☆ピットワーク:ドイツGPにおけるメルセデス

奇妙な時がピットで流れた。ドイツGPの44周目、ロズベルグがフェルスタッペンとの絡み合いで5秒タイムペナルティを科せられピットイン。静止したまま4、5、6、7秒……。いつまでたってもそのまま、何が起きているのか一瞬判断できなかった。
なんと、無敵のチャンピオンチームは5秒ストップをちゃんと測れなかった(!)。結局ロスタイム約12秒、ストップウォッチひとつあればできることができないとは。以前、ジャン・トッド監督がフェラーリを率いていたころ、常に胸にはストップウォッチを下げていた。コンピュータ・タイミング時代なのにピットにいる間はいつもそう、その姿を見て「やはりラリーのナビゲーター出身者は違う」と思った。
自分も以前コースサイドで“定点観測”するときは必ずストップウォッチを持ち、目視でコーナー通過タイムを計測していた。そんなことを思い出させるあのメルセデスの、珍プレー的なピットワークであった。
☆タイヤ:ピレリの技術力

はっきり言うと、あのブラジルGP程度の雨でアクアプレーン現象から何台もスピンするのに驚いた。ウェット・タイヤはグリップがなく、インターミディエイトは排水性が不十分。大事故が発生せずに済んだのは“警鐘”と受けとめるべきだろう。
ドライタイヤも作動温度領域が狭く、摩耗した破片ゴムが飛び散り、ダウンフォースが乏しいマシンは使いこなせないのが実情だ。速さが急に落ち込み、長持ちしないからいままでなかった戦術“アンダーカット”が、11年からしきりに言われるようになった。24日間、1万2000Kmテストした17年タイヤ開発の成果を大いに期待しよう。ドライバーとマシンが競い合うF1を支えるのはタイヤにほかならないのだから。
PS:ご愛読に感謝、よいお年をお迎えください。 今宮 純
