そのままフロントロウのマット・ペイン(ペンライト・レーシング/フォード・マスタング)を従えてレース1でも主導権を握ったウォーターズは、2回のピットウインドウも無難にこなすと、最後のルーティンでは先行したレイノルズも捉えて首位を奪還。終盤には背後に迫ったSVGの追撃も振り切り、ゴールドコースト史上最小僅差のギャップでトップチェッカーを受けた。
「信じられない。正直に言うと、今年はとても衝撃的な年だった……」と、前戦マウントパノラマではDNFに終わっていたことも念頭に、感極まった様子を見せたウォーターズ。
「チームの顔に浮かぶ感情がすべてを物語っているし、とても幸せだ。シェーン(-ヴァン・ギスバーゲン)が僕を迎えに来てくれたようだが、GMにまた殴られるわけにはいかなかったから、死ぬ気で戦ったよ……」
「燃料とタイヤを少しずつ節約する必要があった。縁石で何回か跳ねたが、最後の5周に向けて準備が整っていることを確認した。すべてを出し切ったし、彼は僕のバンパーまで近づいたが、決して前に出すことはなかったね!」
明けた日曜のシュートアウトこそ意地を見せた選手権首位コステッキが奪い返すものの、決勝レース2ではオープニングラップで3台が絡むアクシデントが発生。すぐさまセーフティカー(SC)が出動する波乱となる。
リスタート後も首位を維持したコステッキだったが、16周目に最初のピットストップを完了したポイントリーダーに対し、背後で好機を窺っていたレイノルズは32周目まで引っ張るレイトストップの戦略を敢行。それぞれ56周目と60周目に最後のルーティンを済ませると、ここでゴールドに輝く26号車のマスタングが主導権を奪っていく。
さらに85周中の79周目はスコット・パイ(チーム18/シボレー・カマロZL1)がクラッシュを喫し、この日2回目のSCが発動すると、レース終盤に何度か順位を入れ替えてのバトルが続いていたレイノルズとコステッキは、残り4周のスプリント勝負へ。ここでなんとかコステッキの前を維持したレイノルズが、わずか0.1889秒差でフィニッシュラインへ。自身2018年以来、約5年ぶりとなる待望の復活勝利を挙げた。
「こんなとき、僕は何か違うことをしたいだけなんだ。誰もがそこに立ってトロフィーを手に入れ、シャンパンを吹きかける……それはちょっと退屈だと思ってね」と、ポディウム上で消火器を噴射した38歳のレイノルズ。
「周りを見回すと消火器が見えて『ああ、これが僕の流儀だ』と思ったよ(笑)。それはCO2ボンベのようなもので、大きな霧の雲をみんなの周りに噴射して立ち去るつもりだった。でも押してみたら水だったから、とても残念で悔しかったよ……」と予想外の結末を迎えたウイナー。
「でも、このレースはおそらくキャリア最高の勝利のひとつだ。これまででもっとも苦労して勝ち獲った……という点でね」
「理想的には、もう少し余裕のある差で勝ちたいが、最終スティントでブロディ(・コステッキ)に前に出られたところで苦労した。必死で我慢しなければならなかったよ」
これでマスタングが連勝を飾り、日曜の2位でコステッキは2969ポイント、同5位に終わったSVGが2565ポイントで最終戦へ。11月23~26日の『バイロ・アデレード500』で今季の雌雄が決する。



