約45年間にわたってF1ジャーナリストを務めるベテラン、ナイジェル・ルーバック氏が、今年F1に本格デビューを果たすストフェル・バンドーンのインタビューを行った。バンドーンは、1シーズン参戦した日本のスーパーフォーミュラのこと、これからマクラーレン・ホンダで迎えるF1新シーズンへの準備状況などについて語った。

 バンドーンは2016年バーレーンGPで、けがのため欠場を強いられたフェルナンド・アロンソの代役として、F1デビューを果たした。

 デビュー戦でバンドーンは、予選でチームメイトのジェンソン・バトンよりいいタイムを記録し、決勝ではポイントフィニッシュを達成するなど印象的な結果を残し、マックス・フェルスタッペンやカルロス・サインツJr.と並んで新世代のスーパースターになるものとみなされるようになった。

 バンドーンの母国ベルギーは、モータースポーツ史上最も偉大なスポーツカードライバーのひとり、オリビエ・ジャンドビアンを輩出しているものの、F1で優勝経験のあるドライバーは、ジャッキー・イクスやティエリー・ブーツェンのみだ。しかしバンドーンは確実にこのリストに加わることになるだろう。

■日本の“昔ながらの”サーキットが大好きだった

 バンドーンは、フォーミュラ・ルノー2.0と3.5に参戦した後、2015年にGP2でタイトルを獲得した。また、2013年からマクラーレンの若手ドライバー育成プログラムに加わり、2016年にはマクラーレン・ホンダのリザーブドライバーを務める一方で、スーパーフォーミュラに参戦し、自己研鑽に励んだ。

「(スーパーフォーミュラは)選べる選択肢のなかでベストだと思った」とバンドーンは流暢な英語でインタビューに答えた。

「(スーパーフォーミュラの)マシンはすごくよかったね。ホンダのエンジンを使ったことは、彼らとの関係を築き上げるのに役立った。(移動による)時差ぼけには苦労したけど、日本は楽しかった。日本のコースが本当に大好きだったよ。ランオフエリアがない、昔ながらのサーキットなんだ」

2016年スーパーフォーミュラ ストフェル・バンドーン
2016年スーパーフォーミュラ ストフェル・バンドーン

 これこそ、モータースポーツにおける永遠のパラドックスだ。安全が最優先され、“ハロ”の導入が真剣に議論される、今の世界では、伝統的サーキットへの回帰は決して議論の対象にはならないだろう。

「(昔ながらのサーキットで走るのは)チャレンジだよね」とバンドーンは言う。
「たとえば、今のサーキットなら、何かが起きても、ちょっと修正したり、広いランオフエリアを使えばいいから、初めてのサーキットに行って、1周目から好きなように攻めることができる。でも昔ながらのサーキットではそうはいかない。徐々に築き上げていかなければならないんだ」

「たとえばスポーツランドSUGOは素晴らしいサーキットだ。最終コーナーはほぼ180度で、240km/hに達する。中央には大きなバンプがあって、ランオフエリアは(感覚的に)1メートルほどの芝生だけ、その向こうは壁なんだ」

「ああいうコースでいいラップを走れれば、真の達成感を得られる。だけど日本のほとんどのコースで、F1のレースはできないだろうね」

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