迎えた運命の284周目。ボトムから相手を押し上げる動きを狙ったレディックの45号車は、レーンを維持できずブッシャーの17号車に接触。挟まれるようにスライドしながらウォールにボディを擦り付けた17号車と、その反動でダメージを負った45号車はレーシングスピードを維持できず。ここで敢えなく勝負を終え、先週のカンザスに続く敗者となったブッシャーはレース後のピットロードでレディックと対峙する場面も演じた。
「僕らに状況を説明する映像さえいらない。何を言えばいいのかわからないほど頭にきている」と憤るブッシャー。
「僕らは何年にもわたって本当にクリーンなレースをし、それについて本当に敬意を払おうと努めてきたが、こんなことが起きると心底、疲れ果ててしまう。それ(レディックの動き)はうまくいかないことが分かっているだけだ。そのことに本当に怒っている」
「勝つチャンスはあったし、そのスピードを誇りに思う。ブラッド(・ケセロウスキー)と6号車のクルーには本当におめでとうと言いたいが、僕は17号車のみんなのためにその瞬間を望んでいたんだ……」
一方、この事故の責任を感じていると明かしたレディックも「彼の怒りは完全に理解できる。本当に申し訳ない」と全面的に非を認めた。
「彼はトップを走り、自分のレースをし、自分のラインを走って僕を寄せ付けなかった。僕も本当にアグレッシブな動きで彼をパスしようとしたが、スライドして止まれないと気づいたときには遅かった。こんなこと、しなければよかったんだ」と続けたレディック。
「なぜ彼がそこまで怒っているのか、僕は完全に理解している。彼は何も間違ったことはしていない。ただレースに勝ちたいということと、相手をオーバーテイクすること。それは別のことだけど、結果がこんなかたちになったのは残念だ。僕が彼をレースから除外してしまった」
この結果、285周目に首位浮上を果たしたケセロウスキーが、今季デビューのフォード“ダークホース”マスタングに13戦目にして初の優勝をプレゼントするとともに、RFKのプリンシパルとして初の勝利を記録。ダーリントンでの2勝目、キャリア通算36勝目は、チームプレーと犠牲の上に成り立つ勝利となった。
「なんて素晴らしい一日、それが最初の勝利であろうと最後の勝利であろうと、ここダーリントンは本当に特別なトラックなんだ!」と喜びを語ったケセロウスキー。
「NASCARの歴史は非常に厳しいものであり、チームメイトとレディックとの最後の戦い、僕らはすべてを賭けて戦った。それはめちゃくちゃ素晴らしかったよ。(前週の)カンザスを超えるレースはないと思っていた、あれはスゴかったからね。でも今日のレースを皆に見てもらえてとてもうれしいよ」
併催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第9戦『バックルアップ・サウスカロライナ200』は、今季2戦目のトラックとなったロス・チャスティン(ニース・モータースポーツ/シボレー・シルバラードRST)が、延長リスタートで急浮上を見せタイ・マジェスキー(ソースポーツ・レーシング/フォードF-150)を逆転。
「僕らはダーリントンで勝つことを目指してきたし、ここで僕のキャリアと人生が永遠に変わった。ダーリントンに勝ったなんて、素晴らしいよ」と語るシリーズ通算5勝目をマークする結果に。
同じく併催のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第11戦『クラウン・ロイヤル・パープル・バッグ・プロジェクト200』は、ジャスティン・オルゲイアー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が待望の今季初勝利を飾っている。


