2021年F1第7戦フランスGP、第8戦シュタイアーマルクGP、第9戦オーストリアGPの3連戦で各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察、印象に残った点について解説する。今回は、オーストリアにレッドブルが持ち込んだ新しいデフレクター、フロントウイングを取り上げる。
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レッドブルのマシンパッケージが今季最強であることは、誰の目にも明らかだ。にもかかわらず彼らはRB16Bへの改良を止める気はないようだ。レッドブルリンク2連戦の初戦シュタイアーマルクGPで新たなディフューザーを投入した翌週のオーストリアGPには、車体両脇に大幅な変更が加えられた。
このブラインドカーテン状のデフレクターは、前方から車体両脇に沿って流れてきた気流を外側に逃す役目を果たす空力パーツだ。
今回の改良では、下方にあるデフレクターが延長された(黄色矢印参照)。そしてこれまで2枚だったのが、3枚構成になっている(赤矢印参照)。さらに後方の3枚目のデフレクターもやや長くなった(青矢印参照)。
■フェルスタッペンが称賛した改良ウイング
オーストリアGPでは、マックス・フェルスタッペン車のフロントウイングにもアップデートが施された。第5戦モナコGPからの5戦で3回目という、信じられないほどの頻度だ。それが功を奏したか、フェルスタッペンのポールタイムはさらに短縮され、レース中に担当エンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼが「マシンバランスはどうだ」と聞いてきた際には「この新しいウイングはすごくいい」と、改良ウイングの良さを称賛していた。
チームメイトのセルジオ・ペレスは、フロントウイングは旧型のままだったが、前戦にフェルスタッペン車に投入された新型ディフューザーは装着されていた。
いずれにしてもシーズン中の開発スピードにおいても、メルセデスが遅れを取っていることは明らかだ。トト・ウォルフ代表は今週末イギリスGPでのアップデートが、今季最後のものだと言明している。今後のW12の改良は、CFDだけを使用した小規模なものになるということだ。風洞による開発は、すでに100%来季型マシンに向けられている。