王者フェルスタッペンの戦い:とにかくプッシュしたいドライバーと“思慮深い”走りを求めるレースエンジニア
F1第13戦ベルギーGPも快勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。悩みなど一切ないかのような走りだが、実際の走行中はレースエンジニアと意見が異なるときがあるという。スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがレースの週末を振り返る。
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現世界王者のマックス・フェルスタッペンは、最高の気分でF1の夏休みを迎えた。前半戦の締めくくりとなるベルギーで、見事にF1レース10連勝を達成したのである。つまり、マイアミ、モナコ、スペイン、カナダ、オーストリア、イギリス、ハンガリー、ベルギーの各グランプリに加えて、レッドブル・リンクとスパ・フランコルシャンでのスプリントも制したのだ。
マックスは今季前半の12戦で合計10勝を上げた。ベルギーGPでの勝利はグランプリ通算45勝目、ポディウムに上がるのは89回目、そしてスパでは2021年、2022年に続く3連勝だった。
6番手グリッドから圧巻のドライブを披露したフェルスタッペンは、レース後にこう語っている。「焦らずにじっくり戦えば、いずれ勝利への道筋は見えてくるとわかっていた。ヒヤリとさせられた瞬間は一度だけだった。オー・ルージュで一瞬クルマの挙動が乱れたんだ。F1に乗っているときには、絶対にコントロールを失いたくないあのコーナーでね!」
レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは言う。「まず何よりも驚くべきは、マックスが信じられないほど楽々とドライブしていることだ。もはや彼を悩ませるものは何もないように思える」