山本尚貴:はい、それは揺るがない、そう思ったらレーシングドライバーを辞める時だと思います。ただ、それはいつか来るとは思います、勝ちたいという思いは持っていても、年齢だったり、何かに言い訳をするようになったら、モチベーションを保てなくなると思うんです。その時が潮時だと思います。
でも、今の自分は全くそうは思わないし、逆に今が一番良い状態にあると思っています。そういう環境に自分がいる事に感謝したいですね。
熱田:ピエールと一緒の時にズタボロだったという話があったんですが、そのピエールが今、F1の世界で上手くいってません。同じマシンに乗るマックスは最高の成績を出している。他にも世界中から天才たちが集まっています。この世界に打って出たいという、その心境はどうですか?
山本尚貴:やってみないと分からないですけれど、踏み入れないと先は分からないし、踏み入れたものにしか分からない。じゃあ、そのチャンスが誰にでもあるかというと、それはないじゃないですか。だからこそ、挑戦したいと純粋に思いますね。
実際に(スーパーフォーミュラで)ピエールに負けたというのは事実だし、ピエールの方が強かったというのも事実なのでそれを覆そうとも思わないです。だからこそ、唯一出来るのは同じ舞台に立って、もう一度やり合えるように自分を置く事でリベンジしたいですね。
でも、今年のピエールのシーズンの流れを見ていると、自分が味わったことのあるような境遇にあるように見えてしまいますね、ピエールが遅いなんて僕は思っていないですし、才能があるドライバーなので、彼がもがいている心境は同じドライバーなのでよくわかるんです。
ダメな時というのはダメなスパイラルに入ってしまう。そこをどうやって抜けるか、突き抜けて前に進めるかというのは、その人自身の努力しかない。一緒に仕事をした仲間だからこそ、なんとか耐え抜いて頑張って欲しいなと、応援したくなるというのが個人的な思いです。