レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1 ニュース

投稿日: 2023.05.16 06:45
更新日: 2023.05.16 07:00

【全ドライバー独自採点/F1第5戦】センセーショナルな走りで表彰台をつかんだアロンソ、角田裕毅が再び堅実なレース

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


F1 | 【全ドライバー独自採点/F1第5戦】センセーショナルな走りで表彰台をつかんだアロンソ、角田裕毅が再び堅実なレース

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はマイアミGPの週末を振り返る。

───────────────────────────

 ハードロック・スタジアムが舞台のF1マイアミGP決勝で、57周にわたり、ドライバーたちは誰ひとり大きなミスをせず、イエローフラッグが一度も振られなかった。しかし週末を通してノーミスだったドライバーは少数だ。

■評価 10/10:アロンソがノーミスで今季4度目の表彰台

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選2番手/決勝3位

 3日間、ミスなく過ごしたドライバーのひとりがフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)だ。彼は再びセンセーショナルなパフォーマンスを発揮し、今季4回目の表彰台を獲得した。

 フリープラクティスではAMR23のスイートスポットを見つけることに苦労したものの、アロンソとチームは予選ですべてをまとめあげ、Q3の最初のアタックでクリーンなラップを走り、フロントロウを確保した。

 決勝最初のスティントではカルロス・サインツを抑えつつタイヤを温存、サインツがアンダーカットを狙って動いたが、それに惑わされることなく走り続けた後、コース上で簡単にサインツをパスして、最終的にレッドブル2台に続く3位を獲得した。

2023年F1第5戦マイアミGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が3位表彰台を獲得
2023年F1第5戦マイアミGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が3位表彰台を獲得

■評価 9/10:フェルスタッペンが衝撃的な勝利

マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選9番手/決勝1位
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選6番手/決勝4位

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、予選で大きくつまずいた。Q3最初のアタックのセクター1でミスをし、そのラップを断念、燃料を十分搭載していたにもかかわらず、次のラップで再度挑むという選択をしなかった。そして、2回目のランは赤旗によって走れなかったため、決勝を9番グリッドからスタートしなければならなくなったのだ。

 しかしフェルスタッペンはそこから最高のレースをした。1周目を慎重に走ったため、バルテリ・ボッタスに抜かれたものの、タイヤを温存しながら、1台ずつ前のマシンを抜いていき、最終的に優勝を手にした。この衝撃的な勝利は、チームメイトに大きな打撃を与えたことだろう。

2023年F1第5戦マイアミGP 優勝したマックス・フェルスタッペンと2位セルジオ・ペレス(レッドブル)
2023年F1第5戦マイアミGP 優勝したマックス・フェルスタッペンと2位セルジオ・ペレス(レッドブル)

 マイアミはメルセデスにとって困難な週末だったが、ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、最大限の結果を出したといえるだろう。予選Q2で敗退しかけた後に、6番手を獲得。これも立派だが、レースでの4位はさらに素晴らしかった。ミディアムタイヤからハードというスタンダードの戦略で走ったラッセルは、序盤にケビン・マグヌッセンを抜き、セカンドスティントで周冠宇、ピエール・ガスリー、ランス・ストロール、角田裕毅、ニコ・ヒュルケンベルグをパスし、チームメイトのルイス・ハミルトンに譲ってもらった後、カルロス・サインツに接近、残り21周のところで前に出ることに成功した。

2023年F1第5戦マイアミGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2023年F1第5戦マイアミGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

■評価 8/10:フェラーリを相手に見事なバトルを繰り広げたマグヌッセン

カルロス・サインツ(フェラーリ):予選3番手/決勝5位
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選13番手/決勝6位
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選4番手/決勝10位

 バクーで苦戦した後、立て直すことができカルロス・サインツ(フェラーリ)は幾分ほっとしたかもしれないが、フェラーリの競争力自体は前戦よりもはるかに劣ったものだった。シャルル・ルクレールと同じエアロパッケージで走りつつ、チームメイトほどリスクを冒さなかったサインツは、タイムは遅かったものの、ウォールにヒットすることはなかった。まとまりのないラップだったと本人は述べていたが、赤旗により予選3番手を手に入れた。

 レースでは最初のスティントでアロンソに迫り、ミディアムタイヤでのフェラーリの競争力が悪くないことを示し、18周目にアンダーカットを狙った。しかしハードタイヤでフェラーリはうまく機能せず、アロンソだけでなくラッセルにも抜かれ、サインツは5位でレースを終えた。

2023年F1第5戦マイアミGP カルロス・サインツ(フェラーリ)とマイアミスペシャルカラーのヘルメット
2023年F1第5戦マイアミGP カルロス・サインツ(フェラーリ)とマイアミスペシャルカラーのヘルメット

 予選での失敗がルイス・ハミルトン(メルセデス)が上位争いに加わるチャンスを潰した。Q2敗退について彼は、アウトラップで大渋滞に遭い、最後のラップをスタートする時点でタイヤが冷えており、グリップがなかったと説明している。

 レースでは大多数とは逆のハードタイヤスタートという戦略を選び、序盤は自分より遅いマシンをDRSを使っても抜けないことにいら立った。アレクサンダー・アルボンのウイリアムズを抜くのに14周、ニコ・ヒュルケンベルグのハースを抜くのに10周弱を要したのだ。すでにピットストップ済みのサインツとラッセルに抜かれた後、残り20周の時点でタイヤ交換を行い、グリッドと同じ13番手に戻ると、終盤は驚異的な走りで次々とオーバーテイクを成功させて、6位を獲得した。

2023年F1第5戦マイアミGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2023年F1第5戦マイアミGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 予選で赤旗が出たことで最も大きなチャンスをつかんだのはケビン・マグヌッセン(ハース)だった。最初のランで彼と同様にユーズドソフトタイヤを使ったガスリー、ラッセル、エステバン・オコンを破ってグリッド2列目に滑りこんだ。Q1で5番手、Q2で9番手と、Q3進出は実力によるものだった。

 決勝ではスタートで3つポジションを落としたものの、14周目までルクレールを抑え続けた。ルクレールが前に出ると、マグヌッセンは次のコーナーでポジションを取り戻すという見事なバトルを展開。ハードタイヤへの交換で早めのピットストップを行ったことは奏功せず、異なる戦略で走るグループの後ろに下がった後、トップスピードが足りないために追い越すことに苦労した。ルクレールとのバトルが再開、二度目のバトルでもマグヌッセンは健闘したが、36周目にパスされた。タイヤのグリップを失ったマグヌッセンは、ハミルトンとオコンに抜かれたものの、チームのもとに貴重な1ポイントを持ち帰った。

2023年F1第5戦マイアミGP ケビン・マグヌッセン(ハース)
2023年F1第5戦マイアミGP ケビン・マグヌッセン(ハース)


関連のニュース