実は今回のテスト現場では、レッドブルもトロロッソも初日から何だかやけに雰囲気が明るいのである。田辺テクニカルディレクターもそれは感じているという。3日目からテスト現場に合流した山本雅史モータースポーツ部長も、「クリスチャン(ホーナー代表)に会ったら、いきなり満面の笑みで肩を抱かれて驚いた」と言っていた。
ヘルムート・マルコ博士も同様で、二人が並んで歩いているところに僕がすれ違った時も、揃って終始ニコニコしながら何かの話に興じていた。トスト代表に山本部長が会った時も、実に明るかったそうだ。ガレージ内のスタッフも、概ねそんな感じを受けたと、田辺テクニカルディレクターは言っていた。
それは、どこから来るものなのか。両チームともに、初日から順調に周回を重ねていることは、もちろんあるだろう。2日目にはマシン限界を探ろうとした(ピエール)ガスリーがクラッシュを喫したが、新車テストではありうることだ。唯一、リアからバリアに突っ込んだことでパワーユニットが損傷し交換を余儀なくされたことだけが、まあ想定外の事態といえた。しかしそれ以外は、両チームともにほぼ順調である。だが彼らの上機嫌は、おそらくそれだけでは説明できない。
ここからは推測でしかないが、たとえばレッドブルはこの5年間、本来ならパートナーとして協力し合う関係であるべきルノーと、ずっともめ続けていた。それがあまりに長期にわたったことで、現場はすっかり疲れてしまっていたのではないか。それがホンダとはかなり早い段階から友好的な関係を結べた。単純に、ホッとしているはずである。
さらに両チームに共通するのは、新車に対するポジティブな手応えであろう。テストでは何もわからない、というのはよく言われることである。確かにライバルチームとの相対的な差は、開幕するまでは本当のところはわからない。しかし自分たちの新車の、たとえば素性が良いか悪いかは、走らせてすぐの時点でわかってしまうはずだ。
テスト3日目を終えて上機嫌が続くレッドブルとトロロッソは、かなりの手応えを感じているということではないだろうか。

