――後半50周を過ぎたあたりで、「フェイル3にしろ」という指示をフェルスタッペンに無線で出しましたが、何があったのでしょうか。
田辺TD:センサーが壊れてしまいました。そのため、一瞬パワーユニットを守ろうとして、パワーが落ちたのですが、PU自体に問題がないことが確認できたので、それをデフォルト(初期)の設定にするよう指示してからはパワーはすぐに戻りました。そのときは、ドキッとしました。
――ボッタスを抜いた後、「エンジンモード11にしろ」という指示もありました。
田辺TD:パフォーマンスを上げるモードを伝えました。元々このグランプリはチームのホームレースということもあり、行けるところまでエンジンを使おうとチームと合意していたので、レース中にエンジンの状況を確認したうえで『まだ行ける』と伝えました。
ルクレールとの差が4秒を切ったあたりからは、もう行くしかないと。あれだけ前車に接近すると冷却的に厳しいのですが、今日のマックス選手は後ろについたら、すぐに抜いていたことも冷却に苦しまなかった要因になっていたのかもしれません。

※田辺豊治F1テクニカルディレクター優勝インタビュー(2)に続く