■評価 7/10:善戦続ける角田に残酷な展開
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選8番手/決勝5位
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選13番手/決勝10位
角田裕毅(アルファタウリ):予選16番手/決勝11位
周冠宇(アルファロメオ):予選12番手/決勝13位
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選10番手/決勝9位
7度のワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトン(メルセデス)が、予選でマシンバランスにこれほど苦労する姿を見るのは珍しい。セクター1でプッシュすることができず、8番手に終わったのだ。決勝は大多数のマシンとは逆の戦略を採り、ハードタイヤでスタート。序盤は防御に徹するしかなかったが、セーフティカー出動中にピットストップを行ったことで、オコンとルクレールの前に出ることができた。
予定より20周早くミディアムタイヤを履くことになったが、前を行くラッセルよりペースはよかった。しかしメルセデスはハミルトンを前に出すというチームオーダーを発令せず、ハミルトンはタイヤをセーブしつつ5位でフィニッシュ。レースペースは予選ペースよりはるかに優れていただけに、満足できない結果だ。

ケビン・マグヌッセン(ハース)は、予選でテクニカルトラブルに見舞われ、力を発揮しきれなかったものの、いつもどおりの闘志を示し、決勝を戦った。角田裕毅へのオーバーテイクの試みは、なかなかうまくいかなかったが、残り4周で成功。ハースにとってシーズン初ポイントにあたる貴重な1点を稼いだ。
週末を通して素晴らしい仕事をしてきた角田裕毅(アルファタウリ)にとって、レース終了間際になって10位を失うというのは、残酷な展開だった。FP3でチームがソフトタイヤを使わないという選択をしたことで、Q1で適応するのに少し時間を要し、その結果、Q2に進むことができなかった。決勝スタートで順位を上げた後、タイヤをうまく持たせて走り、セーフティカー出動時に真っ先にピットイン。それが大きなアドバンテージになり、8番手に上がった。アルピーヌ勢を抑え続けられなかったのは仕方がないことであり、速さで勝るハースに乗るマグヌッセンを約20周にわたって抑え続けたのは見事だった。それだけに、再び11位フィニッシュという結果に終わったのは残念だった。

周冠宇(アルファロメオ)は今回、チームメイトよりも速さがあり、予選12番手を獲得、ルクレールのペナルティで11番グリッドを手に入れた。決勝1周目にオスカー・ピアストリとヒュルケンベルグをパスしたものの、グリップ不足に苦しんだ。ハードタイヤよりミディアムタイヤの方がうまく機能するのではないかと2回ストップを試みた結果、13位どまりとなった。
移籍2戦目のピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、今回も予選でオコンにかなわなかったが、少なくともトップ10に入った。決勝リスタートで、チームメイトに対し、勇敢でありながらクリーンな動きでオーバーテイクを試みた後、9位を維持し、チームに貴重なポイントをもたらした。

■評価 6/10:予選で才能を示したピアストリ
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選5番手/決勝6位
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選6番手/決勝リタイア
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選-番手(107%タイムに届かず)/決勝16位
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選9番手/決勝15位
ニック・デ・フリース(アルファタウリ):予選18番手/決勝14位
カルロス・サインツ(フェラーリ)にチームメイトよりかなり低い評価を与えるのは厳しすぎるように思われるかもしれないが、サインツは、プラクティスと予選でルクレールのペースにまるで届かなかった。あらゆるタイヤ戦略を試すなかで、0.5秒も遅れていたのだ。決勝では1周目にランス・ストロールに抜かれ、リスタート後にはハミルトンにも抜かれて、ふんばり切れたのは相手がチームメイトの時だけだった。ふたりともハードタイヤに苦労し、サインツは6位どまりに終わった。

プレシーズンテスト前に負った怪我がまだ治っていないランス・ストロール(アストンマーティン)は、チームメイトのアロンソに匹敵するパフォーマンスを見せることはできずにおり、予選では6番手にとどまった。決勝では1周目の序盤に大胆な動きでサインツをパス、しかし圧倒的に速いマシンに乗りながら、ラッセルをオーバーテイクすることはできず、その後、ESのトラブルでリタイアした。
ローガン・サージェント(ウイリアムズ)は予選Q1最初に素晴らしいラップを走った。十分Q2に進めるタイムだっただけに、そのラップが取り消されたのは非常に気の毒だった。タイム抹消によって冷静さを失ったサージェントは、不必要なミスをふたつ犯し、結局Q1でまともなタイムを出すことができなかった。最後尾グリッドから決勝をスタート、トラブルを避けて走っていたが、勢いを失っているように見えた。取り消されたラップと幻のトップ15が、彼の心の奥底に残り、気持ちを切り替えられなかったのかもしれない。
同じくルーキーのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、土曜日にはベストの仕事をやってのけて予選9番手を獲得、才能を示した。しかし決勝スタート直後のターン2立ち上がりで、レーシングライン上にいたガスリーと接触するという、不必要なインシデントによって、チャンスを手放してしまった。修理のためのピットストップにより後方に落ちた後も、彼は戦い続けた。チームオーダーによってレース終盤にランド・ノリスからポジションを譲ってもらい、最終ラップでサージェントをパスして、チームの判断に報いた。

ニック・デ・フリース(アルファタウリ)はトラブルのためにFP3で走れないまま、予選に臨み、フライグラップ序盤にスピンを喫してしまった。悪夢のような展開だったが、経験豊富なデ・フリースは、冷静に対処し、たっぷり走りこむことができた角田と0.3秒差の予選18番手という結果を出した。決勝ではトラブルに巻き込まれることなく走り続け、14位完走を果たした。

■評価 5/10:アルボンがチームメイトほどの速さを示せず困惑
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選17番手/決勝リタイア
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選11番手/決勝12位
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は予選後、「プッシュすればするほど遅くなる」と困惑していた。彼には、サージェントの見事な予選ラップ(取り消されはしたが)と同等のタイムを出せるだけの速さがなかったのだ。決勝ではライバルたちと戦えていたものの、ブレーキのトラブルでリタイアしなければならなかった。
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)にとって週末のハイライトは11番手を獲得した予選だった。決勝ではスタートをうまく決められず、ポジションを落としたうえに、レースコンディションではマグヌッセンほどのペースがなく、12位に終わった。

■評価 4/10:Q1で手痛いミスを犯したノリス
ランド・ノリス(マクラーレン):予選19番手/決勝17位
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ):予選14番手/決勝18位
ランド・ノリス(マクラーレン)がQ1の準備ラップ終盤にウォールに接触したのは衝撃的だった。彼は自分自身のミスによって最後列スタートになったのだ。1周目にデブリを踏んでマシンの底部にダメージを負い、日曜にもMCL60が持つペースを引き出せずに終わった。

バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)にとって悲惨な週末だった。予選で速さがなかった理由が分からないまま決勝に望み、1周目にピアストリ車のデブリを踏んでフロアにダメージを受けた。その後、ボッタスは3種類のタイヤコンパウンドを使って走ったが、どのタイヤでもスライドに苦しんだ。

