迎えた30分+1周のレース1は、スタートからポールシッターがリードを維持し、2列目から出た選手権リーダーが早めに若手を仕留めて2番手へ浮上する。そこからチームの効率的な義務ピットもトリガーとなり、首位フラーガを逆転したカサグランデが今季3勝目を手にする結果となった。

「非常にクールな週末で、僕らも最初からとても速いクルマを持っていた。ポールポジションまであと少しだったが、3番グリッドからでも勝てたのには驚いたね」と喜びを語った勝者カサグランデ。

 一方、このヒートのファイナルラップで僚友バリチェロを先行させるなど、戦略的な10位フィニッシュでレースを終えていたロッシは、SCBのグリッドに並ぶ唯一のアルゼンチン出身者として、その重圧を一身に背負ってレース2へと臨む。

 ロッシにとって狙いどおりのリバースポール発進ながら、季節外れの猛暑も絡みスタート直後からSCBで5冠の“帝王”カカ・ブエノ(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)らが絡むインシデントが発生し、セーフティカー(SC)が介入する。

 一旦は4周目にリスタートが切られたものの、車両回収の位置が不十分としてふたたびSC出動とリズムが乱されるなか、7周目の再開後もリードを保ち続けた『シリーズ史上、もっとも成功を収めた海外ドライバー』ことロッシは、ピットウインドウが開いた直後、首位に居ながらも真っ先に義務ピット消化に向かう。

 その数周後の11周目に作業を終えたバリチェロも、ロッシの背後でコース復帰しアンダーカットはならず。最後はブルーノ・バプティスタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)とセザール・ラモス(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)の事故により、SC先導の隊列走行でチェッカーとなり、地元の観客にとって完璧なストーリー展開の中でロッシがSCBでの5勝目を飾った。

「この勝利には心から満足している。(所属先の)フルタイム・スポーツは僕に素晴らしいクルマを準備してくれ、母国で勝つことができたんだ!」と、喜びを爆発させたアルゼンチン国内“5冠”のロッシ。

「とにかく、僕のキャリアにとって信じられないような日だ。TOYOTA GAZOO Racingブラジルと、この活動形態を許可してくれた皆にとても感謝している。一生のうちで、こんな日が経験できるなんて……夢のようだよ」

 週末の最多得点者はレース1で2位、レース2で6位となったフラーガで、ランク首位カサグランデもバリチェロとの差を21ポイントに維持。続くSCB第10戦は、10月27~29日にブラジル・サンパウロ内陸部に位置するアウトドローモ・ヴェロチッタで争われる。

「ブエノスアイレスでポールポジションを獲得できるなんて特別だし、本当にうれしいよ」とSCBキャリア通算10度目の最速としたフラーガ
しかし義務ピットで逆転を果たした選手権首位ガブリエル・カサグランデ(A.Mattheis Vogel/シボレー・クルーズ)がR1を制覇してみせた
R2はSC先導の隊列走行でチェッカー。地元の観客にとって完璧なストーリー展開の中で、ロッシがSCBでの5勝目を飾った
「とにかく、僕のキャリアにとって信じられないような日だ」とルーベンス・バリチェロ(Full Time Sports/トヨタ・カローラ)を従え勝利を挙げたロッシ

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