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「このようなミスは本来起こるはずがない。愚かなことだ」と自嘲気味に振り返ったブリンク。「ジミー(・エリクソン)がスタートで僕を押しのけたので大変だったが、その後にグラフが(インサイドを)すり抜けていった。これでグラフを追い抜くことに少し熱心になりすぎ、プッシュ・トゥ・パス機能を使用したが、ハイスピードでのターン1進入でそれを台無しにしてしまったんだ」

 その反省を踏まえ先頭からの発進を決めたレース2では、ブリンクが後続に脅かされることなくポール・トゥ・ウインを飾り、エリクソン、カールソンとともにテスラのワン・ツー・スリーをリードしてみせた。

 明けた土曜も決勝2ヒートのグリッドを決める予選からテスラが猛威を振るうと、今度はカールソンが僚友ブリンクとエリクソンをそれぞれ0.3秒と0.6秒差で撃破し、両レースのポールポジションを射止める。

 迎えた決勝レース3は、ポールシッターのカールソンがBEV時代初優勝を飾る一方で、チームメイト同士がクラッシュを喫するなど物議を醸す展開に。スタートから2番手争いのサイド・バイ・サイドを展開したエリクソンとブリンクは、最初の数コーナーを並走したのち高速の“NGK crest”進入で接触。エリクソンはバリアに激突する派手なスピンを喫し、セーフティカー(SC)が介入する。

 これでブリンクだけが生き延び、リスタート後もオーダーを維持したテスラ艦隊がカールソンを先頭にワン・ツーを達成。3位にラリークロスのスタードライバーであるアントン・マルクランド(PWRクプラ・スウェーデン/クプラ・ボーン)が続く表彰台となった。

 そして週末最終ヒートのレース4は、ふたたび“反省”を踏まえたテスラ・モデル3が秩序を保った走行に終始し、エリクソン、カールソン、ブリンクの順でふたたびワン・ツー・スリーを独占するフィナーレとなった。

「今日のオープニングヒートでのクラッシュは、チーム全体にとって損失のように感じた」と、連日の自省となったブリンク。「今週末はチームタイトル、ポール獲得、クラッシュ、そして勝利と、僕らにとって本当にジェットコースターのようなレースウイークになったね」

 その当事者として“バリア送り”となったエリクソンも「レース1はクルマがひどく損傷するという不運なカタチで終了したが、これは僕らふたりにとってちょっとした誤解であり、誰も悪意を持っていたわけではないよ」と応じた。

「トビアスと僕はターン1で『少しペイントを交換』し、その後、彼は僕のミラーから消え、僕の方は彼がもっと後ろにいると確信していたんだ。コーナーに差し掛かったとき、僕らはいきなり接触し、こちらがスピンしてしまった。お互いに避けられた可能性はあるが、これで終わりになった」

 ここからエリクソンのメカニックたちは、最終レースに向け突貫工事でテスラを修復。復活の勝利を奪い、タイトル獲得の望みをつなぎとめた。

「最終レースに向けてマシンを100%仕上げてくれたチームに本当に感謝したい」とクルーの仕事を労ったエリクソン。「そして、最終レースのスタートでは、ファイナルでタイトル争いに加わるために全力を尽くすしかなかった。優勝できて本当に素晴らしいカムバックだったし、今はファイナルに向け全力で挑むつもりだ」

 ブリンクが156ポイントで選手権首位を維持し、カールソンが12ポイント、エリクソンが17ポイント差で追う展開となったEV初年度のSTCCは、今週末の9月20~21日にマントープパークで早くも最終戦を迎える。

新世代EVシーズン、延期代替のダブルヘッダー戦はテスラ・モデル3が完全制圧/STCC第3&4戦
最終ヒートでもエリクソン、カールソン、ブリンクの順でふたたびワン・ツー・スリーを独占した
新世代EVシーズン、延期代替のダブルヘッダー戦はテスラ・モデル3が完全制圧/STCC第3&4戦
スタートから2番手争いのサイド・バイ・サイドを展開したエリクソンとブリンクは、最初の数コーナーを並走したのち高速の“NGK crest”進入で接触
新世代EVシーズン、延期代替のダブルヘッダー戦はテスラ・モデル3が完全制圧/STCC第3&4戦
「最終レースに向けてマシンを100%仕上げてくれたチームに本当に感謝したい」とクルーの仕事を労ったエリクソン

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