あの恐ろしい粛清事件だ。
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